KDDIが考える「着うたフル」の勝算(4/5 ページ)

» 2004年11月18日 21時12分 公開
[神尾寿,ITmedia]

着うたフルの課題は?

 着うたフルはauのコンテンツとブランド戦略の両方で重要な役割を担っている。だが、着うたフルはKDDIの狙いどおりに成功するのだろうか。

 筆者は着うたフルの課題は、本格的な「音アリ」コンテンツを受け入れる環境が、ユーザーの間にないことだと考えている。

 確かに着信メロディはすでに古参のコンテンツであるし、ゲームアプリでも音は鳴る。着うたも成功した。しかし、着うたフルはそれらのコンテンツよりも、音を出すことへの依存度がすこぶる高い。

 また、着うたフルを音楽として楽しむにはイヤホンの利用が前提になるが、日本の携帯電話市場では携帯電話にイヤホンを付ける文化がほとんど存在しない。

 この点について高橋氏は、「携帯電話にイヤホン利用の文化がないことは承知しています。むしろ着うたフルによって、携帯電話(にイヤホンをつないで)で音を聴く文化を育成したい。それによって着うたフルの利用が促進されますし、EZチャンネルなど映像・放送系サービスが本格化する下準備にもなります」と話す。

 だが今回発表された着うたフル対応機を見るかぎり、「イヤホン利用」の使い勝手が十分に配慮されているかは疑問が残る。各端末ともにイヤホン端子は平型コネクタが採用されており、ポータブル音楽プレーヤーで一般的なステレオミニジャック端子を利用するには、製品付属の変換アダプターを介さなければならない。

 ユーザーの立場からすれば、手持ちのポータブル音楽プレーヤーからイヤホンを差し替えて着うたフルを聴きたいシーンはあるだろう。また最近は、ファッション製の高い耳かけ式イヤホンを利用するユーザーも多いが、それを利用する際に変換アダプターを介さなければならないのは無粋である。このあたりは早急に改善が必要だ。

 一方、サービスやビジネスモデルについては、ユーザーが受け入れて、レコード会社の協力を引き出す工夫が随所に見られる。

 この部分で懸念があるとしたら、やはり着うたフルコンテンツの価格だろう。本稿の執筆時点で1曲あたりの価格は正式発表されていないが、高橋氏へのインタビューやレコード会社へのヒアリングを総合すると、1曲200円〜300円程度が相場になりそうだ。この価格はシングルCDのレンタル料金よりも高い。着うたフルの利便性を加味しても、ユーザーが受け入れやすい価格は1曲150円〜200円程度だろう。レコード会社が着うたフルの本質を理解し、柔軟な価格設定ができるのか、が課題である。

 課題はいくつかあるものの、着うたフルが市場の成熟による旧弊が垣間見える音楽ビジネスに一石を投じるだろうことは間違いない。海外でiTunes Music StoreとiPodが果たしたように、音楽配信による音楽ビジネスの拡大が、何よりもまずユーザーの利益につながることに期待したい。

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