無線LAN+IP化でオフィスの面積は20%削減できる〜コクヨ(2/2 ページ)

» 2004年11月19日 23時42分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]
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情報システム部門は電話を知らない

 いいことずくめのように見えるオフィス移転だが、実際の導入にはいろいろ苦労もあったという。まず、VoIPを導入しても、思っていたより通信費は下がらなかったということ。これについては、ほかのコストが削減されたのでよし、ということになった。

 電話のIP化に際しては、情報システム部門と電話管理グループを統合し、一元管理することにした。しかし情報システム部門は電話のことを知らず、電話業者はネットワークのことを知らない。最初はお互いの話す専門用語がちんぷんかんぷんで、会話が通じなかったという。

 また、社員は「電話は普通に会話できて当たり前」と思っているので、「IP電話は遅延が起きたり、途切れたりする」などとは考えない。そこでできるだけスムーズに、違和感なく使える電話機を採用、事前に講習を行ってマニュアルを配布したり、IP電話ならではの新機能をアピールして理解を得た。

 さらに実際に無線LANを導入してみると、2.2平方メートルあたり1台と無線機器の密度が高いために、予想外に干渉が起こった。理論上は干渉しないチャンネルで干渉が起こったり、電話が干渉して途切れや遅延を発生したり、という課題が生じた。

 CADや固定電話といったあまり動かさないものはIEEE 802.11aを、携帯電話やノートPCといった移動するものはIEEE 802.11bと、周波数を使い分けたほか、アンテナの向きやアクセスポイントの数を調整することで解決したという。

将来的には携帯電話に統合したい

 松崎氏は「社内の調査によると、現在社員の満足度は80%と高い。社員同士のコミュニケーションも活発になって社内に活気が増した。しかし将来的な課題もある」という。

 一つは、携帯IP電話と一般の携帯電話を融合させたいということだ。しかしPASSAGE DUPLEのようなシステムが出てきたことで、携帯IP電話と一般の携帯電話の融合は目前といえる。また、グループウェアとの融合を進めること、PDAなどPC以外のデバイスからもソフトフォンを使えるようにすることも課題だとした。

 CADなどの大きなデータを扱うには、IEEE 802.11aでも実効速度が20Mbpsとまだ不足していること、機器をきめ細かく管理できないなど、無線LANに関する課題もあるという。

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