欧米やアジアで普及の兆しが見える(2月27日の記事参照)新サービス、「プッシュツートーク」(用語参照)。携帯電話を複数のユーザー間でトランシーバーのように利用できるものだ。
日本では富士通がサービス基盤を開発、対応端末の試作機のデモを行った実績がある(7月7日の記事参照)。
日本の通信キャリアでは、ドコモの中村維夫社長が会見で「大きな関心がある。あれだけ米国で成功しているので、法人ユーザーを中心とした使い方として魅力あるサービスだと思っている。いつ、どうするかについてはまだいえないが、方向としてはやりたいと思う」と話すなど、導入に意欲的。「米国で複数キャリアが商用サービスを開始しており、好評なことは認識している。導入については前向きに検討している」(ドコモ広報)
ただし導入時期やサービスの詳細については「まだ決まっていない」(同)のが現状。「ドコモが米Qualcommとプッシュツートークに関する共同研究を開始、来夏にもサービスを開始する」という、一部マスコミの報道を否定した。「プッシュツートークについてQualcommと共同研究する予定はない。またプッシュツートーク端末について、Qualcommチップを実装した端末開発を行う予定はない」(ドコモ広報)。クアルコム ジャパンも「そういう話は一切ない」としている。
プッシュツートークサービスは、欧州で「次なるキラーアプリケーション」と期待されるなど注目を集めているが導入に向けた課題もある。一つはキャリア間や端末間での相互運用性の問題だ。これについては、Nokia、Ericsson、Motorola、SiemensがPoC(Push to talk over Cellular)という仕様を策定、標準化団体に提出しているほか、Ericsson、Motorola、Siemensが相互運用テストを開始するなどの動きが見られる(3月17日の記事参照)。
もう1つはビジネスモデルの問題だ。ニーズがどこにあるのか、課金体系はどうするのかといった点は、各国の携帯電話事情によって異なるため、「海外で好調だから」といって簡単に導入できるものでもない。
KDDIは「技術的に検討はしているが、市場環境が海外とは異なるので、市場ニーズを図っている」(広報)と、導入には慎重な姿勢だ。
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