2005年2月にサービス開始が予定されているのが、高速化されたAirH"となる「エアエッジ プロ」(12月21日の記事参照)。既報の通り従来は32Kbpsを4チャンネル同時利用して最大128Kbpsを実現していたのに対し、エアエッジ プロでは最大8チャンネルを同時利用することで、理論上最大256Kbpsの通信速度を実現するインターネット接続サービスとなる。
今回評価したのは先日の発表会でお披露目されたものと同じ端末だ。PCカードタイプ2形状で、2つの可動式アンテナを備える。従来のカード型AirH"端末と比較すると大型だが、実質2枚分の機能が詰め込まれている点を考慮すれば納得いくサイズだし、携帯に困るサイズではない。
通常はもっとさまざまなロケーションで、検証やほかのインターネット接続サービスとも比較したいところだが、今回は時間的な問題から試験箇所は3カ所にとどめた。年明けにはさらに詳細なレビューを行う予定だ。
まず1つ目のロケーションは都心の見晴らしのいい場所。赤坂の高台、ITmedia編集部のあるソフトバンクパブリッシングビルの6階窓際を選択した。この場所は現行のAirH"でも、時間帯によっては128Kbpsサービスで理論限界値に近い110Kbps台を連発する、良好な電波状況の場所だ。
評価用端末でも従来のAirH"端末で利用できた電波状態の計測コマンドが利用できた。アンテナレベル5の基地局が13個確認できており、8チャンネルの確保にも十分だ。
受信速度の計測サイトとしては「OSOのスピードテスト」を利用した。ナローバンドでの計測にも向いたサイトであり、利用したことがある人も多いだろう。計測は5回行い、あまりに平均と懸け離れた結果がでた場合のみ再計測してそのスコアを採用している。
1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | |
---|---|---|---|---|---|
エアエッジ プロ | 150kbps | 150kbps | 156kbps | 153kbps | 163kbps |
AirH"128K | 62kbps | 57kbps | 73kbps | 68kbps | 72kbps |
ここでは150Kbps台を連発し160Kbps台も記録した。通信速度は非常に安定しており、電波状態の良さが大きく反映された形になった。
参考までに現行のAirH"128Kbpsサービスでも計測を行ってみたが、ピークでも72.7Kbpsとあまり振るわなかった。エアエッジ プロが試験回線、現行AirH"が商用サービス中の回線という違いも影響しているのだろう。イーブンな検証環境ではないとはいえ、エアエッジ プロが現行AirH"のほぼ倍以上の通信速度を記録したことには注目すべきだ。
ロケーションの2つ目は都心のビル街。秋葉原に程近い末広町のビルの1階にあるタリーズコーヒーだ。都心とはいえ障害物が多く、ロケーション1ほどの電波状況は望めない。実際電波状態を確認すると、アンテナレベル5の基地局は1つだけとかなり不安を感じる環境だった。
しかし結果は悪くなかった。ここでは5回の計測で済ましてしまったが、最大で146Kbpsを記録し、140Kbps台が2回、120Kbps台が2回、100Kbps台が1回となった。少なくとも現行128Kbpsサービスでは望めない結果だろう。
1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | |
---|---|---|---|---|---|
エアエッジ プロ | 100.2kbps | 126kbps | 146kbps | 146kbps | 129kbps |
次に場所を大きく移動し、世田谷区等々力まで移動した。場所は環状8号線沿いのマクドナルド環8等々力店。電波の受信を考慮して2階の窓際に席を確保した。
電波状態を確認すると、比較的見通しもいいためかアンテナレベル5の基地局が2つ、アンテナレベル3が7つ確保と、ロケーション2よりは電波状態は良さそうだ。
ここでは149Kbpsが最大で、140kbs台が2回、110kbps台が2回、100kbps台が1回となった。ロケーション2に似た傾向だが、少々バラツキが大きく、結果からは排除したが60Kbps台も1度記録している。
1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | |
---|---|---|---|---|---|
エアエッジ プロ | 149kbps | 102kbps | 118kbps | 117kbps | 147kbps |
今回は大急ぎでの検証となったが、少なくともエアエッジ プロの256Kbpsサービスに速度面でメリットが十分あることは感じられた。検証外での深夜の利用時には、180Kbps台も記録している。都市部などでは128Kbpsを超える受信速度を実スループットとして確保できそうだ。
地下街や建物の奥まった場所、今回のロケーションよりさらに郊外と、あまりチャンネル数を確保できそうにない場所でのスループットなども気になるところだが、これらを含め新しいアクセラレータサービスなどにも次回の検証では触れていきたい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.