CFタイプの3G通信カードは、auの「W02H」の登場により各社出揃ったことになる。前回はこの3G通信カードについて料金面での比較を行った(11月11日の記事参照)。ただしデータ通信においては料金面も重要だが、もうひとつ、利用可能エリアと実通信速度も重要なファクターである。
もし通信速度を気にしないのであれば、すでに利用可能エリアが広く、料金も完全定額制を実現しているAirH"や@FreeD、AirH"のインフラを利用したbモバイルといったサービスがあり、そちらを利用したほうがよいからだ。
そこで今回は、複数の場所や同一の場所での異なる時間帯といった複数のロケーションにおいて、3社の3G通信カードがどれだけの実通信速度を出せるかを検証してみた。検証を行ったのは10月末の数日間で、検証場所は具体的な位置を、住所・店舗名も併せて明示しておく。
実通信速度の計測には、送受信の通信速度が計測可能で、その精度にも定評のある通信速度計測サイト「Radish Network Speed Testing」を利用した。計測はインターネットにダイヤルアップで接続後、接続状態を安定させる意味で1分ほど時間を置き、ITmedia mobileのトップページにアクセスしてから3回ずつ行った。ISPは、FOMAがmopera、auがau.net、ボーダフォンがAccess Internetと、各キャリアの提供するISPサービスを利用している。
キャリア | 端末名 | 通信方式 | 下り最大速度 | 上り最大速度 |
---|---|---|---|---|
ドコモ | P2402 | W-CDMA(FOMA) | 384Kbps | 64Kbps |
KDDI | W02H | EV-DO(WIN) | 2.4Mbps | 144Kbps |
ボーダフォン | V701SI | W-CDMA(Vodafon 3G) | 384Kbps | 64Kbps |
まずは平日のデイタイム。具体的には11:00〜16:00の時間帯で、複数場所での計測を行った。計測は複数日にまたがってしまったが、条件を合わせて行っているため、計測日により大きなばらつきが生じることはないはずだ。
場所は、基地局密度が高くトラフィックも多めの繁華街として、東京都大田区の蒲田駅と、神奈川県川崎市の川崎駅の2カ所を選んだ。いずれも商店街にあるファーストフードショップの窓際での計測だが、地下街や屋根が架かったアーケードの中ではなく、電波状態も良好な場所だ。蒲田と川崎というロケーションは、筆者の行動圏にある繁華街という選定条件から選んだもので、他意はない。
1回目 | 2回目 | 3回目 | 平均 | ||
受信 | FOMA | 52.00Kbps | 54.34Kbps | 53.44Kbps | 53.26Kbps |
WIN | 397.50Kbps | 116.30Kbps | 432.30Kbps | 315.37Kbps | |
V3G | 351.10Kbps | 335.20Kbps | 358.30Kbps | 348.20Kbps | |
送信 | FOMA | 29.86Kbps | 34.02Kbps | 30.31Kbps | 31.40Kbps |
WIN | 80.33Kbps | 120.10Kbps | 109.40Kbps | 103.28Kbps | |
V3G | 61.30Kbps | 62.30Kbps | 61.30Kbps | 61.63Kbps |
1回目 | 2回目 | 3回目 | 平均 | ||
受信 | FOMA | 217.40Kbps | 237.70Kbps | 223.90Kbps | 226.33Kbps |
WIN | 351.90Kbps | 237.90Kbps | 279.10Kbps | 289.63Kbps | |
V3G | 380.60Kbps | 373.50Kbps | 374.70Kbps | 376.27Kbps | |
送信 | FOMA | 56.27Kbps | 53.68Kbps | 53.56Kbps | 54.50Kbps |
WIN | 94.95Kbps | 127.30Kbps | 67.90Kbps | 96.72Kbps | |
V3G | 61.30Kbps | 60.84Kbps | 61.54Kbps | 61.23Kbps |
この繁華街2カ所では受信でVodafone 3Gがトップ、送信でWINがトップという結果になった。
それぞれを詳しく見ていくと、FOMAは川崎駅近辺では標準的な受送信速度だが、蒲田駅近辺では受信が50Kbps台、送信が30Kbps台とどちらも遅くなる。送受信共に遅いことから、基地局密度の高い地域にもかかわらず、電波状態がよくないと感じられた。WINはFOMAに比較するとバラツキが大きく、その結果、受信ではVodafone 3Gの後塵を拝した。Vodafone 3Gは理論限界値に近く、2カ所ともに安定した速度を見せた。
次に基地局密度、トラフィックともに平均的な場所という理由により、住宅地である神奈川県川崎市久地、茅ヶ崎市中海岸(夏場は観光地だが)、これに加えて、筆者が所要で出かけた静岡県富士市久沢の幹線道路沿いの施設、さらに若干例外だが、高速道路沿線、東京から富士市久沢への経路上にある東名高速中井パーキングエリア(下り車線)を加えた計4カ所で計測を行った。
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