第2回 「ケータイShoin3」搭載、SH506iCの文字入力を探る:効率よいメール入力を考える(2/3 ページ)

» 2005年01月27日 04時58分 公開
[太田純,ITmedia]

 大体のところは狙いどおりに入力できるのだが、細かい部分ではPOBoxやAPOTには見られない欠点が目立つ。その1つは候補ウィンドウを簡単に消しすぎることだ。

 入力1で何が起きたか解説しよう。「就職」のあとで「し」を入力したかったのだが、予測候補ウィンドウを探しても「し」がない。仕方ないのでクリアキーで候補ウィンドウを出ると、ウィンドウが消えてしまう。

 気が変わって別の候補を選びたくなっても、もう選ぶことはできないわけだ。かなキーで「し」を入力するとふたたび候補ウィンドウが表示されるが、そのまま決定キーで「し」を確定させるとまた消えてしまう。次に入力する「、」が予測候補にあることは分かっているのに、ここでも候補ウィンドウから選ぶことができない。

 この手の予測変換のうまみは、するするとたぐるように予測候補を引き出しながら入力を進めるところにある。最小限の文字入力は必要であるにしても、少しでも予測入力が可能な場面で候補ウィンドウを消してはいけないはずだ。

 もう1つの不満は候補ウィンドウの外で確定した文字が次回の予測候補に出てこないことだ。「就職し」をもう一度入力すると、また「し」を手入力するはめになる。予測候補として出てくる付属語にも洩れが多い。「今」を入力すると「では」が予測候補のどこにもにない。そこで「で」と入力すると、こんどは「は」がない。同様に「編集者」を入力しても「と」が出てこない。そこで「と」を入力すると、こんどは予測候補が「一緒」しかない。「〜では」「〜として」すら文字を打たずに入力できないのでは予測変換の名がすたると思うのだが……。

 このように不満はあるが、「い」と2回の予測操作で「行ってる」が入力できるなど、会話文体に強いという一面もある。予測候補にカタカナ単語や英単語(「た」で「Tack」「Tax」が入力できる)が用意されているのもケータイShoinの特徴だ。

「あかさたな」で入力できるワンタッチ変換

 ケータイShoin3のもう1つの目玉がワンタッチ変換だ。これはすべてのかな文字をア段の文字で入力する入力方式で、たとえば「海底」「携帯」「高等」はいずれも「かあたあ」で入力する。このためどの文字もキーを1回押すだけで入力でき、軽快な文字入力が可能になる。初期のワンタッチ変換では名詞しか入力できなかったが、ケータイShoin3では文章をまるごと変換できるところまで成長してきた。

 この方式の開拓者といえるのが、NECの端末に搭載されているT9だ。しかしT9は「かあたあ」のような入力から目的の読み(「けいたい」など)を選び、次に読みをかな漢字変換して最終的な入力を得る仕組みなのに対し、ケータイShoin3のワンタッチ変換では入力を直接漢字に変換できるため、操作がワンステップ省略できる(なお、新しいN506iやN900iSには直接漢字に変換できるT9ダイレクトが搭載されているが、いまのところ筆者は触っていないので比較できない。あらかじめお断りしておきたい)。

 先の例文をワンタッチ変換で入力しているようすを示そう。「↑」はワンタッチ変換操作、括弧内は変換結果を表す。

例文1 大学を卒業して出版社に就職し、今では中堅編集者として活躍している。
入力1 だあがかわ↑(大学を) さたがやあさた↑(卒業して) さやたぱわさやな↑(出版社に) さやあさやか↑(就職) し 、あま↑(今) で は たやあかわ↑(中堅) はわさやあ↑(編集) さやた↑(者と) し て かたやかさた↑(活躍して) あら↑(いる) 。
例文2 中央線が事故で止まっているので少し出社が遅れます。
入力2 たやあああさわが↑(中央線が) ざか↑(事故) で たまたた↑(止まって) あら↑(いる) の で さかさ↑(少し) さやたさやが↑(出社が) あからまさ↑(遅れます) 。
例文3 銀行行ってる暇がないんだけど2万ほど下ろしておいてくれない?
入力3 がわかあ↑(銀行) あか↑(行く) [クリア] っ て る はまが↑(暇が) なあ↑(ない) ん だかだ↑(だけど) か[カナ英数](2) まわ↑(万) はだ↑(ほど) あらさた↑(下ろして) お い て からなあ↑(くれない) ?
ワンタッチ変換で入力中。「たまたた」に対応する候補が53件あることが分かる(左、中央)。「止まった」を選ぶにはかなり候補を探し回らなければならない。ワンタッチ変換で確定したあと、連携予測候補ウィンドウが表示されないのも残念な点だ(右)

 入力例を見るとワンタッチ変換は直感的でないように思えるかもしれないが、実際はそうでもない。例えば「お」を入力するのにマルチタップでは「あ」を5回押すことになるが、それを1回にして残りを省略するだけのことだ。慣れると素早く入力できるようになるし、操作は快感でさえある。

 とはいうものの、ケータイShoin3のワンタッチ変換には未熟な点がいくつかある。1つは同じ読みから得られる変換候補が膨大になるため、活用や付属語を含む候補が大幅に省略されていることだ。例文でみると、例えば「ざかだ」の候補に「事故だ」はあるが「事故で」がない。「あたた」に「言って」「落ちた」「意図と」はあるが「行って」がない。同じ理由で「〜いるので」や「〜しておいて」のような言い回しもワンタッチ変換だけでは入力できない。T9ではかな変換と漢字変換の2回に分けた操作が必要だが、「たまたたあらなだ」を「とまっているので」に変換できるなど、この程度の文章はT9なら入力に何の支障もない。

 もう1つは入力操作をマルチタップと兼用したことによる不便さだ。たとえば「中央線」を変換するには「たやあああさわ」と入力する必要があるが、T9なら(「い」以降を入力する必要がないので)「あああ」で「あああ」を入力できる。ワンタッチ変換で「あ」を連続して入力するには「あ→あ→あ」と操作しなければならない。またT9ではかな辞書の先読みを行うので「たやあああ」と入力した時点で画面に「ちゅうおう」が表示されるのだが、ワンタッチ変換では入力した文字がそのまま表示されるので、どんな読みの単語に変換されるのか予想しにくい。

 3つめは、ワンタッチ変換と近似/連携予測変換とで学習データが共有されていないことだ。このため、ワンタッチ変換で「中央線」を確定したあとで「ち」を入力しても近似予測候補に「中央線」が出てこないし、「中央線」を確定しても連携予測候補に「が」が出てこない。この点についてはすぐにでも改善してほしい。

 このような問題があるため、現在のワンタッチ変換はメインの入力方式として使うにはちょっとつらいかもしれない。しかし、たとえば予測変換で出てきそうにない漢字語をワンタッチ変換ですばやく入力するなど、両者をうまく併用できれば威力を発揮してくれそうだ。

ケータイShoinの今後は?

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