ドコモPHSユーザーのナンバーポータビリティは?

» 2005年03月10日 20時56分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]

 NTTドコモがPHS事業から撤退する。音声端末ユーザーへの施策としては「PHSからFOMAへの移行ユーザーには、4月1日から各種特典を提供する予定」ということしか明らかになっておらず、これからどうしたらいいのか、不安に感じているドコモPHSユーザーもいるだろう。

 「FOMA用にデータ通信用の新しい料金体系を追加したので、データ通信もFOMAに移行してほしい」とNTTドコモ広報部はコメントしており、基本的に「PHSユーザーは音声もデータ通信もFOMAに移行してほしい」というスタンスだ。

 しかしPHSを使い続けたい、できれば今の電話番号をそのまま使いたい、と思うPHSユーザーもいるはずだ。電話番号を引き継いでほかのキャリアに変更できるナンバーポータビリティ(MNP)制度は、PHSには適用されないのだろうか。

 結論は「NO」。2006年に施行予定のMNPでは、PHSは対象外だ。「PHSと似た番号をFOMAに付けることはできないか?」と聞いてみたが、「090や080のあとに、今まで使っていた番号をそのまま使えたらいいとは思うが、そういう予定はない」(ドコモ広報部)。

 PHSの番号移行というと、アステル沖縄が解散しDDIポケット(現ウィルコム)へ事業を譲渡した例(2004年11月30日の記事参照)が思い浮かぶ。このときはアステル沖縄のPHSユーザーにDDIポケット製端末が配られ、ユーザーは番号を変えずにそのまま利用できた。

 ドコモ内で無理なら、ウィルコムに番号を移行することはできないのだろうか。「MNPが適用されない以上、他キャリアへの移行は無理」(ドコモ広報部)。「アステル沖縄の例は、(新会社が)結果として同グループになったからできた話。電話番号は事業者の財産のようなものなので、さすがに(ドコモの電話番号を引き継ぐのは)難しい」(ウィルコム広報部)と、こちらも実現は難しい。

 ウィルコムでは、“ドコモユーザー向け”と銘打った乗り換えキャンペーンなどは特に今のところ決まっていない、としているが、「PHSユーザーには、広告などを通じて『PHSのことは安心して任せてほしい』と呼びかけている」(ウィルコム広報部)という。

3月1日に出された新聞広告。「すでにウィルコムをご利用いただいている皆様、そしてウィルコム以外のPHSをご利用されている皆様、PHSはウィルコムにお任せください。」と、ドコモユーザーへの乗り換えをそれとなく促している

 約2年後をめどにサービスを停止する見込みだが、利用状況によっては、もっと早い時期でのサービス終了も考えているという。FOMAに移行するか、ウィルコムのPHSに乗り換えるか、あるいは他社の携帯電話にするか──いずれにしても、現行のドコモPHSユーザーは番号変更せざるを得ないことになる。

 現在ドコモは、同社の携帯電話をドコモ内で番号変更する場合、またはauの携帯電話に乗り換える場合にのみ、新しい電話番号を音声で案内するサービスを行っている。「PHSで同様のサービスを行う予定は今のところない」(ドコモ広報部)ということだが、新しい番号へスムーズに移行できるようにする手助けは、既存のPHSユーザーに対してキャリアが果たさなくてはならない、せめてもの務めではないだろうか。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年