日本でも動画や着うたなどのリッチコンテンツの人気が高まってきているが、日本に先駆けてCDMA2000 1x EV-DOの高速通信サービス(日本でいうauの1X WIN)が提供されている韓国でも、リッチコンテンツの提供が盛んに行われている。これらリッチコンテンツのサービスは、SKTは「June」、KTFは「Fimm」といったブランド名が付けられている(LGTはEV-DOを導入していない)。
これらのリッチコンテンツサービスでは、動画のストリーミング、音楽ダウンロード、そしてネットワークゲームなどが提供されている。中でも動画系コンテンツは大盤振舞いといえる内容で、ドラマやアニメ、ニュースが丸ごと一本配信されるほか、アダルトコンテンツもキャリアの公式サービスとして堂々と提供されている。
さらに驚くことに、Skylifeという衛星放送や、KBSやMBCといった地上波のテレビ放送もリアルタイムで流されており、一定料金でいつでもどこでもテレビを見ることが可能だ。
ちなみに、動画のストリーミングは内容によって1本100〜500ウォン(約10〜50円)、音楽のダウンロードサービスは1曲600〜800ウォン(約60〜80円)程度で購入可能。
日本のコンテンツと比べるとまさに「大判振舞い」なサービスだが、定額料金に加入しなければ、膨大な通信料の請求書が届いてしまうほか、「携帯で見るよりはネットで見たほうが楽だし見やすい」という認識が韓国ユーザの間でいまだ強いため、普及にはもう少し時間がかかりそうだ。
ちなみに現在のところ、各キャリアで用意されているパケット代定額料金は、SKTが月26000ウォン(約2600円)、KTFが24000ウォン(約2400円)で無制限に利用できる料金プランを提供している。しかしこれらの料金は大抵の場合、会員を増やすために実施される期間限定のキャンペーン料金である場合が多く、期間終了後は「利用時間550分まで」といった制限が設けられる場合が多い。
これだけ多彩なサービスを展開している韓国のモバイルインターネットサービスだが、意外なことに最新機種でもブラウザはWAP1.0ベース、および独自形式のものが中心で、Webサイトの表現力はHDMLベースのEZweb程度(auでいうC300番台、C400番台)。そのため、一見グラフィカルなメニューだと思っても、実際はテキストベースのメニューが下に隠れている……ということも多い。
これにはさまざまな理由が考えられるが、韓国の携帯コンテンツの配信の仕組みが、日本と全く異なるというのも影響しているようだ。
日本では、例えばiモードのメニューを開くと、着メロであれば「すごメロ」「イロメロ」といったCPのサイトの一覧が用意されている。着メロなどのデータの配信を行っているのはあくまでCPのサイトであり、データの質や量だけでなく、Webサイトの中身や表現を工夫することで差別化を図っている。
しかし韓国では、キャリアのポータルサイトのメニューを開くと、「スポーツゲーム」「キャラクターの待ち受け画像」といったコンテンツのジャンル一覧が表示され、選択すると直接ダウンロードが始まってしまう。つまりコンテンツのデータはキャリアのポータルサイト上にあり、CPがコンテンツを直接配信しているわけではないのだ。
また、日本では路線情報、掲示板、ニュース、ショッピング、オークション……といったWebベースの情報系コンテンツも人気を集めているが、韓国ではそういったサービス自体多くなく、着メロやゲームなど、ダウンロード系のコンテンツに人気が偏っているというのも大きな要因だといえるだろう。
携帯ゲームの市場を独占し、NTTドコモやSKTがコンテンツシステムの海外進出を進めるなど、日本と韓国は「モバイルコンテンツ大国」としても注目を集めている。しかし改めてサービス内容を比較してみると、一見似ているようで異なった発展を遂げているのが分かる。今後両国の携帯コンテンツがどのような発展を遂げていくのか、注目していきたいところだ。
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