米Tegic Communicationsは4月20日、文字入力ソフト「T9」シリーズの最新バージョン「Tegic Mobile Suite」のデモを行った。
T9は、テンキーなど、フルキーボード以外のキーボードから文字を入力するソフトで、携帯電話を中心に採用されている。例えば“HOW”と入力したい場合、通常は「4」キーを2回、「6」キーを3回、「9」キーを1回押して入力するが、T9では「4」「6」「9」キーをそれぞれ1回ずつ押すだけで、ソフトが「HOW」と入力したいのだろうと判断し、入力できる。英語圏だけでなく、中国語、韓国語、アラビア語や、インドで利用されている各言語など、T9は世界中の5億台を超える携帯電話で利用されている。
日本では、NEC製のドコモ向け携帯電話現行機種全てで採用されているほか、パナソニックモバイルもFOMA端末でT9を搭載している。また、SonyEricssonもボーダフォン向けの端末でT9とWnnを組み合わせた日本語入力ソフトを搭載した(2004年12月22日)。
今回発表されたTegic Mobile Suiteは、テンキー入力だけでなく、ソフトキーボード/手書き文字認識によるタッチパットからの入力や、音声認識による文字入力もサポートしており、これらの入力方法をシームレスに組み合わせて利用できるのが特徴だ。
新たに予測入力もサポートしており、他のアプリケーションから得た文字データを予測入力用データとして入力に利用できる。また、開発中の次期バージョン(フェーズ2)では、出力時にフォントや各種書体、イラストアイコンなどのグラフィックスもサポートする予定だ。
発表会では、テジックコミュニケーションズ日本事務所のジェネラルマネージャーである戸野龍氏が、英語版Tegic Mobile Suiteを行った。「MapQuest(地図検索サービス)にアクセスして喫茶店の場所を検索、その住所をメールに書き写して、友人に送り、待ち合わせ場所を指定する」という設定だ。
MapQuestを起動して駅名を発音すると、音声が認識されてフィールドに駅名が入力される。その駅のそばにある喫茶店を検索して、住所を調べる。MapQuestを起動したままで“New Message”と発音すると、メール作成画面が起動する。その後は手書き入力やソフトキーボードのタップなどを混ぜながらメールを作成できる。MapQuestで検索した喫茶店の住所は、自動的にTegic Mobile Suiteの辞書に入るので、喫茶店の名前を入力すると、予測変換候補として住所、電話番号が表示され、そのまま入力できていた。この場合、住所データはTegic Mobile Suiteのメモリバッファに保持されているため、どのアプリケーションから得たデータも、文字入力に利用できるという。
Tegic Mobile Suiteは、まずは英語版からスタートし、追って日本語版や中国版などもリリース予定。英語版は、2005年末ごろ端末メーカーへ提供、実際に搭載した端末が出てくるのは2006年第3〜第4四半期になるのではないかとした。
戸野氏は、日本語版T9のスケジュールについても明らかにした。最新版の「日本語T9 Direct」はFOMA N901iCやN506iで採用されている。現在開発中の日本語版次期バージョンは予測変換機能を搭載予定、7月頃に発表されるという。
テジックコミュニケーションズでは、T9を携帯電話だけでなく、家電製品や携帯ゲーム端末などにも搭載されるよう、メーカーに働きかけていきたいとしている。
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