「AQUOS R9」が進化したポイントと“proなし”の理由 シャープが考えるハイエンドスマホの売り方(1/2 ページ)

» 2024年05月09日 15時45分 公開
[金子麟太郎ITmedia]

 シャープが、5月8日にスマートフォンのハイエンドモデルとして「AQUOS R9」と、エントリーモデルの「AQUOS wish4」を同時に発表した。アナウンスのあったSIMフリーモデルの想定価格は、AQUOS R9が10万円前後(税込み、以下同)で、AQUOS wish4が3万円台前半だ。今回は、AQUOS R9で進化したポイントをまとめる。

AQUOSR9 AQUOSwish4 シャープ 8日の発表会で登壇したシャープの開発陣。左から、通信事業本部 パーソナル通信事業部 商品企画部 主任 福永萌々香氏、通信事業本部 パーソナル通信事業部 事業部長 中江優晃氏、通信事業本部 本部長 小林繁氏、通信事業本部 パーソナル通信事業部 商品企画部 係長 篠宮大樹氏

AQUOS R9はスピーカーを強化、生成AIで留守録を要約する機能も

 シャープといえばディスプレイが強みで、技術力はテレビだけでなく、スマートフォンでも発揮される。ディスプレイの「明るさを追求した」と通信事業本部 パーソナル通信事業部 商品企画部 係長の篠宮大樹氏がアピールした、ハイエンドモデル「AQUOS R9」では視認性に力を入れ、スペックでは表現しづらい体験を重視している。

AQUOSR9 AQUOSwish4 シャープ 明るいディスプレイなどを搭載する「AQUOS R9」

 ただ、「一口に明るさといっても、点の明るさと、面の明るさがあり、それぞれに役割がある」(篠宮氏)という。点の明るさとは文字通り「部分的に明暗差をつける」(篠宮氏)ことを指しており、HDR動画で効果を発揮する。面の明るさは「画面全体を強く光らせる」(同氏)という意味で、「くっきりとした美しさだけでなく、屋外や窓際の強い日差しの下でも、圧倒的に見やすい表示に」(同氏)なるようにしたという。

AQUOSR9 AQUOSwish4 シャープ 点の明るさと、面の明るさを示すイメージ。AQUOS R9はこの両方に強いという

 ディスプレイは6.5型のフルHD+(1080×2340ピクセル)のPro IGZO OLEDであり、リフレッシュレートは1〜240Hzの可変駆動に対応している。

AQUOSR9 AQUOSwish4 シャープ ディスプレイのスペックはシャープらしく業界最高クラスの品質を誇る

 音質についても強化した。通信事業本部 本部長の小林繁氏いわく、「海外では日本と違って、電車内でもスマートフォンのスピーカーで音楽を再生する人がいる」とのことで、「スマートフォンAQUOS史上最大サイズのボックススピーカーを採用した」(篠宮氏)ことがポイントだ。スピーカーは受話口の部分と口元の部分に配置したことで、従来モデルよりステレオ感が増しているという。篠宮氏は「少し離れた場所で料理や家事をしながら、AQUOS R9のスピーカーで音を聞いても、その迫力を感じられる」と自信を見せる。

 音に関してもう1つアップデートがある。それはスマートフォンの基本機能の1つである電話だ。昨今のトレンドでもある生成AIが、AQUOS R9にも実装されたことで、留守番電話に録音された内容をAIが要約し、利用者が要件を一目で確認できるようになった。

AQUOSR9 AQUOSwish4 シャープ シャープはAIを活用し、スマートフォンの基本機能の1つである「電話」を強化。電話にでずにかけてきた相手の要件が分かる

 この留守番電話は通信キャリアが提供している留守番電話サービスではなく、端末内に備わる簡易的な伝言メモのような機能だという。AQUOS R9では電話を受けたり、大手通信キャリアの留守番電話サービスセンサーへ接続したりせずに、電話をかけてきた相手の発話内容が要約される。

 なお、留守番電話の内容要約はプロセッサにオンデバイスの生成AIをサポートする「Snapdragon 7+ Gen 3」を採用したからこそ実現した機能で、もっといえば同プロセッサが対応する大規模言語モデル(LLM)の「Llama 2」によって成り立つ。処理は「端末内で完結できる」(通信事業本部 パーソナル通信事業部 事業部長の中江優晃氏)ため、プライバシーに配慮された仕様となっている。

AQUOSR9 AQUOSwish4 シャープ 端末内の留守番電話機能で録音されたデータをもとに要約される。大手通信キャリアの留守番電話サービスセンサーへの接続などは不要だ

 一方で、中江氏は「発表時点でお約束はできない」としつつも、「お客さまにとって価値があれば、生成AIを用いた機能の拡充はあり得る」との考えを示しており、「まったく進化しない、という意味ではない」と補足した。

カメラは光学式手ブレ補正に対応、被写体の追尾もスマートに

 カメラ機能も拡張し、AQUOS R9では光学式手ブレ補正に対応した。また、被写体が柱などの障害物に隠れてしまっても、AIが被写体の動きを予測して追尾することも可能になった。

AQUOSR9 AQUOSwish4 シャープ AQUOS R9は動画撮影性能も向上した。AIが被写体の動きを予測して追尾するようになっており、運動会で子どもを撮影する際などに役立ちそうだ

 他にも、スマートフォンAQUOSとして初めて「ナイト動画」を撮影できるようになり、暗所でも明るく撮影できるようになったことに加え、背景のぼかし具合を調整して、被写体を強調した映画さながらの「シネマティック動画」も撮影可能になった。

 これらの撮影体験を支えるアウトカメラは、標準カメラと広角カメラで構成される。どちらも有効約5030万画素だが、標準カメラはF1.9で画角が84度のレンズ、広角カメラはF2.2で画角が122度のレンズを採用する。インカメラは、有効約5030万画素でF値が2.2、画角が84度のレンズを搭載。ライカが監修しているが、イメージセンサーのサイズは「AQUOS R8」「AQUOS sense7」と同じ1/1.55型で、レンズは「Hektor(ヘクトール)」を採用している。

 ゲーミング関連機能も強化し、スマートフォンAQUOSとして初めて「ベイパーチャンバー」を採用した。長時間の動画撮影やプロセッサに負荷のかかる作業をする際、安定したパフォーマンスを期待できる。「いつでも心地よいパフォーマンスで、心弾む映像体験を届ける」(篠宮氏)ことを目指した。

AQUOSR9 AQUOSwish4 シャープ スマートフォンAQUOSとして初めて「ベイパーチャンバー」を採用し、冷却性能を高めている。この部材は中国系メーカーがゲーミングスマートフォンに搭載させる例が多い

日本ならではのよさを発信すべく、デザインを刷新

 ボディーのデザインも見直し、見たときの印象が大幅に変わった。AQUOS R8と「AQUOS R8 pro」は背面の上部に大きなカメラレンズがあるが、AQUOS R9では本体上部の左上の台座にカメラ、AQUOS、LEICAのロゴが収められている。この台座は「円でも楕円(だえん)でもない自由曲線」(中江氏)になっており、「カメラもそろいすぎない絶妙な配置」とした。「品位のあるいでたちの中に、なぜか気になる違和感」(同氏)によって、愛着を持ってもらうことを目指した。

AQUOSR9 AQUOSwish4 シャープ AQUOS R9のアウトカメラ。台座にカメラ、AQUOS、LEICAのロゴが収まる

 カメラとその台座はAQUOS R9の顔ともいえる部分になりそうだが、1986年に劇場で公開されたスタジオジブリ制作アニメの「天空の城ラピュタ」に登場する「ロボット兵」の顔に似ており、この一風変わったデザインがユーザーに受け入れられるのかが気になる。

 デザインの監修を担当したのは、三宅一成氏が設立したデザイン事務所「miyake design」だ。AQUOS R9はグローバル(詳細は後述)でも同時に発売することから、「日本ならではのよさをどのように発信していくのか」をmiyake designと追求した。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年02月10日 更新
  1. 「iPhoneの調子が悪いです」の文言、なぜアイホンのFAQに? 実はAppleと深く関係 (2026年02月08日)
  2. 総務省有識者会議が「手のひら返し」な我が国への示唆――日本を国際標準から遅れさせたのは自らの愚策のせい (2026年02月08日)
  3. 「東京アプリ」で1.1万円分をゲット、お得な交換先はどこ? dポイント10%増量+楽天ペイ抽選が狙い目か (2026年02月05日)
  4. KDDI、楽天モバイルとの「ローミング重複エリア」を順次終了 松田社長が言及 (2026年02月06日)
  5. 楽天モバイル、1000万回線突破も残る「通信品質」の課題 5G SAの早期導入とKDDIローミング再延長が焦点に (2026年02月07日)
  6. ソフトバンク、短期解約を繰り返す「ホッピングユーザー」を抑制 その理由は? (2026年02月09日)
  7. Googleが台湾のPixel開発拠点を公開 「10 Pro Fold」ヒンジ開発の裏側、“7年サポート”を支える耐久テスト (2026年02月09日)
  8. 東京アプリ、PayPayがポイント交換先に追加される可能性は? 広報に確認した (2026年02月05日)
  9. 東京アプリ、PayPayとWAON POINTをポイント交換先に追加 交換時期は「決まり次第案内」 (2026年02月09日)
  10. 「小型iPhone SEを復活させて」──手放せない理由SNSで話題 どこが“ちょうどいい”と評価されるのか (2025年11月29日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年