いきなり1型センサー搭載&ライカ協業で人々を驚かせた「AQUOS R6」から2年。R6では3:2のデジタルカメラ用のセンサーを流用していた(といっていいと思う)が、翌年の「AQUOS R7」ではスマートフォン用に新たに開発されたクアッドベイヤーの1型センサーを採用。センサー自体は4800万画素のものだと思うが、実際に使うのは約4700万画素で撮影画像は約1100万画素となる。
まあ実質、約1200万画素と思っていい。このR7はまったくの新型センサーだったこともあってか、HDRやポートレートモード時など画像処理に時間がかかることがあった。
そして2023年。AQUOS R8 proの誕生である(無印のAQUOS R8は1型センサーを搭載しないハイエンド機になった)。R8 proは前モデルと同じセンサーやレンズを採用しつつ、中身がぐっとアップデートされた端末だ。
大きく分けると、2点。1つは速くなったこと。超高速モデルではないけど、日常の利用で処理を待たされるストレスはなくなった。高速な処理をガシガシかけると熱を持つのがスマホの常だが、カメラとCPUの発熱をカメラ回りのリングに誘導して放熱することで対応したのだ。
2つ目は賢くなったこと。AI駆使しまくり。動物やスイーツなどスマホでよく撮影される被写体をターゲットにより賢く立ち回るようになったのだ。特に背景をぼかす「ポートレート」モードで被写体が「人物か動物か」を選べるようになったのが面白い。なかなか大胆な試みだ。
詳細は後ほど。
基本的なところからいくと、カメラはシングル。一見、デュアルカメラだが、向かって左にある小さなレンズは測距センサーだ。右には小さなデバイスが2つ縦に並んでいるが、下はおなじみのLEDライト。上はスペクトルセンサー(要するに、色を測るもので、オートホワイトバランスの質が向上する)。
メインカメラは19mm相当の広角レンズでF1.9。カメラアプリでの「0.7x」表記が19mm相当でカメラ本来の姿だ。
カメラアプリでは24mm相当を1xとしている。そこはAQUOS R6からの伝統で、スマホでは「24mm相当」をメインカメラにする機種が主流のため、そこを「1x」としているのだろう。
では、AQUOSらしいところの作例からだ。
AIが認識する被写体がいくつかあって、その代表は人物。わざと逆光のシーンで撮ってみたが、顔を認識したらちゃんと明るく写り、背景はHDRが仕事をして白トビしないようにしてくれた。
ぐぐっと顔に近づくと、顔認識から瞳認識に切り替わる。
今回、スペクトルセンサーでより正確なAWBが可能になったということだが、それを実感する1枚を撮れた。プライベートで撮影したイベントなのでモザイクを入れさせてもらったが、明るくなく照明が複雑(天井の照明とプロジェクターによる投影がごっちゃになってる)なシーンだったが、肌色がきちんと出ているのが分かるかと思う。
【更新:2023年7月13日16時50分 スペクトルセンサーについての説明と作例を追記しました。】
面白いのは、複数の被写体があると両方が表示されること。スイーツを前にしたら「人物」と「料理」の両方が表示された。ここで「×」をタップするとそれがキャンセルされる。
AIが仕事しすぎて「いや今撮りたいのは料理じゃなくて店の雰囲気だ」とかいうこともあるので、そういうとき対応できるのだ。
まあ「それ料理ちゃうわ!」ってこともあるので、そういうときは「×」をタップしてから撮ればOKである。料理くらいなら間違えて判断されてもあまり困らないけど。
一応ちゃんとした料理も、ということで「肉」。
続いては花。蓮の花が開いて中からアレが顔を出すいい感じの状態を見つけたのでつい。
さらにちょっと離れたところにいい感じのハスの花が咲いていたので、4xにズーミングしてみた。思ったよりデジタルズーム感は少なくていい感じだ。これはけっこう使える。
花の写真ではウオーターマークを入れてみた。4種類用意されているのだが、せっかくなので全部突っ込んでみたのである。
1つ気になったのは「レンズの焦点距離」表記。19mmとある。確かにレンズ自体は19mm相当なのだけど、ズーミングして撮ったらそれに応じた値になっているべきじゃない? これは4xなのだから24mmに対する4倍ということで、96mmと書いてほしい。少なくとも19mmの写りじゃないのだから不自然に感じてしまう。
さて人、花、料理ときたら次はいよいよ動物である。動物も瞳認識OKだ。
猫でも犬でもどんとこいである。
ただ、白猫・黒猫を撮るときは要注意だ。動物と認識したらそれを適正露出で撮ろうとするんだが、白猫は明るすぎると判断されて暗目に、黒猫は暗いところにいると判断されて必要以上に明るく撮れてしまう(つまり黒さが出ない)。
その辺はAIにあと一歩賢く学習していただいて、どんな色の犬や猫でも適正な明るさで写るようファームアップを期待したい。
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