「Nokia Mobile Application Summit APAC 2005」は、Forum Nokia Pro会員向けに開催されるイベントで、参加はコンテンツプロバイダーと通信キャリアに限られている(5月27日の記事参照)。出展したコンテンツプロバイダーは世界各国から約40社。会場には商談向けの小さなブースが並び、両者が熱心に商談を交わす姿が見られた。
今年からAPAC地域でも続々と3Gサービスが開始されること、Nokia Series 60端末が世界市場で大きなシェアを獲得していることから、この2つにフォーカスした展示が目立っていた印象を受ける。
今後、どのようなサービスがNokia端末向けに提供されるのかをかいま見られる各種デモの中で、注目のサービスを紹介しよう。
日本のナビタイムジャパンが展示したNokia Series 60向けのGPSアプリケーション「NAVITIME」は、Nokia端末対応ということもあり大きな注目を集めた(2003年10月の記事参照)。
歩行者の目的地までのルートをサポートするNAVITIME for Human Navigation、車用のナビゲーションNAVITIME for Car NavigationはいずれもGPSと連動したービス。Nokia Series 60端末はGPSを内蔵していないが、最近増えているBluetooth内蔵のGPSユニットを購入すればサービスを利用できる。
同社はすでに日本をはじめ、海外数カ国でもサービスを開始しているなど実績があることから、ブースを訪れる通信オペレーターの数は非常に多かった。
「Mobile Health Solution」を提案するアメリカのMedicTouchは、Nokia Series 60端末とBluetoothで接続可能な心拍数計測ユニットの組み合わせを展示していた。Series 60端末上で動くJavaのアプリケーションは、心拍数などの取り込んだデータをリアルタイムに記録可能。日常の健康管理やスポーツ時の運動管理などに利用できるという。またデータを携帯電話から医療機関に送ることでユーザーの健康管理を行うといった利用方法も提案している。
携帯電話向けゲームは日本のコンテンツプロバイダが得意とするところ。今回のイベントでもCAPCOM、SEGA、G-modeといった日本企業がデモを展開していた。
中国や台湾などの新興企業も出展。GPRS接続によるオンライン対戦ゲーム、4−5人が参加できるマルチプレーヤーゲーム、PCゲームとデータ連携可能なゲームなどが展示されていた。PC上のオンラインゲームはAPAC地域でもユーザー数が多く、携帯電話と連携する動きは今後も進むと見られている。
メディア配信系のサービスは13社がデモを展開。コンテンツは「スポーツニュース」「音楽クリップ」「ショートフィルム」といった動画系のものが多く、各社は携帯電話のデモ機を使って概要を説明していた。動画配信は「端末の動画処理速度の向上と大画面化」「3G開始による高速なダウンロード速度」の両方のメリットを生かすことができる。通信キャリアは3Gサービスを展開するにあたり、どのようなサービスを提供して2Gサービスと差別化するかに頭を悩ませている。そんな中、動画配信はユーザーの興味を惹きつけ、3Gへの移行を促す1つのキラーコンテンツと見られている。
既存の情報系サービスについても、文字情報や静止画を動画化して配信するサービスが提案されていた。フィンランドのForecaはSMSやWAPによる天気予報サービスを世界各国の通信オペレーターに提供しているが、デンマークで3G事業を行っているHutchison 3 DM向けには3gpファイルによる動画天気ニュースを配信している。TVの天気予報番組のように動く天気ニュースを携帯の画面で閲覧でき、利用者は多いという。同社は今後JavaやFlash Liteを使った天気予報配信サービスも開始する予定だ。
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