「P901iS」(5月17日の記事参照)の注目点といえば、やはり進化したカスタムジャケット。本体に7×7のLEDを並べたドットエリアを設け、各種カスタムジャケットと組み合わせることで、色と光によるさまざまな演出を楽しめるというものだ(5月17日の記事参照)。
この新たなアプローチのカスタムジャケットは、どのようなプロセスを経て生まれたのか──。商品企画グループで主任を務める周防利克氏に聞いた。
「P901iSのキーワードは『感性』。ユーザーの感性に訴えかけるカスタムジャケットはどんなものなのか」──ここから新しいカスタムジャケットの開発がスタートしたと周防氏。それを探るために、改めてカスタムジャケットが評価された理由を分析したという。
「カスタムジャケットは多くのユーザーに受け入れられたが、基本的には特別なことをやったわけではない。“ジャケットが本質”ではなく“カスタマイズというもの自体”が、ユーザーに響いたということ。それならカスタマイズの価値をさらに高めることがユーザーに響くポイントにつながる」(同)
こうした視点で考えたときに挙がってきたアイデアが“ハードとソフトの融合”。「これまでハード面のみのカスタマイズだったものを、ソフト面の進化と組み合わせたら、もっと面白い表現ができるのではないか」(同)──こうして生まれたのが、光とジャケットを組み合わせるという新しいアイデアだった。
「ジャケットはカンバス。下から透けて見える光が絵を描き、さまざまなパターンで動く。ユーザーは好きな光り方とジャケットを組み合わせることで、自分好みの携帯にカスタマイズできる」
「本体側をどう光らせるか」──。このアプローチについての開発陣の考えはユニークだ。「ドットの数が少なければ少ないほど、このアイデアが象徴的に生きる」。いわば逆転の発想だ。
「これまでサブディスプレイは、“もっとドット数を多くしよう”“カラーにしよう”といったように、表現力を豊かにする方向で進化してきた。しかしこれは、実用重視の考え方。感性に訴えかけるなら、色も1色でいいしドット数も少ないほうがいい。そのほうがアナログ感が出て、感性を重視するユーザーには響くと考えた」
そうはいっても、あまりに少ないドットでは何も表現できない。7行×7列のLEDに落ち着いたのは、「左右対称のセンターが置けるように奇数にすることが1つ。もう1つはアルファベットと数字をすべて表示させるために、最低限この数のドットが必要」という理由からだ。
どのタイミングで光らせるかも、議論した部分だと周防氏。「四六時中光っていたのでは、インパクトがない。今回は、携帯電話に何かきっかけがあったときに光らせている」(同)。通話やメールの着信時、端末を閉じたとき、サイドキーを押したとき、鳩時計のようにきりのいい時間で──。考えられるすべてのきっかけに連動するよう、技術陣に対応してもらったという。
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