「今回のカスタムジャケットは、大きく2種類に分けられる。シンプルなものと柄ものグループで、それぞれ5枚ずつ」(周防氏)──という、ハードとしてのカスタムジャケットにも、新しい工夫が盛り込まれた。
シンプルなジャケットは、光の動きを主役にしたもの。「背面をフルカンバスに見立て、そこを光が自由に動く──という表現をしたかった」
ディンプルとスモークのジャケットにはサブ液晶の窓がなく、まさにフルカンバスの趣だ。「この2つは表示窓がなくても、光や文字がきれいに抜けて見える。スモークは樹脂に塗料を練り込んで、光が分散しないよう処理している。ディンプルにはハーフミラー蒸着を施し、普段は見えないドットエリアや有機ELの表示が、光ったときだけきれいに見えるようにした」
クラフトストライプにも、ちょっとした工夫がある。「斜めに細かい線が入っているデザインだが、きっちりした幾何学的な線ではなく、手描きの線を入れている。『丸みを帯びたボディデザインに合わせるなら、手描きの線のほうが暖かみが出る』というデザイナーからの提案」(同)
柄ものグループは、ジャケットの柄と光の組み合わせで“意味が現れる”というアプローチだ。「扇は、扇の絵柄を光で描くというイメージ。ホタルがモチーフのGEKKAは“暗闇にホタル”という概念を覆して白バックで表現した。水墨画を連想させるジャケットにホタルを模したLEDが光る」(同)
P901iSを開発するに当たって“P”の企画陣は「感性を大事にするユーザーをターゲットにしたときに、彼らが求める価値は何だろう」と考えたという。
「カメラが100万画素から200万画素に上がった──というのは、確かに分かりやすいが、今回のターゲットユーザーは、そういうことを求めている人ではない。求められるのは、“なんかいいよね、これ”という感覚」(周防氏)
カスタムジャケットが評価されたのも、まさにここだというのが周防氏の見方だ。「カスタムジャケットで、技術的に他のメーカーが真似できないことをやったのかといえば、そういうわけでもない。でも、これがユーザーからの多くの支持を集めた。P901iSでは、これと同じところを狙った」
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