作品名 | スカーレット・レター(朱紅文字) |
監督 | ピョン・ヒョク |
制作年・製作国 | 2004年韓国作品 |
今年2月、帰らぬ人となってしまった韓国の女優イ・ウンジュの遺作「スカーレット・レター」。この作品で彼女が演じたのは、情に溺れ絶望の淵に墜ちて行く愛人。情熱的な彼女の姿は、本当に美しくスクリーンに焼き付けられています。
貞淑な妻と奔放な愛人を持つ、刑事ギフン。妻のスヒョンが妊娠中にもかかわらず、愛人カヒとの逢瀬を続けていました。ある日、ギフンは写真館でおこった殺人事件の担当になります。写真館の店主が頭を割られ、あたり一面が血の海に。そこで呆然と立ち尽くしていたのは、店主の妻のギョンヒ。第一発見者であるギョンヒをギフンは疑いますが、ギョンヒは容疑を否認します。当日のアリバイを探り出すギフン。
その取り調べ中に、ギフンの携帯電話が鳴り出します。
「かけ直す」
「夕方は時間がない」
「後から俺がかけるよ」
電話の相手は愛人のカヒでした。話があるというカヒを冷たくあしらうギフン。仕事を終えて帰宅したギフンは、妊娠中の妻スヒョンのお腹に顔をあてて、幸せを噛みしめていました。カヒのことを愛してはいるものの、妻と子供を失うわけにはいかない。ギフンは、自由に恋愛を楽しむカヒなら、それをわかってくれると思い込んでいました。カヒとの距離を少し置こうとした時、ギフンの前に突然カヒが現われました。チェロ奏者であるスヒョンのコンサートに、カヒがやって来たのです。
直接話すのではなく、ギフンの携帯電話にかけたカヒ。
「お疲れさん、チェ刑事」
カヒからの電話を妻の前では、後輩のチェ刑事からというふりで話し出すギフン。
「アーメン」
人込みを離れるギフン。
「愛されてるあなたのために。邪魔になった私のために」
カヒはギフンのもとに少しずつ近付いて、妊娠したことをギフンに告げます。そんな二人のただならぬ様子を、妻スヒョンが気付きます。実は、カヒとスヒョンは同じ大学の同級生。音楽を専攻し、カヒはジャズシンガー、スヒョンはチェリストとなったのでした。
先にギフンに出会ったのはカヒでしたが、妻にしたいと思ったのはスヒョンのほう方。スヒョンは二人の関係に気付いていましたが、知らないふりを続けていたのです。しかし、携帯電話越しに視線を絡ませて話す二人の姿に、スヒョンは我慢の限界とその場から立ち去ります。
ギフンは、スヒョンを守るために、カヒに病院へ連れて行くと宣告します。妻の妊娠をあんなに喜んでいたギフンが、カヒの妊娠にはすばやく冷たい判断を下したのでした。カヒはショックを受けて、逆上します。そんなカヒをなだめながら、結局カヒのマンションまで行き、一夜をともにしてしまうギフン。何度も別れようと思っても、どうしても離れられない二人。
そんな私生活のトラブルを切り離して、写真館の殺人事件の捜査を続けていくギフン。容疑者ギョンヒの不可解な供述に翻弄されていきます。どこまでが嘘で、どこまでが真実なのか、夫婦の間に、何が起こったのか──。
事件のひとつの手掛かりがつかめた頃、またしても突然カヒがギフンに会いに警察署にやって来ます。その日はカヒの誕生日でした。カヒはある決意を胸に抱いて、ギフンをドライブに誘うのでした。それが、戦慄のクライマックスのはじまり──。ギフンとカヒ、そしてスヒョンとの本当の関係がラストシーンで明らかになります。
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