作品名 | 運命じゃない人 |
監督 | 内田けんじ |
制作年・製作国 | 2004年日本作品 |
今年のカンヌ国際映画祭で「フランス作家協会賞(脚本賞)」「最優秀ヤング批評家賞」「最優秀ドイツ批評家賞」「鉄道賞」の四冠を獲得した「運命じゃない人」。たった一晩の出来事を登場人物それぞれの視点から描き、思いがけない展開にグイグイ引き込まれます。「運命じゃない人」では、携帯電話そのものよりも、携帯電話の番号がいかに重要か語られています。
主人公の宮田は、平凡なサラリーマン。豪華なマンションを購入したばかりですが、彼女は出て行ってしまい一人暮らし。上司に部屋を貸してくれと言われても、宮田はキッパリ断れないようなお人好し。そんな“日本一のいいひと”である宮田を、親友の神田はいつも心配していました。
仕事を終えていつも通りに帰宅すると、宮田の携帯電話が鳴り出しました。
「もしもし? 俺だ」
相手は神田でした。
「どうした?」
「今、ちょっと出てこいよ」
宮田をいきなり呼び出す神田。
「俺、帰ったばかり」
さすがの宮田も疲れて帰ってきて、出かける気にはなれません。
「大事な話があるんだ。あゆみちゃんのこと」
別れた彼女あゆみのことと聞いて、慌てて飛び出す宮田。数カ月前に好きな人ができたと出て行ってしまったあゆみでしたが、宮田はまだ未練たっぷり。忘れられないでいたのです。
待ち合わせたレストランで、さっそく神田にあゆみの近況を尋ねる宮田。あゆみが結婚すると聞いて落胆を隠せません。そんな宮田に、早く忘れて新しい彼女を作れと神田はゲキを飛ばします。神田はこれまでも、宮田に彼女ができるようにと女性を紹介していたのですが、宮田は積極的になれずにいました。いい雰囲気になっても、宮田は携帯の電話番号も聞けず、それっきりになったというのです。タイミングを逃したという宮田に神田が叫びます。
「タイミングなんてないよ。タイミングはお前が作るんだよ!」
神田の気迫に圧倒される宮田。
「いいか、お前、電話番号をなめんなよ」
神田はさらに続けます。
「あの11桁の数字を知っているか、知らないかで、あかの他人かそうでないかを分けるんだから」
出会った女性、好意を持った女性の携帯電話の番号は必ず聞けと諭す神田。
「30歳過ぎたら、運命の出会いとかいっさいないからな。自分で何とかしないとずっと一人ぼっちだぞ」
と宮田を煽ります。そして、後ろの席に座っていた女性に声を掛け、一緒に食事をしましょうと自分たちのテーブルに誘ったのです。急展開に宮田は慌てますが、やってきた女性を断ることもできず、三人で食事をすることに。
神田がナンパした女性は、婚約破棄されたばかりの真紀。一人では寂しすぎると思っていた時に声をかけられ、宮田たちの席に移動したのでした。しかし、ナンパした当の神田はいつのまにかいなくなってしまい、宮田と真紀は二人きりに。困った宮田は神田の携帯電話に連絡をしますが
「がんばれ、せっかくのチャンスだ」
と言い残し、切れてしまいます。宮田はこのチャンスを活かせるのでしょうか? そして携帯電話の番号をゲットできるのか? 宮田、神田、真紀、そして元彼女のあゆみの想いが交錯する『運命じゃない人』。意表をつくストーリーと、絶妙な間の会話、そしてあっと驚く結末を楽しんでください。
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