インタビュー
» 2005年09月06日 21時27分 公開

目指したのは“デザインされていないようなシンプルさ”──「P701iD」

シンプルでベーシック、飽きが来ない──。ドコモが「P701iD」で目指したのは、“長く愛着を持って使ってもらえる端末”だ。

[後藤祥子,ITmedia]

 「使いやすくシンプルで飽きない。ずっと愛着を持って使ってもらえる携帯電話を作りたい」──。「P701iD」(8月2日の記事参照)の開発はこうした想いから始まったとNTTドコモマーケティング企画部の保坂彩氏は話す。

 市場が成熟する中、あえて「原点に立ち返った」というP701iDが目指した携帯の姿について、保坂氏に聞いた。

特別なプロジェクトではない

 デザイナーの佐藤卓氏を起用したことで、特別なプロジェクトの端末と見られがちなP701iDだが、保坂氏は「一過性の話題になるものを作るのが目的ではない」点を強調する。「店頭で見たときに、ユーザーに“いいな”“使いやすそう”と思ってもらえることが重要」

 ドコモではこれまで、新しいサービスや機能を検討する際に外部の識者の意見を取り入れており、外部デザイナーとのコラボも、その延長線上だと話す。「伝えたいのはデザイナーの名前ではなく、シンプルで上質でベーシックだというメッセージ。どのデザイナーにお願いするのかを考えるときに重要だったのは、幅広い層に訴えかけられるものをデザインしていただけるかどうか」

 自身の名前よりも、むしろ手掛けた製品のほうが広く知られている佐藤氏を起用したのも、こうしたコンセプトからだ。「これまで、(ロッテ クールミントガムや明治 おいしい牛乳など)広く普遍的なデザインを手掛けており、この端末の求めるところと合っていた。デザインだけでなく、プロモーションについても先を見通せることから、佐藤氏に決まった」

 佐藤氏は内蔵コンテンツの製作や、プロモーションのディレクションも担当することになった

成熟した市場ならではの“シンプルさ”とは

 デザインを担当した佐藤氏は、最近の携帯電話について「多種多彩なデザインがあるが、やりすぎている」と感じていたようだと保坂氏。「もう少しシンプルな携帯が欲しいという考えで、“デザインをそぎ落としたミニマムなものを作りたい”とおっしゃっていた。目指したのはデザインされていないようなデザイン」

 シンプルな中にも一工夫あるのが、P701iDのユニークなところだ。ボディ形状にラウンドとスクエアを、表面の質感にグロスとマットを採用。3色のボディカラーを用意して6種のバリエーションを揃えた。「市場が成熟した今、携帯を買うときにディテールで買い分けるようなお客さんがいるのではないか。微妙な違いでお客さんに選んでいただくというアプローチ」

 「スクエアボディにグロッシーな表面処理を施したモデルは先端層を意識。ラウンドボディのモデルは幅広い層にアプローチできる」


 スクエアとラウンドは、側面ボタンの表示も異なる。先端層向けのスクエアは「カクニン」、ラウンドは「確認」になっている


 テンキーのフォントや色も異なる。スクエアは細めのフォントで色も1色とシンプル。ラウンドは太めのフォントで発話キーと終話キーに色が付いている

 通話やメールの着信時、充電時などにボディの内側から光を放つ「ヒカリドロップス」もこだわった部分。「佐藤氏いわく、背面はシンプルで真っ平らなカンバスで、中身は(光るという)感応性がある。外側と内側の対比を表現している」

mpgファイル
 ヒカリドロップスは「光る円の部分にお椀型の反射板があって、その中心部に3色LEDがある」という構造。背面の樹脂は、「光は透過させるが、中の部品は透けて見えない微妙な透過具合の樹脂を使っている」という。樹脂そのものと塗装の工夫で実現した

 「P701iDを買う人の中には、佐藤氏のことを知らない人もいると思うが、目指したのは(佐藤氏の存在を)知らなくても良い端末だと思ってもらえて、知っていればプラスアルファの楽しみを届けられる端末」(保坂氏)

 ワンプッシュオープンボタンも健在(左)。同じ形がベースでも、質感や角の落とし方ひとつでかなり雰囲気が変わる(中)。ボディはかたまり感のある1色で統一されている。FOMAロゴは底面にある(右)


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