NANA ナナ「忘れられない夜にしてやる」Mobile&Movie 第178回

» 2005年09月09日 16時13分 公開
[本田亜友子,ITmedia]
作品名NANA ナナ
監督大谷健太郎
制作年・製作国2005年日本作品


 矢沢あい原作の人気少女漫画「NANA」を映画化した本作品。主人公は20歳の女の子、大崎ナナと小松奈々。同じ年で同じ“ナナ”という名前を持つ2人は、列車で偶然隣り合わせ、出会います。小松奈々は、東京の大学に通う彼氏の章司を追いかけ、大崎ナナは自分の夢を叶えるため東京へと向かっていたのでした。

 名前は同じでも、生い立ちも性格もまったく違う2人。奈々は恋愛依存症で甘えん坊、ナナはクールでどこか暗い影が。しかし、大雪で立ち往生している電車の中で話をしているうちに、2人は意気投合します。予定より時間がかかったのものの、東京駅へ無事に着いたナナと奈々。章司に迎えに来てもらってご機嫌の奈々は、いつのまにかナナがいなくなっていたことにも気付かず、それっきり……。

 奈々は東京へ来れば、章司とずっと一緒にラブラブの生活をおくれると信じていたのですが、章司からは仕事を探して自立するよう言われてしまいます。落ち込みながらも、章司に嫌われないようにと一人暮らしする部屋を探し始める奈々。不動産屋で奈々は707号室の部屋を紹介されて、すっかり気に入りますが、そこには先客が。なんと、東京行きの列車で出会ったナナだったのです。お互い譲らず、知り合い同士ということでルームシェアを勧められた2人。こうして、ナナと奈々は一緒に暮らし始めたのでした。

 2人でいる時間が増えて性格を知れば知るほど、奈々がしっぽを振っている“犬”のように見えて、ナナは奈々に“ハチ”とあだ名をつけます。手はかかるけどほっておけないかわいいハチ。一方、ハチは、いつかバンドのボーカリストとして成功したいというナナに憧れ、その夢を応援し続けることを心に決めていました。2人は固い友情で結ばれていきます。

 共同生活を始めてしばらく経った頃、707号室に突然、ナナの元バンドのメンバー、ノブが訪ねて来ます。実はナナが昔やっていたパンクバンドBLACKSTONES(ブラスト)は、地元では有名だった実力派。しかし、メンバーの進路がバラバラになって解散したのでした。

 ノブはナナが上京したと聞いて本気でプロを目指したくなり、家出同然で飛び出してきたのです。ノブはカバンからテープを取り出し、再びバンドを組むために曲を作ってきたから聞いてほしいと。思わず曲に聞き入るナナ。そこへノブの携帯電話に、ブラストの元メンバー・ヤスから連絡が入ります。

 「もしもし、やっさん?」

 心配して電話をかけてきたヤスに、のん気な声で答えるノブ。

 「代わるよ」

 ナナに携帯電話を差し出すノブ。

 「ノブが作った新曲聞いたか?」

 頷くナナ。

 「お前が歌ったら、向かうところ敵無しだぞ」

 ナナはノブのテープを再び流します。

 「ヤス、聞いてっか?」

 707号室に流れるメロディ。

 「忘れられない夜にしてやる」

 ナナは携帯電話をマイク代わりにして、適当なフレーズをメロディに乗せて歌い出します。圧倒的な歌唱力、心を揺さぶる旋律。そんな場面に遭遇できて、感動するハチ。ブラストの再結成を決めた夜になったのでした。

 ナナ率いるブラストは、バンドとして成功するのか? ナナの過去には何があったのか? そしてハチと章司の恋の行方は? 二人のNANAが傷付きながら、大人になっていくホロ苦いストーリー。ナナが携帯電話をマイクにして歌い出す場面は、映画史上に残るカッコよさ!原作のファンは必見です!

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