「パラダイムシフトを見破るのなんて、簡単だ」短期集中連載・夏野さんに聞いてみよう(2/2 ページ)

» 2005年10月07日 23時59分 公開
[杉浦正武,ITmedia]
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 「こういうことをいうとNTTグループとしては嫌がられるが、Yahoo!BBの勝因はモデムを配ったこと。技術的な問題、例えば(NTTグループが標榜する)光ファイバーがなんとか……というのはブロードバンドを普及させる上であまり意味はない」。ソフトバンクの孫正義社長が、市場が拡大する前にいち早くADSLモデムを無料提供し、シェアをとったことが成功につながったとの見方だ。

 夏野氏がいうパラダイムシフトの時期を見つけ、そこで勝負をかけられれば、ビジネスで勝てることになる。そして夏野氏は、「パラダイムシフト(が始まっているかどうか)を見分ける方法は、割と簡単」と強気のコメントをする。

 その方法はシンプルだ。「業界の関係プレイヤーが、増えているかどうか見ればいい」。携帯業界にしてもブロードバンド業界にしても、ある時期を境にゲーム関連事業者やソリューションベンダーといったプレイヤーが飛躍的に増えた。これが、パラダイムシフトの起きている時期だという。「そしてもう1つは、他社が追随するということ」

 夏野氏は、いま携帯業界は第3のパラダイムシフトを迎えていると呼びかける。夏野氏がいま最も注力しているサービス、iモードFeliCaによって携帯はさらなる進化を遂げるとの主張だ。“FeliCaでドコモがどう収益を上げるのか分かりづらい”という批判は根強いが、確かにFeliCaによって関連プレイヤーは増え、ほかのキャリアも追随している。

 なお、ブロードバンド事業者などの携帯の新規参入でも「業界のプレイヤーは増えている」ことになるが、彼らについては夏野氏はマーケットチャンスはそれほどないと見る。

 「モデムを自分で作って配った後は、携帯に来るという。ただしブロードバンドと携帯では構造が違うので、そんなに上手くはいかないだろう。反対にドコモが固定網の業界に入っていくというのも、まあ……だめだろう。これはFMC(Fixed Mobile Convergence:携帯と固定の融合)のとらえ方にもよるし、NTTグループとしてどう携帯と固定を融合できるかは考えるが」

 夏野氏は、新規参入にはシェアを渡さないという意識を強くにじませながら、こう話す。「そんなに上手くいくんだったら、僕が先にやっていますよ」

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