「SA700iS」の位置情報サービスでは、現在地確認による地図表示やナビゲーション機能などを利用できます。ダイヤルキー面の左下に“「いちおしナビ」ボタン”という位置情報用のボタンが用意され、長押しすると初期設定では「現在地確認」を行えます。設定を変えれば「ナビゲーション」や専用の「GPSソフト」を立ち上げることも可能。現在地確認の測位モードは、標準モード、品質重視モードの2種類から選択できます。
現在地確認を開始したあとでも、左上ソフトキーもしくはクリアキーで中断でき、利用可能な状態になると右上ソフトキーにより測定を終えることができます。また、右上ソフトキーを押さなくても、続けているとそのうち測定が終了します。
便利だと思ったのは、測定を行うと自動的に位置履歴が残るところでしょうか。この位置履歴からも「位置サイト接続」や「メール貼り付け」など各種操作が可能。とりあえず、測位だけしておけば、後から何とかなるということもあるので重宝しています。
GPSによる位置情報サービスといえば、auが力を入れている“EZナビ”があります。EZナビでは、GPS方式による測位のほかに、GPS衛星からの電波が届きにくい屋内などでの利用を考慮したAFLT方式を採用しています。AFLT方式というのは、複数の基地局位置から同期信号を使って現在位置を推定する方法。利用できるGPS衛星が1つ2つと少ない場合には、GPSとAFLTの両方を併用するハイブリッド方式で測位を行っています(2001年10月の記事参照)。
対するSA700iSは(9月26日の記事参照)、ロケーションサーバとの通信で入手した制御情報により、GPSの測位速度と精度を上げるA-GPS方式。GPS衛星からの電波が届きにくい場所での測位は「基地局ベースの測位を行う」(ドコモ広報)としていますが、詳細な方式については公開されていません。
そこで両者を「電波が届きにくい場所での測位対決」させてみることにしました。同じ場所でSA700iSとW32Hを使って、現在位置を測定してみたのです。
屋内でのW32Hによる測定は、表示された精度が最も悪い状態ではあったものの、誤差が数十メートルでした。一方のSA700iSではなぜか、場所(1)と場所(2)の屋内での測定結果が、それぞれほとんど同じ永福PAの下あたりと実際の現在地とは全く違うところを示してしまいました。場所(2)については、現在地との誤差が1キロメートル近くにもなります。EZナビと同じように、複数の基地局から推定する方法なら、ここまで誤差は出ないと思われますので、GPS衛星の電波が届かない場合の測位方法は、ほかの方法によるものだろうと推察されます。
屋外では快適に測位できますし、家や電車の中でも窓際なら十分にGPSによる測位が可能です。ただ、位置情報サービスを前面に出している機種なのに、GPS衛星の電波が届きにくい場所で1キロも誤差が出ることがあるのでは使いものにならない──というのが、個人的な印象です。もちろん、GPSの電波が届かない場所でも正確な測位が可能な場合もありますが、少々不安を覚えるのも事実です。
測位時間も、改善を望みたい点がありました。SA700iSは、場所によっては測位にかかる時間がとても長くかかってしまうのです。
空が見える良好な環境は2〜3秒で測位できますが、環境が悪くなるとかなり時間がかかります。精度は星1つから3つの3段階あり、その精度にもよるのですが、少しでも悪い環境で測定し終わるのを待つと、30秒程度かかるようです。さらに、「測定しにくい状態」というアラートが出た場合には、数分かかってからNGが出ることもありました。アラートが出た場合には、そこで測定をするかしないかを選べるので、測定しないほうが無難かもしれません。また、GPSのアンテナが通話マイクあたりに搭載されているからか、しっかり握って測定を行うとあまりよい結果が得られないことがあるように感じました。
否定的に書いてきましたが、個人的にはちょくちょく位置情報を利用しています。まだ、実用的に利用できていないのが残念ですが、位置情報の履歴をかなりたくさん残せるのは便利な点。どんどん測位して後から利用するのには役立ちます。長くなってしまったので、「ナビゲーション」についてはまた今度紹介したいと思います。
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