20万人突破の衛星DMB、そして地上波DMBは?──韓国テレビ端末事情韓国携帯事情(2/2 ページ)

» 2005年10月25日 05時12分 公開
[佐々木朋美,ITmedia]
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好調の衛星DMBに続けるか?! 地上波DMB

 今年8月からKTF、10月からLG Telecomが衛星DMBの本放送を開始したことで、3キャリアでサービス提供を開始した韓国。9月末には会員が20万人を突破し勢いに乗っている。

 一方で地上波DMBは、政府がコンテンツ提供社として6つの放送局を選定までして、今年7月から本サービス開始と宣言したものの、いまだ始まってもいない状態が続いている。その原因が収入モデルだ。視聴者から一定の視聴料を徴収する衛星DMBに対し、地上波DMBは通常のテレビ番組のように無料で視聴可能にするべきだとの意見が多く、その結果、キャリアや放送局の収入モデルを巡り集中して議論がなされていた。

 先が見え始めたのは8月頃からだ。韓国政府の情報通信部も介入しての話し合いの結果、本放送は12月から無料で提供し、地上波DMBを途切れることなく見るために必要な中継網の構築は、ひとまず携帯電話の基地局を管理している電波管理基地局社(KRT)が行うとしている。そしてそれにかかる費用は、放送局と端末機メーカーが売り上げの一部をKRTへ補填することとした。

 ただしこの話し合いにキャリアは参加していない。確固たる収入モデルが見込めないほか、無料の地上波DMBを開始することで、有料の衛星DMBの会員が減ることも考えられるなど、3キャリアはサービス提供に積極的な姿勢を見せられずにいる状態だ。サービス提供の窓口となるキャリアの協力がなければ本放送もままならないだけに、この点についてはさらなる話し合いが必要だといえる。

 しかし環境的には着々と放送開始に向かっている。10月に入り地上波DMB特別委員会では、合計300億ウォン(約30億円)をかけて、来年6月までにソウル市地下鉄全線(1〜8号線)に、DMB地下鉄中継網を構築すると発表した。このほか新設される9号線や、現在建築中の仁川国際空港鉄道でも地上波DMBを見られるよう設備を整えるという。

 さらに情報通信部では、地上波DMBをよりきれいな画質で楽しめるよう、放送品質を保証する「地上波DMB放送局検査規定(案)」を用意した。また同部では「Didital TV」というWebページを開設し、一般の人々のDMBへの関心を高める工夫もしている。

 こうした状況から「今度こそ本放送」と断定論調の新聞も多い。地上波DMBの花ともいえる端末も魅力的なものが多く、展示会などで事前に目にする機会も多いこと、そしてなんといっても無料であることから、韓国ユーザの期待感は大きく膨らんでいる。


佐々木朋美

 プログラマーを経た後、雑誌、ネットなどでITを中心に執筆するライターに転身。現在、韓国はソウルにて活動中で、韓国に関する記事も多々。IT以外にも経済や女性誌関連記事も執筆するほか翻訳も行っている。

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