さて、HDDの話ばかりが長くなってしまったが、デザインコンセプトとなっているオーディオプレーヤーとしての部分にも、大きな力が注がれている。特に、ダブルモールド(二色成形)による透明感のあるフラットな外観は、苦労した部分だ。「東芝の携帯電話としては初の試み」(東條氏)だったため、製造工程などでは困難もあったという。もっとも、技術陣の頑張りにより問題点は解消され、美しい端末が誕生した。
静電パッドキーも、「フラットな外観を実現するために欠かせなかった技術の1つ」と兵頭氏。やはり音楽ケータイのフラッグシップと位置づけられる製品だけに、「ボタンを用いた安っぽい外観にはしたくなかったので、オーディオプレーヤーでは一般的な静電パッドキーを採用した」(東條氏)という。この静電パッドキー、中央のキーを長押しするとミュージックプレーヤーの起動と終了が行え、短く押すと再生と一時停止ができる。左右のキーにもそれぞれ左を長押しすると巻き戻し、短く押すと曲戻しが割り当てられており、右を長押しすると早送り、短押しすると曲送りが行える。携帯電話を閉じた状態でもオーディオプレーヤーとしての機能は一通り利用できるようにしてあるわけだ。各ボタンにLEDが仕込まれているのもポイントの1つ。ただしセンサの上や下にLEDを配置することはできないため、センサの横から光を照射している。
内蔵しているステレオスピーカーは横出し式のものを搭載した。これは「音楽再生時の音質の良さを追求した結果であり、外観の平滑性を保つため」(東條氏)だった。その分厚さはかさんでいるが、オーディオプレーヤーとしては納得のいくものが作れたという。同様に、端末をクレードル上に斜めに立てかけるようにしたのも、充電中やPCとのデータ転送中などにも音楽再生ができるように、との配慮からだ。
Bluetooth機能に、A2DPを独自拡張したプロファイルを用意したのも、デジタルデータの劣化を防ぎつつデータを転送したかったからだという。「独自拡張」の内容については非公開ということで聞けなかったが、同時に発表されたヤマハのスピーカーシステムNX-A01のBluetoothレシーバユニットなどとの連携も考慮してのことのようだ。
このように、オーディオプレーヤーとしてかなりハイスペックに作り込まれたW41Tだが、搭載されるソフトウェアにはなかなかユニークな機能もある。特に東芝がウリにしているのが「着せ替え画面機能」だ。例えば画面表示フォントとして、通常の丸ゴシックのほかに少々おどろおどろしい「彫刻」が使える。また、東芝製端末の専用サイト「Toshiba User Club Site」から「明朝体」「ポチ」「デジ文字」「ひよこ」といったフォントをダウンロードできるようになる予定だ。ランチャーメニューに「東芝犬」や「みつばち」といった画面を選び、がらりと雰囲気を変えてしまうこともできる。
音楽ケータイだけあって、BGM再生中には壁紙に曲のタイトルやアーティスト名、再生時間などが表示できる。中にはLISMOのキャラクターであるリスが、曲に合わせて踊るユニークなFlash壁紙も用意されているなど、ちょっとした遊び心も隠されている。
「とかくHDDの搭載やオーディオプレーヤー機能がフィーチャーされがちだが、この「着せ替え画面」など使い勝手の部分にもぜひ注目してほしい」と東條氏は話した。
0.85インチHDDのスペック | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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