ついに対応携帯電話が登場した地上波DMBの実力韓国携帯事情(1/2 ページ)

» 2006年01月31日 12時24分 公開
[佐々木朋美,ITmedia]

 2006年の幕開けとともに、韓国では地上デジタル放送(地上波DMB)に対応した携帯電話が、韓LG Telecom(以下、LGT)と韓KTFから発売された。まだ販売が始まったばかりとはいえ、新しい機能に関心の高い韓国ユーザーの間ではおおむね好評だ。地上波DMBの事情について、対応端末を実際に使ってみたユーザーの感想や、携帯電話ショップの話を聞いてみた。

一般ユーザーが使ってみた、地上波DMB携帯の実力

 現在市場に出回っている地上波DMB端末は、韓Samsung電子の「SPH-B2300」(KTF用)、韓LG電子の「LG-LD1200」(LGT用)、そして韓Pantech & Curitelの「PT-K1800」(KTF用)および「PT-L1800」(LGT用)の3機種4モデルだ。

 3製品とも、スペックや本体サイズ、画面の大きさなどにはあまり大きな差はない。しかしカメラの画素数は、SPH-B2300とLG-LD1200が200万画素であるのに対し、PT-K1800は130万画素とやや劣る。その代わりPT-K1800には地上波DMB操作用のリモコンが付属するという特徴がある。またLG-LD1200は、地上波DMB視聴の自動オフ時間を5分、10分、30分、1時間の中から選べるほか、地上波DMBの自動オンにより起こしてくれるモーニングコール機能があるなど、細かな部分にほかとは差別化された機能がある。

 今回はLG-LD1200を購入したLGTユーザーのKang Minjung氏に、使用感について話を聞いてみた。Kang氏が地上波DMB携帯を購入した理由は「寝る前のちょっとの間、テレビを楽しみたかったから」だという。ところが彼女の自宅はソウル市隣の盆唐市。地上波DMBの受信範囲から外れており見ることができないため、今はソウル市内にある会社に出勤した際などに見ている。

 しかし、ソウル市の中心部に位置する彼女の会社の周辺でも、受信が困難な場合があるという。「画質は衛星DMBとあまり変わらないと思うが、よく途切れるのが地上波DMBの難点。特にトンネルの中や地下など、電波を遮るものがある場合はほぼ受信できない。先日、外を歩きながらサッカー中継を見た時は、選手の動きがストップモーションのようにカクカクしていた。車に乗りながら見た時も、画面が途切れがちだった」とKang氏。

 また、地上波DMBを始めとしたマルチメディア機能が多くなると、どうしてもバッテリーの持ちが悪くなるという問題があるが、Kang氏もやはり「(バッテリーが)すぐになくなってしまう」と敏感に反応している。LG-LD1200は、連続視聴時間が150〜200分と、地上波DMB携帯の3機種中では最も長い。それでもテレビ視聴や通話、メールと、さまざまな操作をしているうちに、バッテリーはすぐに消耗してしまうようだ。

 また「テレビ以外の操作をする際にも画面を横にする手間がある。画面のすぐ下に位置するボタンなどが押しにくい」(Kang氏)と厳しい意見も。番組が視聴しやすいとはいえ、画面が横になることが手放しで良いことだとはいえないようだ。

 今回、Kang氏に地上波DMBサービスと携帯について採点してもらったところ、返ってきた答えは「60点」とやや辛口だった。「特に改善してもらいたいのが、受信できる場所がまだ限られている点と、バッテリーの持ちが悪い点。もう少し長持ちしてほしい。そのほか好きな番組が始まった際に自動でテレビがつくような予約機能や、番組を録画して好きな時に見られる機能があればなおいいです」と話してくれた。

Photo Kang Minjung氏の事務所で地上波DMBを見ている様子。画質に問題はないが、たまに電波が途切れる場所があるなど、受信状態は不安定だ
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