neonは東芝泣かせの「完全垂直」な携帯KDDIに聞く「neon」(前編)(1/2 ページ)

» 2006年02月01日 03時00分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 デザインを重視した携帯「au design project」シリーズから、また1機種面白い端末が登場した。深澤直人氏が開発を手がけた「neon」(1月19日の記事参照)は、どこから見ても四角いデザインが印象的な端末。前例のないフォルムであるため、開発にあたっては当然ながら苦労もあったようだ。

Photo KDDIの小牟田氏

 KDDIでau design projectを率いる立場のプロダクトデザインディレクター 小牟田啓博氏に、開発の現場でどんな議論があったのか聞いた。

折りたたみのピュアな姿を目指して

 neonの構想が誕生したのは、2年ほど前のこと。深澤直人氏が「INFOBAR」を手がけて世間の注目を集めたが、その直後にはもうneonの開発に向けてキックオフミーティングが開かれていたという。

 「INFOBARが完成して、ストレートでスタンダードな端末の“ピュアな姿”という成功がイメージできた。その後単純に、2つ折りでもスタンダードかつピュアな姿を実現したい、ということで構想されたのがneonだ。圧倒的に静かな、シンプルな携帯をやりたいねということで、深澤さんに再度お願いすることにした」

 ここにきて、デザインケータイとして“フラットな四角さ”をアピールする携帯も増えてきている。しかしneonの実物を見ると、その四角さはやはり群を抜いている。例えばneonのヒンジ部は、四角さを損なわないように巧みに処理されている。

 「普通の携帯なら、どうしてもヒンジが見えてしまう。(隣の携帯を示しながら)これなんかヒンジが丸見えでしょ。しかし、ヒンジも含めた端末の背面というのは端末の『顔』。そこに余分なものがあってはダメだと考えた」

Photo ヒンジ部。ヒンジ部が目立たず、反対側(開く側)とほぼ変わらないスタイルを保っている

 通常のヒンジ部は折りたたみの上下をつなぐため、“梁”のような芯の部分が外側から見える。しかしneonの場合は、T字型のヒンジがわずかに見えるだけで目立たない。もちろん開発サイドとしては、この状態できちんと強度を確保することが難しい作業となる。

 小牟田氏はまた、neonのヒンジの横幅は、端末を開いたときに見える十字キーと幅を合わせてあるのだとアピールする。デザイン的な整合性のためだが「ただでさえヒンジを細くして下さい、と無理な注文をしているのに、そこで十字キーと幅を一緒にするなんていうのは至難のわざ」(同氏)。この注文に応えてくれた東芝のエンジニアは、世界一といっていいと称えた。

Photo ヒンジの幅(白い部分)と十字キーの幅が同じ。端末を90度開いた状態で、かちっと安定した座りになっているところにも注目してほしいとのこと

ヒンジ部だけでなはなかった「東芝泣かせ」のポイント

 neonは携帯としては珍しく「完全に垂直な面」ばかりで構成されているのだ、と小牟田氏。これは普通の携帯には、あまりないことだという。

 「四角い携帯といっても、端末を横にして机に置いてみると、3度ぐらい、わずかに傾いていたりする。これは金型から成型する段階に問題があるからだ」

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