順調にユーザーが増えるウィルコム。しかし強化すべき弱点もある。携帯向けコンテンツが少ないことだ。
セルシスが2月2日に開催した「セルシス モバイルソリューションセミナー 2006」に、ウィルコムの事業促進部コンテンツ企画グループの上村実氏が登場。ウィルコムとして、携帯コンテンツにどう取り組むのか話した。
上村氏は、ウィルコムの携帯コンテンツが弱いのには理由があると話す。「ウィルコムがKDDIグループにいた頃は(当時はDDIポケット)、棲み分けの関係上『データ通信に特化していけ』ということだった。そのためコンテンツに力を入れてられなかったという状況がある」
しかしその後、ウィルコムはCarlyleグループを筆頭株主とする体制に変化(2004年10月14日の記事参照)。拡大戦略をとり、音声端末も新機種をリリースするなどしたが、これが功を奏して現在の好調につながっている。
「いい方向に風が吹いている。音声端末も積極的に広げていきたい。コンテンツビジネスも、当然ながら力を入れたい」。いつまで、どんなことをやるとは具体的に言えないが、基本姿勢としてコンテンツは拡充するとアピールした。
ウィルコムのコンテンツ戦略を考える上で、重要なポジションを占めるのが「W-ZERO3」だ。VGA液晶を搭載したPDAライクなPHS端末だが、その大画面ゆえに「やっぱり楽しみ方が全然違う。我々も気がつかなかった使い方が、結構ある」
電子コミックを閲覧するにしても、QVGAの液晶で読むのと異なり迫力が出てくる。OSはWindows Mobileを搭載しているため、「Windows Media Playerが入っている。音楽にしても、ファイルを入れてそのまま聞くことができる」。ゲームも、W-ZERO3対応コンテンツが発表されるなど(2005年11月30日の記事参照)、コンテンツを楽しむ環境は整いつつある。
W-ZERO3などを利用するユーザーは、当然VGAの画面でPCサイトを閲覧するのではないか、という考えもある。だが上村氏は、これは実態とやや異なると指摘する。
「(ユーザーが主に閲覧するのは)Yahoo!JAPANとかGoogleかな? と思っていたら、意外や意外、我々の公式サイトを見ている。ウィルコムとしては、囲い込もうと思って意図的にやっているわけではない。(ウィルコム端末の)便利アプリとか、ツールを配信するためにゲートウェイがないと分かりにくいかな、と参考情報を配信するために作ったのだが、想像以上にアクセスがあった」
PCのサイトを閲覧するユーザーというのは、通常有料コンテンツを利用するという意識がないと言われるが、これもいい意味で予想が外れたと上村氏は説明する。電子書籍などのコンテンツは、ユーザーが想像以上に活発に利用しているという。
上村氏は「幸か不幸か、ウィルコムにはまだ(コンテンツの公式)サイトがそれほどない」と苦笑する。「今コンテンツを出せば、結構(メニューリストの)奥まったところに行かずに、正面に出てくることが可能だ」とした。
W-ZERO3の新色は「女性狙い」 |
上村氏は、W-ZERO3のユーザーは8割がたが男性であると紹介する。「これは予想どおり」。「不明」も12%いるため、確認されている女性ユーザーは全体の7%にすぎない。 だが今後は、女性の購買層もターゲットにしたい考えだ。その狙いを持って「社内で検討している色の1つが、(先日報道向けに公開された)シャンパンシルバー。こういう色で、新しいユーザーをどんどん獲得して広げていこうと考えている」 |
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