auの音楽サービス「LISMO」は「iPod+iTunes」よりもすごい?+D Voice

» 2006年02月07日 23時21分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 KDDIが2006年1月に発表した、固定と携帯を融合した総合音楽サービス「LISMO」。「iPod+iTunesに対抗できるサービスだ」とうたっていることからも(1月19日の記事参照)、KDDIがこのサービスにかける意気込みがうかがえる。

 しかしはたして、ユーザーの評価や期待感は「iPod+iTunes」に匹敵しているのか。それを探ろうというのが、今回の調査の主旨だ。

興味深いサービスだが、弱点も

 LISMOは、「au Music Player」を搭載した音楽ケータイと、専用の音楽ソフトウェア「au Music Port」を組み合わせた、総合的な音楽サービス。ユーザーは携帯で購入した「着うたフル」をPCに転送してバックアップできるほか、反対にPCでリッピングした楽曲を携帯へ転送できる。4月には音楽配信サイト「DUOMUSIC STORE」がオープンする予定で、ここで購入した楽曲を携帯へ転送することも可能だ。

専用ソフト「au Music Port」は、対応端末なら同梱されている。基本的には無料でダウンロードできるものだ

 ほかにも、いくつかポイントがある。まずau Music Portは、単なる音楽転送ソフトではない。携帯で撮影した写真をPCに転送したり、携帯のスケジュールをPC側で管理したりといった機能を搭載。「E-MAIL READER」の機能を使えば、携帯で受信したメールをPCで整理することもできる。携帯のデータをPCにバックアップした上で統合するプラットフォームの役割を持っているわけで、これは「iPod+iTunes」にはない点だ。

 携帯といえば“コミュニケーション端末”ということで、LISMOにはコミュニティを形成するための機能も搭載されている。具体的には、自分と同じ曲を聴いている人が、ほかにどのような曲を聴いているかということが分かったり、曲を軸にメッセージのやりとりができるなどの交流を楽しめる。auユーザーの一大コミュニティが形成されるようなら、面白い。

 気になるのは、4月にオープンするDUOMUSIC STOREの詳細だ。「iTunes Music Store」(iTMS)を圧倒するようなサイトになればいいが、これはまだ未知数の部分が多い。例えば楽曲数は「着うたフル向け楽曲が11万曲存在する」(KDDI)とはいえ、これらがそのままDUOMUSIC STOREでも提供されるとは言い切れない。着うたフルには若者向けのJ-POPなども多いだけに、これらを自由にオンラインショップで提供できるかがカギになる。

 価格も気になるところ。着うたフルでは300円前後と、オンライン上の一般的なミュージックストアよりもやや高い値付けになっている。価格設定権は音楽事業者側にあると言われているが、この価格を引き下げられるか。音質も気になるところで、LISMOは「aacPlusの48kbps」という制約がある。KDDIとしては「aacPlusは優れたフォーマット」とアピールしたいところだが、単純にiTMSの128kbpsのファイルと比べると数字上は見劣りがする。

 最大のポイントは、前出の“aacPlus限定”というクローズドな環境が受け入れられるかどうかだ。LISMOでは携帯電話の番号と音楽サービスを紐づけるという著作権保護をとっており、現段階ではaacPlusしか対応できない。iTunes+iPodの成功要因は、著作権保護をガチガチに固めるのでなく、AACやMP3の楽曲を気軽に利用できるようにしたこと――という指摘も多いが、この辺りをユーザーがどう評価するか。

 DUOMUSIC STOREの明確な優位性は、楽曲の代金を携帯の月額通話料と合算で支払える点になるだろうか。ともすれば「クレジットカードで楽曲を購入するのは抵抗がある」というユーザーにとって、携帯とまとめて手軽に支払える点は魅力だ。

 以上、さまざまに比較すべきポイントを見てきたが、結局のところLISMOはiTunes+iPodを超えるのか? ぜひ、読者のみなさんの意見を聞かせてほしい。

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