先日、イー・アクセスの記者懇親会に行ってきた。その様子は記事に書いたとおりだが(2月8日の記事参照)、会場のいわゆる「囲み取材」(ぶら下がり取材)でもいろいろ面白いコメントが得られた。あくまで雑談ベースなのだが、その中身をこっそり紹介しよう。
記者は千本倖生会長にぶら下がり取材をしていたわけだが、話の流れの中で「イー・アクセスは放送事業に興味はあるか?」という話題になった。KDDIが「MediaFLO」の技術を商用化すべく企画会社を設立しており(2005年12月22日の記事参照)、ソフトバンクも同技術に興味アリと言われている。イー・アクセスはどうか、というわけだ。
この問いに千本氏は「我々は通信屋だ」ときっぱり答える。放送事業は、タレントなどと共に事業を盛り上げる華やかな世界ではあるが、イー・アクセスの目指すところとは異なるという。「ライブドアにしろ、(経営幹部が)テレビに頻繁に出たり……ああいうのはダメだ。通信屋は、額に汗してインフラを整備するもの」。同社は移動体事業でも「土管屋」に徹する構えを見せており、姿勢が一貫しているといえる。
千本氏はまた、面白そうな新規事業に積極的なソフトバンクの孫正義社長を評して「孫さんなんかは、放送事業に向いているんじゃないですか」とリップサービス。「……ただし、通信屋には向いていないが」。持ち上げてから、落とすあたりが千本氏らしい。
ここまで聞いていると、イー・アクセスは放送事業に興味がないようにも見える。ただし、放送の「インフラだけ」を持つ事業者としてなら、可能性はあるかもしれない。そう思って、今度は同社の移動体事業のキーマン、イー・モバイルの執行役員である諸橋知雄氏に聞いてみた。
「MediaFLOに、興味ありますか?」
すると、諸橋氏は5秒ほど沈黙。そしておもむろに口を開き、「ノーコメントということで」と笑った。そのリアクションから、案外検討ぐらいはしているのかもな、と推測したのだった。
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