「世界の半数のユーザーは折りたたみ型端末を求めている」──開発者に聞く804NK(2/2 ページ)

» 2006年08月25日 20時14分 公開
[園部修,ITmedia]
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804NKは日本市場向けに細かくカスタマイズ

Photo 「N71」をベースにボーダフォン向けにカスタマイズされた「804NK」

 この折りたたみ型端末N71をベースに、日本のボーダフォン向けにカスタマイズしたのが804NKだ。正式な型番が「Vodafone 804NK/Nokia N71」となっていることからも分かるように、基本的な部分はN71と共通で、主にソフトウェアに変更を加えている。

 ホルパー氏は804NKの開発にあたって、単純にN71をローカライズすればいいわけではなかったことが大変だったと振り返る。

 「日本のキャリアに要求される仕様は、世界的に見ても非常にハイレベルで、それをクリアするのは簡単ではなかった。804NKの開発で培われたノウハウや技術は、Nseriesのほかのモデルにもフィードバックされている」(ホルパー氏)

 具体的にN71と大きく変わっているのが、メール機能とブラウザだ。メールの送受信をつかさどる部分は、当然ながら日本語に対応する必要があったため、端末のソフトウェア設定をいろいろ変えている。また、単に日本語対応するだけでなく、ディスプレイ上で日本語が正しく、かつ美しく表示されるような調整も行った。

 「“Pictograph”(絵文字)のインプリメントも実は手間がかかった部分だ。日本のユーザーの使い勝手を考え、多くのマイナーチェンジを施した。結果的に、日本以外の地域のユーザーも使いやすくなる改良は、N71にも反映している」(ホルパー氏)

 Nokiaオリジナルのブラウザ「Nokia Web Browser」も、ボーダフォンの仕様基準をクリアするため、いろいろと手が入っている。このブラウザは、スクロールやページ履歴の表示などが非常に高速で、デュアルパケット定額の対象外であるのを忘れて、ついいろいろなページを表示してしまうほど使い勝手のいいブラウザだが、804NKとして製品をリリースするためには解決すべき課題がいくつかあった。

 特に、一部のWebページがうまく表示できない問題は徹底的に究明した。ボーダフォンとともに、膨大な数のWebサイトにアクセスして読み込みを試し、快適にサイトが表示できるか、正しく表示できるか確認したという。その結果、フレームやスタイルシートを使っているページなども見やすく表示できるようになっている。またブラウザがクラッシュしにくくなるような改善も行った。

 「日本のユーザーにとって、端末にブラウザが載っているのは今や当然のことだ。だから、表示できないページは極力少なくなるように努力した。結果的に、すばらしいブラウザに仕上がったと思う。欧米のユーザーにとっては、携帯のWebブラウザはまだ必須の機能ではないが、今後変わっていく可能性が高く、欧米向けの端末にもここで開発したブラウザを搭載していきたい」(ホルパー氏)

ユーザーインタフェースはよりよいものに進化させていく

Photo 折りたたみ型になったことで、キー配列などは国内メーカーのものに近くなった

 このように日本向けにさまざまな改良を施した804NKだが、ユーザーインタフェース(UI)はNokia端末ならではのテイストを引き続き採用している。

 見た目やアイコンの配置はかなり国内メーカーの端末に近く、アイコンもテーマ設定によりボーダフォンのコンバージェンスモデルで使われていたものによく似ている(N71オリジナルのテーマにも変更可能)。ただ、アイコンの名称は「Vodafone live!」が「ウェブ」と表記されていたり、「ツール」が「オーガナイザー」だったり、逆に「設定」が「ツール」になっていたりと、Nokia端末に慣れ親しんでいる人には“従来通り”だが、そうでないユーザーから見ると独特だ。また1つ前の状態に戻りたいときによく利用する[クリア]キーに相当する[C]キーはBackspaceキーのように動作し、「戻る」は右ソフトキーを使う仕様になっている。Nokia製のほかの機種と同様、電源は終話キーの長押しではなく、専用のボタンを端末上部に用意する。

 国内メーカー製の端末に慣れているユーザーは、この独自の使用感のため“使いにくい”と感じるかもしれない。特に、他キャリアの端末しか使ったことがないユーザーは、違和感を覚えがちだ。現に「Nokia端末は操作方法がよく分からない」と思っているユーザーが少なからずいる。

 この点に関しホルパー氏は、「UIは、あくまでもユーザーのニーズや使い方に合わせ、よりよいものに進化させていくべきだと思う。Nokiaでは市場のニーズを常に受け止めているし、ユーザーに使いやすいものを考え開発している。日本のユーザーが慣れ親しんだUIとNokiaのUIが必ずしも同じではない点は認識しているが、慣れてもらう部分と、変えていく部分はケースバイケースで対応していく。いずれにせよ、ユーザーにとってベストなUIを提供していきたいと考えている」と話した。

 「ユーザーにNokiaのUIを強要するつもりはないので、使い勝手を改善できるような提案があればぜひ取り入れていきたい。ただ、1週間も使えばきっと804NKの良さは分かってもらえるはずだ」(ホルパー氏)

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