NTTドコモの次期モデル、FOMA「903i」シリーズに、SPC(Secure PrivateCosm:安心空間)技術を使ったセキュリティ機能が搭載されることが分かった。SPCは“鍵”となるキーデバイスと、携帯電話などセキュリティの対象となるデバイスの間で相互無線通信を行い、距離による自動認証を行う技術。
CEATEC JAPAN 2006で行われたカンファレンス、「SPC技術と携帯電話への応用」に登壇したNTTドコモ 移動機開発部の村田充氏は、講演の中で「まもなく発表する903シリーズの1機種に、SPCを使ったセキュリティ機能を搭載する」とコメントした。該当する1機種が、どのメーカー製になるかは明らかにしなかった。
SPC技術を携帯電話に使うことで、紛失や盗難により“鍵”と相互通信できる範囲(安心空間)から離れた端末を、自動的にロックにすることが可能となる。これまで採用されてきた、暗証番号や生体認証(指紋・顔)、遠隔ロックなどと組み合わせることで、高いセキュリティ機能を持たせられるという。
村田氏は講演の中で、903iシリーズで採用する製品版の“鍵”を披露。端末の発表前ということで撮影は禁止だったが、サイズはガム電池をひとまわり大きくした程度で、「常に身につけられるように」と財布の中に収納していた。“安心空間”となる鍵の有効範囲は不明だが、ユーザーにより数段階の設定が行えるという。また、紛失や電池切れ、故障など鍵側にトラブルが起こっても端末を使えるようにするため、何らかのルートパスを用意すると話した。
SPC技術では、キーデバイスに加え端末側にも専用のハードウェアを搭載する必要があり、その分のコストが必要となる。また、ユーザーのセキュリティ意識や、キャリアやメーカーのサポート体制など、市場性を見極める必要があるため、903iシリーズでは1機種のみに採用するという。
カンファレンスでは、SPC技術の仕様決定や標準化を行う団体「安心空間コンソーシアム」についての紹介も行われた。
SPC技術は、特別な操作をすることなく距離によりロック/アンロックが行えるほか、1つの鍵で、携帯電話やPC、自動車など複数のデバイスを扱ったり、逆に複数の鍵がそろわないと認証しないなどの高度なセキュリティを提供できる。また、携帯端末そのものをキーデバイスにしたり、FeliCaと組み合わせた利用例なども紹介された。
同コンソーシアムでは、CEATEC JAPAN 2006会場にも出展しており、既に商品化されているSPC技術製品や、キーデバイスを組み込んだ社員証と、対応する携帯電話の試作品などを展示している。
コンソーシアムには、NTTドコモだけなく、KDDIやソフトバンクモバイルなどの携帯電話キャリア、シャープやNEC、富士通、松下電器産業などの携帯電話メーカーが幹事会員として参加している。
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