・ウィルコム「9(nine)」レビュー 前編:シンプルボディにマッチする合理的な操作性――「9(nine)」
9(nine)のメール機能は、ウィルコムEメールとライトメールに加え、POP3/SMTPによる送受信にも対応する。送信時の認証としてはSMTP認証とPOP Before SMTPをサポートし、ポート番号の変更も可能で「Outbound Port 25 Blocking」にも対応する。一般的なプロバイダのEメールは問題なく送受信できると思っていいだろう。当然ながら、ウィルコムEメール以外は自動受信できず、手動で受信操作する必要がある。
Eメールの受信機能では、振り分け機能にやや不満が残る。振り分け条件はアドレスの完全一致が基本で、ドメインや件名では振り分けできない。そのため、メーリングリストや迷惑メールのフィルタリングには向かないだろう。プロバイダ側の迷惑メール対策がしっかりしている(識別された迷惑メールはPOP3で読み出さないなど)場合はいいが、そうでなければフィルタリング後に転送できる「Gmail」を経由するか、Webメールサービスを利用したほうが正解だろう。
本文表示は、フォントサイズを3段階(16/20/24ピクセル)に切り替え可能で、メール/Webブラウザキーでページスクロールできる。本文表示中の前後メールへの移動は十字キーの左右で行う。データ削除はフォルダ単位の一括、複数件指定が可能だ。
文字入力は「Advanced Wnn 1.31」を採用し、日本語の読み予測・次文節予測を備える。初期状態での予測候補数もそこそこあり、日本語入力モードのままで英数字の入力が可能な英数変換機能も用意するが、英数字変換は予測候補への学習はしない。逆トグルは[#]キー、大小文字の切り替えは[Webブラウザ]キーが割り振られている。ちょっとクセがあるとすれば、かなの小文字が大文字の後に候補に来るのではなく、必ず大小文字変換を利用する点だ。例えば「っ」などを逆トグルで入力するユーザーは、使い始めに違和感を感じるかもしれない。
Advanced Wnn V1.2を搭載する「WX310SA」と比較すると、変換ロジックにそう大きな変化は感じなかった。しかし、操作に対するレスポンスや候補表示が高速になり、文字入力は快適になった。この点はCPUにARM9を採用したメリットといえそうだ。昨今の端末として特に秀でてはいないが、現在求められている水準の機能性と操作感があり、メールの利用頻度が高い人には重要なポイントになるだろう。
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