「W44K」は京セラにとっての新たな一歩──“WIN最薄”が生まれるまで「W44K」開発陣インタビュー(2/3 ページ)

» 2007年01月15日 18時58分 公開
[遠藤学(聞き手:平賀洋一),ITmedia]

華美な装飾を施さなかった理由

Photo 凹凸のほとんどない、すっきりとしたデザインとなっている

 全体的にシンプルなデザインのW44Kだが、華美な装飾を施さなかった理由は、薄く見せるためだと板野氏は話す。

 「ごちゃごちゃした装飾があると、どうしても厚みを感じてしまう。端末表面のラインや段差など、不要なものは極力そぎ落とした。あったほうがデザイン的な抑揚は生まれるが、薄く見せるという意味では、それがマイナスアプローチになることもある」(板野氏)

 薄型モデルの場合、そのデザインに制約が生まれるという話を聞く。不要なものをそぎ落としたということは、デザインに制約を受けたことにならないのだろうか? この疑問に対し板野氏は、それをプラスにするかマイナスにするか、とらえ方の違いだと説明する。

 「W44Kのデザインを厚さ20ミリの端末でやったら決して格好良くはない。薄いということを最大限に生かせる、ポジティブなデザインはなんだろうと考え、その結果としてW44Kのデザインが生まれた。薄いものの代名詞というわけではないが、クレジットカードやICカードは薄い。カードのフォルムを目指して、デザインを展開した。W44Kの角は丸まっているが、これは柔らかさを出すため。スクウェアというモチーフを崩さない範囲でそぎ落としている。もともとあったデザインを潰すのではなく、いちからデザインを考えたので犠牲になったと思う部分はない」(板野氏)

 シンプルなデザインの中で、ひときわ目を引くのが背面にあるハーフミラーパネルだ。「W41K」ですでに採用しているが、その時の評判が良かったため、W44Kでも採用したという。


Photo ハーフミラーパネルには、見つけて笑ってもらいたかったと板野氏が話す「Ultra Slim Body」の文字もある。「“Ultra”って最近言わないですよね?」と笑っていた板野氏だが、あまり話題には上がらないとのことで、ちょっと残念そうだった

 「サブディスプレイはその存在が露骨に分かってしまうが、ハーフミラーを使えば、全体を隠すことができる。また、閉じた時にLEDを点灯させれば、エリア的に広く見せられる。これまでにない表現ができるということで、今回も採用した。突き詰めたのはユーザビリティ。京セラデザインのスタンスとして、それほど華美な装飾は避けるようにしている。ただ、何も飾り気がないのは魅力がないので、ハーフミラーでアクセントをつけた」(板野氏)

 華美な装飾が施されていないW44Kだが、細かい部分に“グッ”とくる仕掛けを用意している。例えばピンクのダイヤルキーのフォントは、シルバー、ブラックとは異なる。「ターゲットが女性になるので、それを意識した」(板野氏)のだという。

 また、シルバー、ブラック、ピンクの3色それぞれでディテールが異なるのが、カメラのレンズ部分のデザインだ。立体印刷で、テクスチャのように見える部分だが、「クリアな素材なので透けて見える。ボリュームを抑えるような効果もある」と、宮坂氏は説明する。


PhotoPhoto 写真はシルバー(左)とブラック(右)のものだが、ピンクのカメラレンズ部分のデザインも異なる。W44Kは細部にまでこだわりを見せている

 また、購入後の設定から画面やメニューのデザインを変えない人がいると聞いた板野氏が、ぜひともアピールしたいと話していたのが、女性向けの「アメージングホール」。キャラクターものの画面デザインで、時間が変わる際にちょっとしたイベントが発生。使っているうちに隠れキャラクターも登場するという。1つ1つのメニューにも妖精や孔雀、猫など、バリエーション豊かなキャラクターを用意した、かわいらしい画面デザインに仕上がっている。

 「W44Kではこうしたプリセットコンテンツも頑張ってみたが、画面デザインを変えられるのを知らない人がいると聞き、ちょっとショックを受けた。キャラクターを使うのは今回が初の試みなので、ぜひ試してほしい」と板野氏。W44Kを使用中というユーザーは、一度アメージングホールに変えてみてはいかがだろうか。

PhotoPhotoPhoto さまざまなキャラクターが用意された画面デザイン「アメージングホール」

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