“ほぼ全部入り”スペックの「W52T」、その実力は?(後編)「W52T」レビュー(3/4 ページ)

» 2007年02月14日 00時27分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

「T5GP」搭載で動画能力を向上、テレビ出力機能も搭載

photo 付属する高画質プロモーションムービーの情報。容量は約92Mバイト。約6分の携帯電話向け動画ファイルとしては巨大。それだけ高画質だが、再生にも高い処理能力を必要とする

 ワイドVGAディスプレイの採用に合わせて、大きな機能向上を図ったのが動画再生および録画機能だ。

 W52Tは「T5GP」という携帯電話向けの新たなメディアプロセッサを実装し、MPEG-4フォーマットで30fps、VGA(640×480ピクセル)サイズの動画再生が行えるようになった。30fpsのフレームレートにより、普通のテレビ映像を視聴するように、極めて滑らかに再生でき、細部まできれいに表現できる。購入時特典としてプリインストールされる、VGA/30fpsのBoA『Winter Love』プロモーションムービーで、即座にそれが体感できる。

 このプロモーションムービーの長さは5分44秒で、容量は約92Mバイト。つまりビットレートで2Mbpsを越えるものだ。一般にVGAサイズのMPEG-4で2Mbpsとなると、家庭用ビデオレコーダーなどの“SPモード”かそれ以上の画質に相当する。そのことからも、本機の動画再生能力は相当高いことが伺える。


 また、動画もVGA/30fpsで撮影できる。PCからQuickTimeなどで再生できる3GPP2フォーマット(MPEG4+AMR)で保存されるが、こちらも約2Mbpsと高いビットレートであり、クオリティの高い動画を撮影できる。

 AV出力機能もメディアプロセッサ「T5GP」で実現された機能。角形イヤフォン/AV出力端子に接続するAVケーブルを用いて、テレビやプロジェクターなどのビデオ機器に映像+音声出力できる。

 このAV出力機能により、内蔵カメラで撮影した静止画や動画も音声付きで出力できる。ちなみにVGA/30fpsの動画は、大画面テレビに出力してもかなり満足のいく画質で視聴できる。2Mbpsという高いビットレートは外部映像機器での再生も念頭に入れたものだろう。

photophoto カメラで撮影した静止画を外部ビデオ出力し、PC経由でキャプチャした例。アナログのRCAビデオ出力ではあるが、それなりにテレビで十分楽しめる画質だ(左)。AVケーブル経由でW52TとAV入力対応のテレビなどに接続すると、本体ディスプレイにはこのようなメッセージが表示され、テレビやプロジェクターなどの映像機器に出力できる(右)

 静止画や動画のほか、PCドキュメントビューアーの内容もビデオ出力できる。静止画や動画は全体表示のみだが、PCドキュメントビューアーでの使用時は、ズーム表示や表示位置の移動なども含めて、本体での再生時同様に行え、PowerPointの内容やExcelで作成したグラフなどを表示することで、会議用途などにも活用できる。Bluetoothを活用してデータを本体にワイヤレス転送。AVケーブル経由でプロジェクターと接続してスマートにプレゼンを行う──そんなビジネス用途にもW52Tは威力を発揮する。

photophoto PCドキュメントビューアーはデータを表示してからAV出力への切り替え操作を行う。PCドキュメントはサムネイル一覧表示ができないので、内容を本機のディスプレイで確認してから、ということなのだろう。右はAVケーブル経由でPCでキャプチャした例。本体ディスプレイほど高い解像度ではないが、ちょっとしたプレゼンになら十分使える(右)

便利なタスク切り替え機能をユーザーメニューにスマートに統合

photo ゲームアプリの実行中も中断できる。FOMA端末のマルチタスクでメリットとして挙げられる「ゲームを終了せずにマナーモードのオン/オフを行う」といった操作も可能になった

 au端末は従来からマルチタスク機能として、バックグラウンドでの音楽再生をサポートしていたが、2007年のau春モデルのW5xシリーズから、Eメール、EZweb、アプリ(BREW)、au Music Player、au Media Tunerなども含めて、機能を中断する機能が備わった。待受画面に戻り、後で機能を再開したりほかの機能を起動できるタスク切り替えが行える。

 アプリ利用時(「au Media Tuner」を含む)や通話中は、メールのバックグラウンド受信が行えない(通知のみ)という弱点は残っているが、画面サイズ的な制約から、携帯の場合はユーザーが1度に操作できる機能は1つだけなので、実質的にはマルチタスク対応のFOMA端末とさほど変わらない利便性を備えたことになる。

 W52Tは、従来機種から採用するユーザーメニューに、タスク切り替え機能を統合した。待受画面で[下]キーを押すと表示されるタスクアイコンを選ぶだけで中断している機能を再開できる(Windows PCのAlt+Tabで表示されるメニューのような感じ)。また、待受画面には中断機能のアイコンが表示されるので、今どのツールが起動しているかの把握も容易だ。


photophoto 中断中のタスクは待受画面にアイコン表示される。ここの画面は、「au Music Player」「EZweb」「Eメール」「アプリ」の4つがマルチタスクで起動している例。[下]キーの押下で中断中のタスクのアイコン列にフォーカスが移動し、素早く任意のタスクを再開できる

 なお、タスク切り替え機能の統合に伴い、従来は[終話]キーだけで終了できたEメールやEZwebの機能は、“中断か終了か”の選択画面が表示されるようになった。これらの機能は、中断機能は利用しない場合には従来通り[終話]キーで即、待受画面に戻る設定にもできる。

photophoto ちなみに、中断中のタスクアイコンにフォーカスを合わせ、サブメニューを呼び出すことで強制終了あるいは一括終了できる(左)。EメールとEZwebは、個別に中断機能を有効にするか否かの設定も可能となっている(右)

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