ワイドVGAディスプレイの採用に合わせて、大きな機能向上を図ったのが動画再生および録画機能だ。
W52Tは「T5GP」という携帯電話向けの新たなメディアプロセッサを実装し、MPEG-4フォーマットで30fps、VGA(640×480ピクセル)サイズの動画再生が行えるようになった。30fpsのフレームレートにより、普通のテレビ映像を視聴するように、極めて滑らかに再生でき、細部まできれいに表現できる。購入時特典としてプリインストールされる、VGA/30fpsのBoA『Winter Love』プロモーションムービーで、即座にそれが体感できる。
このプロモーションムービーの長さは5分44秒で、容量は約92Mバイト。つまりビットレートで2Mbpsを越えるものだ。一般にVGAサイズのMPEG-4で2Mbpsとなると、家庭用ビデオレコーダーなどの“SPモード”かそれ以上の画質に相当する。そのことからも、本機の動画再生能力は相当高いことが伺える。
また、動画もVGA/30fpsで撮影できる。PCからQuickTimeなどで再生できる3GPP2フォーマット(MPEG4+AMR)で保存されるが、こちらも約2Mbpsと高いビットレートであり、クオリティの高い動画を撮影できる。
AV出力機能もメディアプロセッサ「T5GP」で実現された機能。角形イヤフォン/AV出力端子に接続するAVケーブルを用いて、テレビやプロジェクターなどのビデオ機器に映像+音声出力できる。
このAV出力機能により、内蔵カメラで撮影した静止画や動画も音声付きで出力できる。ちなみにVGA/30fpsの動画は、大画面テレビに出力してもかなり満足のいく画質で視聴できる。2Mbpsという高いビットレートは外部映像機器での再生も念頭に入れたものだろう。
静止画や動画のほか、PCドキュメントビューアーの内容もビデオ出力できる。静止画や動画は全体表示のみだが、PCドキュメントビューアーでの使用時は、ズーム表示や表示位置の移動なども含めて、本体での再生時同様に行え、PowerPointの内容やExcelで作成したグラフなどを表示することで、会議用途などにも活用できる。Bluetoothを活用してデータを本体にワイヤレス転送。AVケーブル経由でプロジェクターと接続してスマートにプレゼンを行う──そんなビジネス用途にもW52Tは威力を発揮する。
au端末は従来からマルチタスク機能として、バックグラウンドでの音楽再生をサポートしていたが、2007年のau春モデルのW5xシリーズから、Eメール、EZweb、アプリ(BREW)、au Music Player、au Media Tunerなども含めて、機能を中断する機能が備わった。待受画面に戻り、後で機能を再開したりほかの機能を起動できるタスク切り替えが行える。
アプリ利用時(「au Media Tuner」を含む)や通話中は、メールのバックグラウンド受信が行えない(通知のみ)という弱点は残っているが、画面サイズ的な制約から、携帯の場合はユーザーが1度に操作できる機能は1つだけなので、実質的にはマルチタスク対応のFOMA端末とさほど変わらない利便性を備えたことになる。
W52Tは、従来機種から採用するユーザーメニューに、タスク切り替え機能を統合した。待受画面で[下]キーを押すと表示されるタスクアイコンを選ぶだけで中断している機能を再開できる(Windows PCのAlt+Tabで表示されるメニューのような感じ)。また、待受画面には中断機能のアイコンが表示されるので、今どのツールが起動しているかの把握も容易だ。
なお、タスク切り替え機能の統合に伴い、従来は[終話]キーだけで終了できたEメールやEZwebの機能は、“中断か終了か”の選択画面が表示されるようになった。これらの機能は、中断機能は利用しない場合には従来通り[終話]キーで即、待受画面に戻る設定にもできる。
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