KDDIの小野寺正社長が、3月14日の定例会見でMVNOに対する同社の考え方について説明した。MVNOは、通信インフラを持つMNO(通信キャリア)から、回線を借り受けてサービスを提供する事業者を指し、いすゞ自動車やセコムらの企業がKDDIの回線を使った独自サービスをMVNOとして提供している。
MVNOについては、総務省が開催している「モバイルビジネス研究会」でも、ビジネスモデルのあり方が議論されており(2月2日の記事参照)、定例会見では小野寺社長が自らがMVNOに対する見方を示した格好だ。
MVNOが参入する意味について小野寺社長は「通信キャリアが単独で作り出せない市場や、付加価値のあるサービスを提供することで顧客のきめ細かなニーズに応え、市場の活性化をもたらすことに大きな意味がある」とし、KDDIとして最大限の協力をすると明言。ただし、MVNO、MNO双方の顧客に対してサービスの品質や利便性を確保するためには、相互協力が不可欠だと話す。
「例えば、ネットワークの局地的な利用やバーストトラフィック(部分的に急激なトラフィックが生じること)の回避や長時間接続の制限などは、MVNOとMNOが協力して対策を行うことが必要」(小野寺社長)
またネットワーク回線を提供する側の技術革新に合わせて、MVNOの協力を得る必要があるとも話す。「ネットワークを進化させたとき、同時に対応する新しい端末を出さなければ、ユーザーが新しいシステムに移っていかない。MVNOに“(古いシステムに対応した)この端末でずっと営業させてくれ”と言われたら、せっかく電波の有効利用を図った新しいシステムを入れても、それが足かせになりかねない」(同)。
小野寺社長は、こうした事態を起こさないためにもMVNOとMNOは、互いを十分に理解した上で相互接続や卸契約の条件をビジネスベースで決定することが重要だとし、このような形で構築したMVNOとの関係を通じてユーザーに新たな付加価値を提供するとともに市場の活性化に寄与したいと話した。
いすゞ自動車はMVNOとして情報システムを供給することで、本業のトラック製造販売の付加価値を高め、新たなビジネスモデルを構築した。「車からのトラフィックの出方はEZwebサービスのトラフィックの出方と全く違うので、auのネットワークを圧迫することなく事業を展開していただける」(小野寺社長)
「ユーザーが納得できるビジネスモデルの検討を進める」とKDDI小野寺氏
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