“感じる”携帯を目指して──「MEDIA SKIN」へ注がれた愛情吉岡徳仁氏インタビュー(2/3 ページ)

» 2007年03月20日 10時30分 公開
[太田百合子,ITmedia]

コンセプトモデルの発表時、「商品化は無理」という人もいた

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 約2.4インチという、ボディサイズに対して絶妙なバランスを保つ大きさに加え、このディスプレイが特徴的なのはその上部にもある。ほかの携帯には必ずある、受話スピーカーのための余白が一切ないのである。

 コンセプトモデルの発表時には、受話スピーカーそのものも見あたらなかったが、製品版ではディスプレイを覆うガラスの中に、さりげなくスピーカーが組み込まれているという仕組みとなった。吉岡氏が特にこだわったのも、この部分だったという。

 「ディスプレイの周りに黒いふちがありますが、このふちの幅のバランスが、デザインをする上では最も重要でした。特にディスプレイの上の部分ですね。普通、携帯のディスプレイの上には必ずスピーカーのためのスペースがありますが、それがどれも同じように見えてしまう理由の1つだったと思うんです。もちろん、構造上、仕方ないところもあります。実際に(2005年11月に)コンセプトモデルを発表したときには、この仕様では、製品化は無理ということを言う人もいましたし。でも僕は、携帯電話のそういう常識を覆したかったのです。」


photo 「柔らかく見える、感じる」というイメージ通りの触り心地を得るため、各色ごとに塗装のサンプルが数多く作られた。写真はこのうちのごく一部。スタッフとともにひとつひとつ、ワインをテイスティングするように、実際に見て触れて選び抜いていったという

 もう1つ、これまでの常識を覆すのが「第二の皮膚」というデザインコンセプトを体現する、独特の“触感”だ。

 オレンジとホワイトカラーには、ファンデーションに利用されるシリコン粒子を、ブラックカラーには特殊ウレタン粒子を配合した塗料を採用。オレンジとホワイトはさらっと、ブラックはしっとりした、携帯電話らしからぬ、ずっと触っていたいと思わせる“触り心地”を実現している。

 「僕はよく椅子をデザインしているんですが、椅子がそうであるように、人体に近いものは柔らかい。携帯電話も日常的にみんながずっと持っている、人体にとても近いプロダクトですよね。だから柔らかなもの、ソフトなものがいいと思った。例えばセーターにもいろいろな素材がありますが、1度カシミアを着ると、もうほかの素材では満足できない──のような感覚ってあるじゃないですか。そういう質感のぜいたくさがあった方がいいなと。」

 「ただ、柔らかいものが必ずしも心地いいかというと、そうではありません。重要なのは柔らかく見えるとか、感じるということですよね。これは触感だけのことじゃなく、人体に近いプロダクトだけに、もっと自分の身体や思考の一部のように“感じる”ことができるケータイがあってもいいと思ったんです。」

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