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» 2007年04月10日 17時09分 公開

アイピーモバイル、携帯事業は継続──資金調達のため筆頭株主交代

アイピーモバイルは4月10日に記者会見を行い、今後の事業方針について説明。一部報道にあったような、携帯事業への新規参入断念や周波数免許の返上などは行わないことを明らかにした。

[園部修,ITmedia]

 アイピーモバイルは4月10日、今後の事業方針について説明を行った。同社は2005年11月に総務省から2GHz帯の免許を受け(2005年11月の記事参照)TD-CDMA方式を利用した高速モバイルデータ通信サービスを提供する計画で事業を進めていたが、4月9日に新聞各紙が「事業を断念し、周波数免許を返上する」と一斉に報道した(4月9日の記事参照)

Photo 会見に臨む代表取締役執行役員社長の杉村五男氏(右)と執行役員経理・管理部門担当の竹内一斉氏(左)

「総務省より認定された開設計画に基づき、事業化に向けて邁進する」

 会見に出席した代表取締役執行役員社長の杉村五男氏は、「総務省より認定された開設計画に基づき、事業化に向けて邁進する」と明言した。ただ、過半数の株式を持ち、筆頭株主だったマルチメディア総研は全株式を森トラストに譲渡する。今後は森トラストが筆頭株主として資金面、また経営面でもアイピーモバイルを支援していくことになる。

 「今後の事業方針、経営体制、事業計画の内容については、筆頭株主となる森トラストと早急に協議を進め、実行に移していく。事業開始時期や経営体制については、早期に改めて報告する機会を持ちたい。一部では新規参入を断念し、周波数を返上するとの報道があるが、そのような事実はない。ご期待に添えるよう、サービス提供していく」(杉村氏)

 当初の計画では、アイピーモバイルは2006年10月にサービスを開始する計画だったが、同年7月に2007年春への延期を発表(2006年7月の記事参照)。サービスに向けて増資などを行い、資本金と資本準備金を合わせて53.75億円の資金調達を行っていたが、決して十分な金額ではなかった。

 サービス開始が遅れている最大の原因は「資金が足りなかったこと」だと杉村氏。「サービスの形態によって金額には差異があるので具体的にいくらとは言えないが、携帯電話事業を開始するためには膨大な資金が必要になる」(杉村氏)

 執行役員経理・管理部門担当の竹内一斉氏は、「関東圏でサービスを展開するにはおよそ600億円ほどの資金が必要になる。その後地方などにも展開していくことを踏まえると、さらにそれ以上の額が必要になると認識している」と話した。筆頭株主が交代するのに合わせて、森トラストにはアイピーモバイルの事業計画を説明し、少なくとも数百億円、実際には1000億円規模の資金が必要になることを提示したと竹内氏はいう。その上で、筆頭株主になるという判断を下してもらったことから、「森トラストに増資に応じてもらう方向で調整している」(竹内氏)という。

 筆頭株主の交代についてほかの既存株主にはすでに説明済みで、理解を得ているとの認識を示した。各社との関係や契約はこれまでどおりで変わらないという。

サービス開始時期は未定のまま

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 会見では、なぜ筆頭株主が交代するに至ったのかを問う声が多かったが、マルチメディア総研が株式を譲渡した理由や、森トラストがどういう意図で株式を引き受けることになったのかは明らかにされずじまいだった。

 また具体的なサービスの開始はいつなのか、という点にも多くの質問が集まったが、両氏は「詳細はこれから森トラストと詰める。事業開始時期や経営体制については、早期に改めて報告する機会を持ちたい」と繰り返した。

 サービス開始の時期について杉村氏は「早急に開始したい」と話したものの、基地局建設の進捗は「23区でのサービス開始に際しては、約500局程度の基地局が必要だと想定しているが、現状では約200局分の用地の予約が取れている。工事が完了しているのは7局」(杉村氏)と、決して順調とは言えない状況だ。ただ「事業免許を受けてから2年以内にはサービスを開始する必要がある、リミットは10月末ということは承知している」と杉村氏は話し、次に会見を開く際にはサービス開始時期を明言することを約束した。

 なお、森トラストとは4月9日に合意したとのことで、「9日の段階では“携帯事業参入断念”は誤報ではなかったのではないか?」という質問も出たが、杉村氏は「私は誤報だと認識している。そのようなことはない。今後も日本全国にサービスを普及させることに邁進する」と答えた。

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