基地局破壊までエスカレート――KTFがSKTを逆転! 加熱するHSDPA覇権争い韓国携帯事情(1/2 ページ)

» 2007年05月08日 19時42分 公開
[佐々木朋美,ITmedia]

 ついにKTFがSK Telecom(以下、SKT)を追い抜いた。

 KTFのHSDPA加入者数が、SKTのそれを上回ったのだ。KTFは3月からHSDPAブランド「SHOW」の宣伝に心血を注いでおり、そのかいあっての逆転劇となった。しかし市場占有率ではSKTがいまだトップであり、この5月から本格的にマーケティング戦略を展開している。韓国全土でHSDPAサービスの激しいぶつかり合いが繰り広げられている。

KTFがSKTに逆転勝ち

 KTFは4月中旬、同社のHSDPAサービス「SHOW」の加入者が、30万人を突破したと発表した。これは同じ時期に20万人強と推測されているSKTのHSDPAサービス加入者数を上回る数値だ。不動の1位と考えられていたSKTを、KTFが追い越すという逆転劇は、業界でも大きな話題になっている。

 SHOWの加入者数増には、ある特徴がある。「2月末まで、HSDPA加入者は6万4000人程度に過ぎなかった」とKTFが明らかにしているように、3月以降に急激に加入者を増やしているのだ。

 同社は2006年6月末に初のHSDPAサービスを、2007年3月1日にはその全国サービスを開始した。サービス開始当時の盛り上がりはいまひとつで、宣伝も今と比べると少なく、HSDPAサービスの開始を知る人もわずか。全国サービスでもなかったため、一部のアーリーアダプタが興味を示すという状態だった。

 しかし3月1日、KTFがSKTに先駆けて全国サービスを開始。同時に激しいマーケティング攻勢を展開した。ブランド名である「SHOW」を浸透させるため、ロゴマークやショップデザインを一新。街のいたるところでSHOWの看板が見られ、テレビやWeb上の広告も積極的に打ってきた。

 とくに「安価なHSDPA携帯」として有名になった「LG-KH1200」は、KTFによると「14歳未満の未成年や、40代以上の女性が加入することが多い」という。インターネットができないという特徴から、子どものネット利用を制限したい親など、ネット機能を求めない層からの需要が拡大している。

 また、KTFの親会社であるKTがSHOW対応端末機の販売応援を行っている。同社ではKTF端末の販売に以前から携わっており、これをHSDPA分野にも拡大したものだ(2006年2月の記事参照)

 このほか、SHOWブランドデザインによるメモ用紙などノベルティグッズが同梱された限定版の端末パックや、テレビ電話料金の値下げ、SHOW専用メンバーシップ、各種イベントを次々開催するなど、総力戦を行った。その結果SHOWは、SKTのHSDPAサービス「T 3G+」をしのぐ存在感にもなった。

photo SHOW端末デザインパック。箱および、おまけとして同梱されるメモ用紙などがSHOWのブランドデザインになっている。携帯電話はSHOW対応のものから自由に選べるが、デザインパックにできるのは各機種で1万台限定となる
photo SHOWのメンバーシップカード。スターバックスコーヒーでのモーニングコーヒーが年6回まで無料など、通常のメンバーシップカードよりも恩恵が多いのが特徴だ

 ところでKTFは4月下旬に、2007年第1四半期の成績を発表した。これによると売上額は1兆3334億ウォン(約1731億円)で、前年同期比で5%増加した反面、営業利益は1007億ウォン(約130億円)で前年同期比41.1%も減少することとなった。マーケティング費用は3691億ウォン(約480億円)で、前年同期比35.8%、前期比26.2%も増加する結果となっている。加入者数増加はKTFの売上に貢献したものの、加入者を確保するためのマーケティング・営業費用がかなりの負担となっていることがうかがえる。

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