「2011年まで待つつもりはない」──MediaFLO導入を急ぐソフトバンクモバイルのビジョン:MediaFLO Conference 2007(1/2 ページ)

» 2007年06月12日 00時10分 公開
[後藤祥子,ITmedia]
Photo モバイルメディア企画の矢吹雅彦社長

 「私どもは2011年まで待つつもりはない。どれだけ実現性があるか分からないが、2009年中になんとか部分的、地域的でもいいのでサービスをしたいと思って可能性を追求している」──。ソフトバンク傘下のモバイルメディア企画を率いる矢吹雅彦社長が、このような言葉で導入への意気込みを示したのが、携帯向け放送技術のMediaFLOだ。

 MediaFLOは米QUALCOMMが開発・推進する携帯向け放送サービス。サービスの導入に当たっては周波数の確保が必須となり、日本ではアナログテレビ停波後の周波数帯を巡る獲得合戦の渦中にある(5月14日の記事参照)。

 まだ周波数の割り当てが正式に決まっていないにもかかわらず、モバイルメディア企画が導入を急ぐ理由はどこにあるのか、ソフトバンクモバイルの携帯サービスは、MediaFLOの導入でどう変わるのか──。矢吹社長がMediaFLO Conference 2007の講演で、そのビジョンを説明した。

MediaFLOは、ユーザーニーズの変化に対応するための切り札

 ソフトバンクがMediaFLOに注目する背景には、ライフスタイルの多様化に伴う環境の変化がある。矢吹氏が示すポイントは(1)多チャンネルニーズの増加(2)ユビキタスへのニーズ(3)コンテンツの楽しみ方の変化(4)高画質へのニーズ の4つだ。

Photo 環境の変化に伴うユーザーニーズの変化

 BS/CS放送、SKYパーフェクTV!、CATVなどのサービスが開始されて以来、チャンネルは増加の一途をたどり、一方で携帯の多機能化に伴うユーザーの“いつでもどこでも”というニーズが加速している。またインターネットの普及と生活の多様化が進む中では、“降ってくる情報を能動的に受ける”スタイルではあきたらず、“能動的に欲しい情報を探して見る”という人も増えており、さらにはそれを、デジタル化したテレビで見るのと同じクオリティで見たいという要求が生まれる。

 矢吹氏は“MediaFLOでこうした環境の変化に対応できる”といい、MediaFLOの持つ特徴からその理由を説明した。

 1つは、MediaFLOが周波数帯を有効利用できる仕組みを備えており、効率的なコスト構造で多チャンネル化を推進できる点だ。例えば番組を配信する際のビットレートを考えると、動きが大きいスポーツ番組などでは高くなる一方、あまり動きのない番組は低くなる。MediaFLOでは1チャンネルあたりのビットレートが可変で、こうしたリアルタイムの放送を提供しながら、空いたスペースで蓄積型のデータキャストやポッドキャストを流すことができ、周波数帯をむだなく利用できる。

 「これだけ周波数効率がいいシステムなら、1ユーザーあたり、1ビットあたりの設備コストがきっと安くなる。コストが下がればユーザーへの負荷が小さくなる。CATVや衛星放送の基本料が高いのは、トータルのコスト構造が高いことが理由の1つで、コスト構造が効率的になればユーザーが加入する際のハードルを低くできる」(矢吹氏)

 2つ目は、ハンドオーバーが可能な点。「いろいろなところで、問題なく視聴できるのはユーザーにとって大きな魅力になる」(同)。ただ、蓄積型コンテンツの配信も可能なことから“電波が届いている必然性はない”ともいい、矢吹氏は「不便をかけずにユーザーに楽しんでもらえる方法はいくつでもある」と自信を見せた。

 3つ目は、ワンセグやDVB-Hに対応した第2世代チップセットの開発が進んでいる点だ。ワンチップで複数の放送技術をサポートするため、ユーザーは1つの端末でワンセグもMediaFLOも視聴できるようになり、端末側の仕様次第では海外の旅行先でDVB-HやMediaFLOのチャンネルを視聴できるようになる可能性もある。また端末メーカー側から見ても、海外展開のチャンスが生まれる。

 ほかにもMediaFLOは、チャンネル間の切り替えにかかる時間が約1.5秒とすばやく、電波状況が良好な場所では30fpsのフレームレートで番組を楽しめるなどの特徴を備え、ユーザーの多様なニーズに応えられるとした。

Photo MediaFLOの特徴

具体的なサービスイメージも披露

 矢吹氏は、ソフトバンクモバイルがMediaFLOでどんなサービスを展開しようとしているのかについても言及。今後ニーズが増えると予想する4つのサービスを挙げ、MediaFLOを使ってそれをどう実現するのかを説明した。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年09月28日 更新
  1. 「SuicaでJR東海エリアをまたげない」問題、ついに解消か JR東海社長「勉強している」【訂正】 (2026年09月27日)
  2. 20万円超のXperiaを「買い」に変えた3週間 ソニーが「モニタープログラム」を実施した理由 (2026年09月26日)
  3. ドコモ値上げの背景は? 副社長が語るahamoの競争力と、「楽天モバイル意識」の本音 (2026年09月25日)
  4. なぜドコモはahamoの大幅値上げを避けたのか? 段階制で安くなるケースと「アップセル戦略」の狙い (2026年09月26日)
  5. ドコモが低容量プラン「ドコモ mini2」発表 6GB/12GBの2段階で月額3278円/4598円 (2026年09月25日)
  6. 高額な「iPhone Duo」を横目にどう選ぶ? Androidフォルダブルスマホをお得に買う方法【2026年9月版】 (2026年09月27日)
  7. “iPhone 18難民”の買い替え先は? 最新「iPhone 18 Pro」と型落ち「17/17e/16」から最適解を考える (2026年09月25日)
  8. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  9. ソフトバンクとLINEヤフーが「Yahoo!スマホ買取」を始めた理由 スマホ高騰時代に目指す「中古の循環」 (2026年09月28日)
  10. iPhone Duoではなぜか「指紋認証」が復活――カメラのアンダーディスプレイ化でダイナミックアイランドはどうなる? (2026年09月27日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー