レビュー
» 2007年06月20日 00時00分 公開

「D01NE」「D01NX」 レビュー:今買うならどっち?――「D01NE」「D01NX」徹底比較(後編) (2/3)

[坪山博貴,ITmedia]

本当に地下施設では使えないのか

 現在、イー・モバイルを利用する際にネックになるのがサービスエリアの広さだ。特に問題なのが、地下鉄など地下施設での利用。公式には、地下施設への基地局設置は当面予定がなく、地下鉄駅施設や大きな地下街での利用は不可能となっている。今や、地下施設でも携帯電話やPHSが利用できるのは当たり前で、「EM・ONE」のようなスマートフォンが使えないのは痛い。今後PDAでの利用もサポートするとなると、気になる部分だろう。

 まず、大規模地下街の新宿サブナードと川崎アゼリアに出向いてみた。地上へ出る階段の近くでもつながらず、まったく使えない。この2つの地下街は比較的地下深くにあるため、東京駅八重洲口に隣接する八重洲地下街に目を向けてみた。開業が1965年と古く、地上から比較的浅いところにある。僅かな段差で隣接する東京駅地下改札やデパートの地下1階と直結しており、大規模地下街として深い方ではないだろう。

 地下街にあるカフェの1席で試してみたが、意外にもすぐに接続。受信速度も1Mbps前後出ていた。このカフェから離れた位置にある別のカフェでも問題なく利用できた。八重洲地下街数カ所で通信カードのインジケータをチェックしてみたが、高い確率で電波をキャッチする。地下街は絶対に使えない――という事でもなさそうだ。

 次に期待を持って向かったのが新宿小田急エースの南館だ。ここはちょっと変わった地下街で、地上への大きな開口部となる地下ロータリーに隣接している。あまり好条件では比較にならないので、ロータリーから2〜30メートル離れた店舗の、さらに奥まった席で試してみた。しかし、ここでもあっさりとつながり、受信速度は500kbps〜1Mbps程度を記録した。送信は100Kbps台まで落ち込むこともあり、電波状態は悪そうだが、Webアクセスには特に問題は感じなかった。

photo 地下街での実測値

 羽田空港第2ターミナル地下街でもまったく問題なく使えたのも意外だ。たまたま、5月27日に起きたANAのシステム大規模障害に遭遇して時間調整を余儀なくされ、地下街のベーカリーショップで待機していたのだが、かなり高速で接続できた。地上への開口部が多い場所だったが、かなり深い場所だったためまったく期待していなかったのだ。羽田空港の地下で使える(確認したのは第2ターミナルだけではあるが)という点は、飛行機での移動が多いビジネスマンには嬉しい誤算かなと思う。

 地下街でも使えるなら商業ビルの地下でも大丈夫だろうと、+D Mobile編集部があるビルの地下1階でも試してみたが、ここも圏内。地下鉄溜池山王駅に接続している山王パークタワー地下1階のカフェ、地下鉄岩本町駅の改札脇にあるファストフード店も圏内で、受信速度は1Mbps以上と問題なかった。FOMA・au・ソフトバンクモバイルの3G端末ではギリギリ圏内という場所で、イー・モバイルなら余裕でつながることもあり、意外に電波が行き渡っているという印象だ。

photo ビル地下階での実測値

 以上の結果から、地下街でもある程度は、また、ビルの地下1階程度なら圏内になる場所は多そうだ。地下街やビルの構造、接続する場所によって左右されるのは当然だが、吹き抜けや階段など、地上への開口部がある場所以外でも使うことができる。想像以上に、地下でも使える場所は多いのかもしれない。

東海道線で高速移動時の接続を検証してみる

 では高速移動中の利用はどうだろうか。“定額制のデータ通信”という点でライバルになるウィルコムは、マイクロセル方式を採用する。対するイー・モバイルは、大きなセルの3G携帯電話網を利用しており、高速移動時に大きなアドバンテージとなる。

 検証はD01NEを利用し、川崎駅から東京駅へ向かう東海道線上り普通列車で行った。川崎駅を出発して多摩川を越えたあたりから、東京駅に到着するまでの間、FTPのファイル受信速度をモニターした。検証時、川崎駅近辺は利用エリアだったが、ホームでは電波状態が悪く、時折圏外になる状態だった。そのため、都内に入った段階から計測を行っている。

photo 川崎駅から東京駅へ、東海道線で移動した際の通信速度比較

 計測時間は777秒で平均速度は1.35Mbpsと1Mbpsを越えた。通信速度は移動速度と無縁ではないが、停車駅は品川駅と新橋駅のみで、川崎駅から品川駅まではほとんど速度を落とすことなく走行している。移動速度よりも、基地局からの距離が受信速度に影響を与えているようだ。いずれにせよ1Mbpsを切っている時間の方が短く、高速移動時でも十分にモバイルブロードバンドと言えるだろう。

公式サービスエリア内、どんな所で使えない?

 イー・モバイルによると、関東地区では2007年6月末までに国道16号線内全域がサービスエリアになるという。これまでにも、ひと月ごとに対応エリア拡大のニュースリリースが出されるなど、基地局展開は順調なようだ。また、必ずしも都心部から広げているとは限らず、遠方でも先に圏内になるケースがある。例えば、横須賀市内の汐入駅近辺は、対応エリアとしてのアナウンスはまだだが、4月下旬でも問題なく利用できた。また、郊外型電気店の並ぶ堀の内駅近辺は6月初旬の段階でなんら問題なく利用できている。

 筆者がここ2カ月半ほど継続利用して気になったのは、公式なサービスエリア内でも圏外になる場所があることだ。検証と記事の掲載タイミングがずれてしまったが、4月の段階で気になったのが駅前にあるアーケード商店街などだ。大森駅東口前や蒲田駅西口前、川崎駅東口前の商店街では使えないことが多く、飲食店に入ってしまうとまったくつながらなくなった。6月の段階で、蒲田駅前の状態は改善しているようだが、大森駅東口前、川崎駅東口前では特に改善は見られない。

 また、郊外の建物もそうだ。窓から離れた屋内で極端に電波状態が悪くなり、通信が途切れたり、たびたび圏外になることがあった。どちらも、3G端末とウィルコムではまったく問題なく利用できる場所だ。

 これは、イー・モバイルのカバーエリアが平面的で、基地局の絶対数が少ないためだろう。駅前など人口や住居が密集したエリアでは基地局配備が間に合っておらず、郊外では少ない基地局で広範囲をカバーするため、死角が生まれやすいと思われる。

 以上は接続が不安定になる場所だが、まったく利用できなかったのが世田谷区にある東名高速用賀インターチェンジ付近のファストフード店だ。4月上旬と5月中旬の2回ほど出向いてみたが、2階の窓際でもまったく電波が届いていなかった。6月中旬にようやく利用可能となっていた。この近辺は意外に大きな「穴」になっていたようだ。23区内で筆者が遭遇した明らかな「穴」はここだけだったが、コミュニティサイトなどの情報では、サービスエリア内であるにも関わらずまったく利用できない場所がまだまだ存在するようだ。

 順調にサービスエリアを拡大しているイー・モバイルだが、まだまだ基地局密度が低いという印象は拭えない。既存キャリアと同じサービスエリアを求めるのは酷だが、公表されたサービスエリア内でも死角となる場所があるのは頂けない。蒲田駅前・用賀IC近辺のケースでは時間とともに改善しているが、その対応が遅いか早いかは現時点で評価は難しい。

 ただ、机上のサービスエリアが拡大するだけでなく、圏外エリアの解消も目に見えて進んでいる。その点は、既存ユーザーもひと安心といったところだろう。

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