インタビュー
» 2007年07月23日 16時26分 公開

開発陣に聞く「WX320T」:譲れなかった“Carrots”への想い──東芝が6年ぶりのPHS「WX320T」で目指したこと (2/3)

[坪山博貴,ITmedia]

機能でもデザインでも譲れなかった“Carrots”の想い

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 「“ベストコネクト”専用キーも準備しました。過去のCarrotsを使っていた人だと懐かしいと思ってもらえるかもしれませんね」(新井氏)

 ベストコネクトは、より状態のよい基地局を探して接続を手動で切り替えられる機能。PHSも携帯と同様に、複数の基地局と交信して随時自動的に切り替えることで移動中も通信が途絶えない仕組みになっているが、ベストコネクトを意図的に効率的に活用することで、より良好な音声通話が実現できる。同様の機能を[発話]キーの長押しなどで備える端末もあるが、通話中も容易に操作できるようにあえて側面に専用のキーを設けたのがポイントだ。

 「カラーはブラックとホワイトの2色を用意しました。ブラックは光沢、ホワイトはややつや消し。色の違いだけでない部分もちょっとしたポイントです。ブラックはサブディスプレイ部分にオレンジ色のパーツを配置しています。オレンジ色 イコール ニンジン(Carrot)です。過去の機種にもアンテナにオレンジにした機種があったのと同じように、Carrotsが復活するならどこかにオレンジがないといけないぞと。ここは譲れない部分でした(笑)。ちなみに端末の名称や本体にロゴなどは入りませんが、待受画面にはしっかり入れました」(田中氏)


photophoto 左側面に配置する[ベストコネクト]キー。旧機種「MEGA Carrots」「Beat Carrots」はディスプレイ直下にキーがあった。そこから少し移動したものの、Carrotsのアイデンティティの1つといえる存在。旧Carrotsシリーズの開発担当者としても、こだわりたかった部分だったようだ(左)
ブラックはサブディスプレイ部に、Carrots=にんじんのオレンジ色を配色。そのほか、決定キーのリングにもオレンジ色を配してある(右)
photophotophoto プリインストールする待受画面にも「Carrtos」のロゴ入り。これはホワイトも同様

 ベストコネクト専用キーやカラーリング、壁紙に垣間見えるこだわりは、商業的観点で施した意図もあるだろう。しかし「これらはCarrotsブランドに対する東芝の思い」だとも語ってくれた。

自然の流れだが、チャレンジだった“アンテナ内蔵”

photo 通信用のアンテナを内蔵した「WX320T」。アンテナはもちろんダイバーシティに対応。ヒンジ付近とマイクの裏側あたりの2カ所にアンテナがある

 WX320Tは、W-SIM採用端末以外のウィルコムの音声端末として2007年7月現在、唯一のアンテナ内蔵端末となる。最近の3G携帯はアンテナ内蔵がほとんどだが(逆に、ワンセグ用として外部ロッドアンテナを搭載する機種も増えているが)、なぜ今PHSでアンテナ内蔵なのだろうか。

 「当時、携帯も同じようなジレンマがあったと思います。今まであったものがなくなって(内蔵して)ユーザーが不安に感じないかどうか。でも結果的には受け入れられています。ならば、メーカーとしてはPHSでもチャレンジすべきではないかという考えです。もちろんアンテナを内蔵してデザインをすっきりさせたいということもありましたね」(佐藤氏)

 アンテナ内蔵は端的に言えば現在の携帯のトレンドであり、WX320Tもこれを強く意識したもの。しかしそれほど簡単なことでもなかったようだ。

 「フィールドテストを長時間繰り返して、一定以上の性能を出せるよう、色々試行錯誤して突き詰めました」(佐藤氏)

 佐藤氏は実際のフィールドテストにも関わり、アンテナの素材や形状、配置などを検証。携帯に初めてアンテナを内蔵した時と同じような実証実験を行った。結果、ロッドアンテナを備える現行の他機種と同等かそれ以上の送受信能力を得た。なお、3G携帯電話の2GHz帯と周波数帯がほぼ同じであるため、PHSでもそのノウハウが生されているという。

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