SKT新プラットフォームやP2P機能付きUSBテレビチューナーを展示iMOBICON KOREA 2007

» 2007年09月03日 19時45分 公開
[佐々木朋美,ITmedia]

 iMOBICON 2007 KOREAでは、韓国のモバイル関連企業による、小規模な展示も行われた。ソフトウェアからハードウェア、サービスなど多様な展示が行われた中でも、とくに注目度が高かった展示内容を紹介する。

SKTの「T-PAK」「T INTERACTIVE」

 SK Telecom(以下、SKT)は、独自開発したユーザーインタフェース(UI)用プラットフォーム「T-PAK」の展示を行った。T-PAKはOTA(Over the Air)方式により、端末を迅速にアップグレードできるのが特徴で、変化の激しい市場状況に対応できる。これまで韓国では、端末をアップグレードするには直営店に行ってソフトウェアを更新してもらう必要があったが、T-PAKならユーザー自身が簡単に更新できる。

 またT-PAKは、着信音の変更から世界時計、Webサイトのブックマーク、ニュースなど、あらゆるコンテンツを簡単に操作できる50以上もの多様なUIアプリケーションを用意している。ユーザーは、携帯電話の画面設定や着信メロディなどの細かい部分まで自由にカスタマイズできるほか、インタフェースを提供する側としては、インターネットへのアクセスを誘導したり、お知らせや広告など個人に合わせたサービスを提供できるといったメリットもある。

 実際にデモ機を使って見ると、文字ではなくアイコンでメニュー内を誘導するので直感的に操作できるが、アイコンが何を意味しているのか分からないこともあった。また既存端末のメニューとあまり変わらない印象を受けたのも事実だ。近く登場予定のT-PAK端末は、果たしてユーザーからの支持を得ることができるのか注目が集まる。

photophoto T-PAKの仕組み。T-PAKのコア部分にある、UIマネージャやネットワークマネージャ、ハンドセットマネージャなどが正に核心となっている。ここでUIや対応ネットワーク、端末に対する処理が行われている
photo T-PAKによる、さまざまなUIアプリケーション。キャリアがお勧めする情報を表示したり、ほかの企業と提携して、1つのテーマに沿ったUI形式に変えることもできる
photophoto T-PAKをデモ操作してみているところ。画面上部に見える、半円形のメニューがT-PAKによるメニュー。これらの中からアドレス帳やメモ帳など使いたいサービスを選択する

 一方の「T INTERACTIVE」は、携帯電話の待受画面にさまざまなコンテンツへアクセスするアイコンを好きなように置けるものだ。例えば、毎日アップデートされる「ニュース」、Webサイトはもちろん端末内のアドレス帳や画像までも探せる「検索」、頻繁に使う設定項目を呼び出せる「クイックアクセス」、注目のSKTトピックを毎朝配信する「マガジン」、現在位置近くの地域情報や天気などの生活情報を得られる「NOW」などが用意されている。専用ソフトをダウンロードするだけで利用可能だ。

 これらのコンテンツは、ユーザーの好みに合わせてカスタマイズできる。“ニュースや検索はよく使うが、マガジンは必要ない”という人であれば、マガジンへのアクセス項目を削除できる。カスタマイズは端末からだけでなく、T INTERACTIVEサイトにPCからアクセスしても行え、項目を追加・削除した結果はほぼリアルタイムに反映される。

 サービスの月額基本料金は無料だが、インターネットに接続して情報を取得するものは通信料が必要だ。例えばエリア検索サービスのNOWで、現在位置近くのレストランを探すと、1Kバイトにつき9.1ウォン(約1円)課金される。

 SKTの担当者は「韓国では携帯からのインターネットアクセスに、料金的な負担感を感じる人が多く、インターネット接続を積極的に使う人が少ない」と話す。待受画面という、誰もが見る場所からSKTの多様なサービスに触れられるようにすることで、利用率・利用料のアップを狙う。

photophoto T INTERACTIVEで利用する機能を、PCから操作しているところ。PCでアイコンを追加したり削除したりすると、ほぼリアルタイムに携帯電話に反映される

画像サービスを簡単にするソリューション

photo ZACOによる閲覧映像を、PCに出力したところ。容量が大きなイメージの場合は、ユーザーが現在のページを見ている間に、バックグラウンドでダウンロードする

 Fantalog interactiveの「ZACO」は、印刷物や写真をモバイル向けに提供するためのソリューションだ。

 素材に対し、字幕や視覚効果、音響などをシンプルなUIで挿入できる「オーサリングツール」、手動/複数ページがある場合、自動でページを進めたり画面の一部分のズーム、振動や音響による効果などでページ視聴できる「モバイルクライアント」、コンテンツプロバイダがコンテンツを管理するアプリケーションサーバや、ユーザーの要望に応じてコンテンツを提供する「CMS(Contents Management Service)サーバー」などから構成されている。

 オーサリングツールはマウスのみで操作でき、初心者でも視覚効果や字幕挿入などが行える。またCMSサーバーは、コンテンツ管理者がユーザーの利用傾向などを把握できるようになっている。

 提供されるコンテンツには、告知など本来のコンテンツに付属するような部分はプログラム開始時に一括ダウンロードされ、途中でローディングが発生しないようにする工夫も見られる。

 8月22日には、漫画をモバイル用に配信するサービスがSKTから開始されたばかりで、サービスのデモが行われた。

 漫画のページが携帯の小さな画面内に表示され、画面内をスムーズに移動できる。手動で画面を移動する際も、小刻みに動くのではなく、滑らかにすっと移動するのでストレスがない。また、気になった部分でのストップや拡大も可能だ。

 今後は「漫画だけでなく、写真や文書などさまざまなファイル形式にも応用できる」(Fantalog interactive担当者)ということで、利用分野が増しそうだ。

 同社ではこうした技術を生かし、フルブラウザの開発も行っている。Webサイトをいったん画像化して表示するので、画像やFlash、動画などが大量に導入されたWebサイトでも、比較的高速にモバイル環境で見られるようにする。画面の一部拡大や移動はスムーズだが、ActiveXなどを利用したWebサイトには対応しきれておらず、まだ改善が必要なようだ。

地上波DMBを世界で視聴

 onTimetekは、地上波DMBを難視聴地域やサービスを行っていない海外で視聴できる専用アンテナ「DMBO-1100」を展示していた。

 このDMBO-1100は、USB端子によりノートPCなどに接続して利用する地上波DMBアンテナ。DMBO-1100を接続したPCが、インターネットに接続できれば、どこでも地上波DMBを見ることができるという。

 というのも、DMBO-1100は一度受信した番組をP2Pで共有する機能があるため、ギャップフィラー(再送信装置)の役割を果たすからだ。地上波DMBの受信エリアにいるDMBO-1100ユーザーが、ギャップフィラーになることを承諾すれば、一度受信した映像がネット経由で配信される。こうして、現在見ているチャンネルを多くの人と共有できるわけだ。

 すでに、日本を始めとした海外で受信試験が行われたということで「できれば海外でも販売したい」(onTimetek担当者)という。

photophoto ノートPCの右上についているのが、DMBO-1100。これがアンテナとなって地上波DMBを受信できる(左)。「1to1」「MBC DMB」などの放送局名の右横に、現在それらのチャンネルを視聴し、かつギャップフィラーになることを承諾している人の数が示されている。地上波DMBが受信不能な地域にいる人は、ここから好きな放送局を選んで見られる(右)

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