それぞれの最上位モデル「V5-A1X00」「VM-A2X20」は無線WANモジュールにKDDIのCDMA 1X WIN対応の京セラ製「KCMP」を内蔵する。ミドルレンジモデル「V5-81X00」「VM-82X00」はHSDPA対応無線WANモジュールを内蔵し、HSDPA/UMTS/EDGE/GPRS/GSM規格に対応したSIMカードを本体に用意されたSIMカードスロットに差すことでネットワークへのアクセスが可能になる(ただし、イー・モバイルが運用している1.7GHz帯HSDPAは利用できない)。なお、バリューモデルはモジュールを内蔵しない。
FlyBook V5シリーズは鮮やかな筐体カラーとシンプルなフォルム、Flybook VMシリーズは液晶ディスプレイがキーボードの手前までせり出してくるギミック、といったデザイン的な要素で日本のユーザーに注目されてきた。しかし、FlyBookの重要なコンセプトは、無線WAN通信モジュールを筐体内に内蔵することで、屋外でもインターネットを手軽に利用できることにある、とダイアローグは以前から主張していた。
これまで、日本で出荷されてきたFlyBookもSIMカードスロットを用意していたが、国内の携帯電話事業者と調整が完了しなかったため、FlyBookの特徴である「外付けのモジュールを使わずに、どこでも簡単にインターネットを利用する」ことができなかった。CDMA 1X WINモジュールを内蔵したFlyBookの登場によって、ようやくダイアローグが考えていた使いかたが日本でもできるようになったといえる。
発表当日に、ダイアローグ・ジャパンが運営するFlyBookショールームで行われた製品発表会では、同社のシニアアドバイザーとして、これまでもFlyBookを積極的に紹介してきた吉井孝史氏が、FlyBook V5、ならびに同VMの説明を行った。その彼が、特に時間をかけたのが、CDMA 1X WINをFlyBookから簡単に利用するために用意されたサービスとアクセスユーティリティだ。
吉井氏は、FlyBookを「ただデザインがいいだけのノートPCではない」といつも紹介しているが、この無線WANモジュールについても、「ただ内蔵しているだけではない。簡単に無線WANネットワークを使えるのがFlyBookなのだ」とアピールしている。
FlyBookに内蔵されたCDMA 1X WINモジュールを利用するには、購入後にユーザー自身で登録作業をしなければならないが、KDDIは、その手続きを「登録前」のCDMA 1X WINモジュールからオンラインで手軽にできる専用のWebページを用意しており、当然、FlyBookもそれを利用できる。また、CDMA 1X WINモジュールを起動してインターネットに接続する操作がワンアクションで行える「ワイヤレス WAN 接続マネージャー」(先に述べたオンラインサインアップもこのマネージャーから呼び出す)と、FlyBooKに実装された無線接続コントローラのオンオフを管理する「FlyBook Control Center」も用意される。
製品発表会では、ダイアローグ台湾本社のCEOでダイアローグ・ジャパンの代表取締役も兼任する李尚禮氏が、英国でFlyBookを導入している企業の例を示し、「それまで、現場で収集したデータを会社に戻ってからサーバに転送していたため、取りこぼしがあるとまた現場に戻るといった非効率な作業を行っていた。しかし、FlyBookの導入によって、現場から直接サーバにデータを送れるようになって、作業効率が格段に向上した」と、無線WANに対応したノートPCのメリットを紹介。
さらに「仮に月給35万円のビジネスマンが月160時間働くとして、彼らが外回りをしていてPCを使えない時間はビジネスに損失を与えていることになる。しかし、FlyBookを導入して彼らが外でもPCを使えるようになると、そのことで得られる利益は、FlyBookを購入した費用を1カ月で回収する」と、ビジネスにおけるFlyBookの「価値」もアピールした。
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