包帯クラブ「包帯巻いて世界が変わったら、めっけもんや」Mobile&Movie 第278回

» 2007年10月05日 16時13分 公開
[本田亜友子,ITmedia]
作品名包帯クラブ
監督堤幸彦
制作年・製作国2007年日本作品


 今回ご紹介する作品は、天童荒太のベストセラー小説を映画化した『包帯クラブ』。そのクラブの一員として、柳楽優弥や石原さとみが不器用で純粋な高校生を演じています。

 関東の外れの地方都市で、高校生活を送るワラ(石原さとみ)。両親の離婚以来、ワラの心にはぽっかりと大きな穴が空いたようでした。朝から晩まで働いている母親の代わりに家事をして、生活のためバイトに勢を出す毎日を、息苦しく感じていました。

 ふとしたはずみでケガをしたワラは、病院にやってきますが、そこでも大人の理不尽な態度にイライラ。何となく足が向いた屋上は、澄んだ空がとても心地よい空間でした。ワラは、気付けば屋上のフェンスを超えて、風を両手に受けていました。

 そんな時にやって来たのが、入院患者のディノ(柳楽優弥)。ワラの暗い瞳を見て、ディノは変な関西弁で深刻な空気を壊します。ディノは学校にはほとんど通わず、奇妙な実験を繰り返しているといいます。そして、おもむろにワラが使っていた包帯をほどき、フェンスにそっと巻きつけて見せました。

 「手当てや」

 初対面なのに、やけになれなれしいディノに、ワラは警戒しながらも、不思議な安心感を覚えます。

 「血が止まったような気、せん?」

 確かにディノが巻いた包帯によって、ワラの心の傷は少しだけ癒されたような気がしたのでした。

 翌日ワラが学校に行くと、親友のタンシオ(貫地谷しほり)が落ち込んでいる様子。聞くと、彼氏にふられたと泣き出します。そんなタンシオをなぐさめようと、ワラはディノがしてくれた包帯の手当てを思い付きます。

 タンシオがふられた公園のブランコにやって来て、包帯を巻きつけてあげたのです。その様子を見て、タンシオは感激してまた泣き出します。タンシオはブランコと包帯を携帯のカメラで撮って写メールを送り、友情を誇ったのでした。

 数日後、その写メールがタンシオのメル友のメル友に渡り、連絡をしてきたのが浪人生のギモ(田中圭)。ワラの巻いた包帯に心を動かされて、傷ついた人の傷ついた場所に包帯を巻く“包帯クラブ”を作らないかと誘ってきたのです。

 ワラは、包帯を巻くアイデアをくれたディノを探し出して、クラブの話をしに行きます。すると、ディノは乗り気で

 「包帯巻いて世界が変わったら、めっけもんや」

 と“包帯クラブ”に加わることに。ギモが作成した“包帯クラブ”のホームページで、包帯を巻いてほしい人を募集することになったのでした。クラブ発足後すぐに、包帯を巻いてほしいというメールはいくつも送られてきます。包帯を巻いた後には、写メールで依頼主にその様子を送り返していました。

 こうして、街中に包帯を巻き続けていたワラたちですが、“包帯クラブ”の存続を脅かす事件が起きてしまいます。そして、ディノが決して語ろうとしなかった過去の出来事を知った時、ワラは……。

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