ドコモが905iシリーズの投入と同時にサービスを開始したのが、プッシュ型動画配信サービスの「Music&Videoチャネル」。ドコモがHSDPA端末向けに配信していた音楽番組配信サービスの「Musicチャネル」を拡張したもので、音に加えて映像も配信できるようになった。
1番組あたりの最大配信容量は25Mバイトで、10Mバイトiモーションと同じフレームレートの高画質な動画を配信可能。番組は夜中の2時から5時のあいだにプッシュ配信され、端末内に保存される。ワンセグやiモーションと異なり、「場所や時間を問わず、画質と音にこだわった番組を視聴できる」のが特徴だ。
料金は、Music&Videoチャネルのサービス利用料として月額315円/月と、コンテンツによっては315円から525円/月のコンテンツ利用料が必要(中には無料のコンテンツもある)。なおドコモではMusic&Videoチャネルのキャンペーンを実施しており、2008年1月末まで9番組を無料(コンテンツ料)で楽しめる。
なお、Music&Videoチャネルの利用する場合は、パケ・ホーダイ/パケ・ホーダイフルなどのパケット定額サービスへの加入が必須だ。
携帯を使った動画視聴は、“画面が小さい”“画質が低い”“ダウンロードに時間がかかる”などの理由から、なかなか普及が進まなかった。NTTドコモ プロダクト&サービス本部でコンテンツ開拓を担当する溝口敦氏も、「“モバイルで動画を楽しむことの難しさ”はあると思っています」と話す。「イヤフォンを持ち歩いていないとか、モバイルの小さい画面よりテレビの大きい画面の方が見やすいとか、ダウンロードの速度が遅いのでわざわざ待っていたくないとか……。いろいろな要素があって、今まであまり一般的になっていなかったと思います」(溝口氏)
こうした中、ドコモでは2007年の冬モデルとして全機種が下り最大3.6MbpsのFOMAハイスピード(HSDPA)に対応し、3インチクラスのフルワイドVGA液晶を備えた「905iシリーズ」をリリース。満を持して、プッシュ型動画配信サービスのMusic&Videoチャネルを開始した。
Music&Videoチャネルは、1コンテンツあたりの最大容量が25Mバイトと大きいことから、1回の配信で30分程度の番組も配信できるのが大きな特徴だと溝口氏。「(ドコモがプル型動画配信サービスとして提供する)10Mバイトiモーションでは、例えば30分の番組をある程度の高いクオリティで見せようとすると、配信の際に分割しなければならないのですが、Music&Videoチャネルなら本編をフルで視聴できます。音質と画質にこだわった番組を、電波が入らない場所でも視聴できるのが強みですね」(溝口氏)
番組のラインアップは音楽、アニメ、ドラマ/映画、お笑い、バラエティ、グラビアなど7ジャンル100作品の配信を予定しており、サービス開始当初はその半数にあたる約50作品の配信を開始した。配信スタイルはコンテンツプロバイダによって異なり、週1回配信のコンテンツもあれば、平日に毎日配信するものもあるという。
「例えば週1回配信のアニメ番組は、毎週の放送を待つような楽しみがあり、テレビのように楽しめます。毎週1回番組が降ってきて、それを好きなタイミングや場所で視聴できるのは、新しい感覚なのではないかと思います。月曜日から木曜日まで毎日配信している『冬のソナタ』は、60分の本編を15分に切って、“朝の連ドラ”感覚で楽しめるようにコンテンツプロバイダが工夫しているのが面白いですね」(溝口氏)
ほかにもMTVで放映されたミュージッククリップを流す「Hot Pics」や、日本テレビ系列で放映中の「ハリ系」を配信するなど、ラインアップについては「多種多様なコンテンツをそろえたので、どのユーザーでも何か1つは見たいと思うものがあると思います」と、溝口氏は胸を張る。
ワンセグ、iモーション、Music&Videoチャネルという3種の動画コンテンツを利用できるようになった905iシリーズ。溝口氏は、ライフスタイルや利用シーンに合わせた使い分けができると話す。「ワンセグはテレビを見るイメージに近くて、どちらかといえば生中継を見たいという感覚。iモーションは、(プル型の)オンデマンドなので、電車を待つちょっとした時間などに見るようなイメージ」(溝口氏)。そしてMusic&Videoチャネルは、自動で録画された番組をいつでもどこでも視聴できるというイメージだ。
「まずは、試しに動画のクオリティを見てほしいですね。(期間限定で無料配信中の)マクロスは、僕らも見て感動したほどです」(溝口氏)
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