子供には多彩な端末と機能、親には安心・安全をアピール――春商戦で復活目指すドコモ

» 2008年01月10日 22時31分 公開
[後藤祥子,ITmedia]
Photo 春商戦のプロモーションプランを説明する、NTTドコモ宣伝部プロモーション担当の石川貴浩氏

 1年の中で、携帯電話の契約数が最も増えるのが春商戦。中学や高校への入学を契機に携帯電話を持ち始める子供の需要などが増加し、通信キャリアにとっては一番のかき入れ時となる。

 激戦が予想される春商戦を前に、一足先に春モデルの「705iシリーズ」を発表したNTTドコモが、プロモーション戦略を明らかにした。販売が好調な905iシリーズと、新たな販売モデルの「バリューコース」を訴求するとともに、中高生やその親に向けてドコモのメリットをアピールする考えだ。

多彩なラインアップと新たな販売方法のメリットが冬商戦で浸透

 2007年12月の純増数ではソフトバンクモバイル、KDDIに次ぐ3位に甘んじたものの、2位に迫る純増数を獲得するなど、ドコモは冬商戦での巻き返しが軌道に乗りつつある。好調さの原動力となったのは、“全部入り”をうたう「905iシリーズ」の投入と、新たな販売方式として導入したバリューコースだ。NTTドコモの宣伝部でプロモーションを担当する石川貴浩氏は、都内量販店周辺で一般ユーザーに行ったインタビュー映像を披露し、端末デザインのよさやフル装備の機能、ニーズに合わせて買い方を選べる販売方式が一般ユーザーに浸透していることをアピールした。

 ドコモは905iシリーズの発売に合わせて端末の販売方法を一新し、従来の販売方式を踏襲した「ベーシックコース」と、ユーザーがある程度の端末購入代金を負担する代わりに月々の利用料金を引き下げる「バリューコース」を導入。ドコモはバリューコースを軸に展開するとしていたが、新たな販売方式への切り替えには不安もあったと石川氏は振り返る。

 しかし、ふたを開けてみると905iシリーズは品薄になるほどの好調な売れ行きを見せ、バリューコースの加入者も「200万契約も間近に迫っている」(石川氏)など好調に推移。「905iの販売数は904iの1.6倍、バリューコースの選択率は95%」という予想以上の成果を上げている。新たに導入した割賦方式の販売も、当初は一括購入が多かったものの、今では圧倒的に分割払いが増えたといい、端末購入時の負担感が払拭されつつあるという。

 春商戦では、引き続き905iシリーズとバリューコースをアピールするとともに、この時期のコアターゲットとなる子供とその親への訴求を強化する考えだ。

Photo 冬商戦は好調に推移。12月の携帯販売ランキングでは1位から4位までを905iシリーズが占めた

親と子供で異なる訴求ポイント

 春商戦期には純増数がほかの時期の約2倍にはね上がり、10代の新規顧客が約8倍の伸びを見せると石川氏。これは中学や高校への入学をきっかけに、携帯電話を使い始めるユーザーが多いことが理由だ。「新入学需要で12歳と15歳が市場を引っ張る。12歳で持ち始めるのは女子が多く、高校生(15歳)で男子が増える傾向にあることが調査で分かっている」(石川氏)。持ち始める理由は、家族や友達との連絡用途が多数を占め、女子については防犯も要素として挙がるという。「端末選びのポイントは、『デザイン』『音楽』『カメラ』が3大要素で、男子はこれに加えてゲームやワンセグ、女子はデコメやきせかえツールといった機能への関心が高い」(石川氏)

 一方で、端末購入時には親の同意が必要となることから、親への訴求も重要なポイントだ。「料金の使いすぎや有害サイトへのアクセスを防ぎたい、コミュニケーションしやすいのか、防犯機能はどうなのか――。持たせたいのは山々だが、全部は管理できないと考える親も多い」(石川氏)。こうした傾向をふまえてドコモでは、親と子供への訴求ポイントを分けて考え、親には安心や安全を、子供には機能やデザインを中心に訴求する計画だ。

 「中高生にはメールやテレビ電話、写真などで楽しむ新生活のそばには、いつもドコモ端末がある――というイメージで、新しい出会いやコミュニケーションをドコモがサポートすることを訴える」(石川氏)。ほかにも中高生向けの冊子で13機種38色の705iシリーズや905iシリーズを紹介するとともに、705iシリーズを持つことで新生活がどのように変わるのかを解説するという。

 親に対してはフィルタリングサービスを中心に、子どもの居場所を確認できるGPSサービスの「イマドコサーチ」や利用料金の上限を設定するサービス、パケット定額プランを合わせて訴求することで安心や安全への取り組みに対する理解を促す。なおフィルタリングサービスについては、申し込み時の店頭対応や、受付の強化を検討しており、春商戦が本格化する前に何らかの施策を行う予定としている。「705iシリーズは、905iシリーズに比べて買いやすい価格になるので、店頭では値ごろ感も訴求する」(石川氏)。2月中旬には割引も視野に入れた春のキャンペーンを開始する予定だ。

Photo 春商戦は他の時期に比べて純増数が大幅に伸びる(左)。ドコモが中高生に配布する「新生活応援BOOK」(中、右)

春商戦では品不足や待ち時間の長さを解消したい

 905iシリーズの売れ行きが好調なドコモだが、人気端末の品薄傾向や待ち時間の長さがユーザーの不満として挙がっている。P905iやN905iは入荷時期を未定とするショップも多く、せっかくの勢いに水をさした格好だ。

 ドコモの石川氏は「新たに導入したバリューコースがどれくらいの契約になるのかが読めなかったことと、調達数の読みが甘かったことが理由」だと説明。1月下旬以降に順次発売を予定している705iシリーズや905iシリーズの企画端末については、冬商戦の状況をふまえて改善を図るとしている。


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