「2008年はインターネットマシン元年」――ソフトバンクの孫社長が宣言

» 2008年02月07日 22時27分 公開
[後藤祥子,ITmedia]
Photo ソフトバンクの孫正義社長

 2008年の春モデルとして、自ら企画した「インターネットマシン 922SH」を披露したソフトバンクの孫正義社長が、「2008年はインターネットマシン元年になる」と宣言した。携帯電話でPC向けインターネットのコンテンツを楽しむ条件が整うのが2008年だといい、インターネットを生業とする同社にとって追い風になると見る。

 これまでにも、キャリア各社がPCサイトを閲覧できるブラウザを搭載するなど、ケータイからPCインターネットにアクセスするための取り組みは行われてきたが、ブレイクするには至っていない。ケータイがインターネットマシンになれなかった要因として孫氏が挙げるのが“通信速度の遅さ”“画面の小ささ”“CPUの遅さ”の3点。この「どれが1つ欠けてもダメ」(同)な3つの要素が2008年の日本では符合し、携帯電話がボイスマシンからインターネットマシンへと進化するきっかけになるという。

 「海外でも(画面が大きく、高性能な)端末だけなら出せるかもしれないが、他の国では速度を担保する3.6MbpsのHSDPAを全国レベルで実現できていない。それをまっさきにやっているのが日本」(孫氏)

 携帯市場に影響をもたらすプレーヤーも、携帯キャリアからPCインターネットの主力プレーヤーにシフトするだろうと孫氏は予測する。日本市場ではすでに、KDDIとドコモがGoogleの検索や各種サービスの導入を推進するなど、その傾向が見え始めているが、無線ブロードバンド時代には、さらにその流れが加速するというわけだ。

 「“携帯利用の中心がインターネット”という時代になると、マイクロソフトやApple、Google、Yahoo!といった世界的プレーヤーが携帯の世界にインターネットを持ち込もうとする。だからこそ、この時期に携帯事業に参入している」(孫氏)

 無線のブロードバンド化が進むと、パイプ(高速通信インフラ)を使ってどんなコンテンツをどのように提供するかが問われるようになる。そのときに大事なのは検索エンジンやポータルサイトをシームレスに提供することであり、「コンテンツもポータルもインフラもフルセットで持つ」ソフトバンクが優位なポジションに立てると孫氏は自信を見せる。「Googleは検索と(動画配信サービスの)YouTubeを持っているがインフラはない。日本ではNTTグループがインフラを持っているが、ポータルやコンテンツは存在感がほとんどない。世界的なグループ会社をみても、フルセットで持っている会社はなかなかない」(孫氏)

 ソフトバンクは過去にもインターネットのブロードバンド化を見越して、従来のソフト販売や出版事業からインターネット事業に投資を大きくシフトし、ADSL事業やポータル事業を成功に導いた実績がある。ここで得た成果を、次の進化型であるケータイインターネットに振り向けて、携帯市場での成功を目指したい考えだ。

 携帯電話は年間約11億台が出荷され、いつも身近にあることから、24時間インターネットにアクセスできる。インターネットにアクセスする時間が制限され、年間出荷台数が約2億7000台規模のPCと比べて、利用シーンや市場規模が広がることは間違いない。この市場で「インターネットマシンと呼ぶにふさわしいインフラ(HSDPA)が整い、ソフトバンクらしい端末が揃い、ソフトバンクらしいコンテンツが揃う」と孫氏は胸を張る。

“箸文化”の国では勝てる――Googleとの戦いに自信

 孫氏はまた、時価総額の大きな企業の上位5社のうち3社が中国企業であることに触れ(2月6日の終値)、「5年〜10年前には考えられなかったことだが、これからは“アメリカを制するものが世界を制する”時代から、“中国を制するものが世界を制する”時代になるのではないか」という見方を示した。

 ソフトバンクは中国最大のインターネット企業、Alibaba Groupに出資するなど、早い時期から中国市場にコミットしており、「日本でナンバーワンのYahoo!と(中国最大手インターネット企業の)Aribabaを持つアジア最大のインターネット企業がソフトバンク。アジア最大のインターネット企業+ケータイのインターネット化=ソフトバンク という分かりやすい公式。そして、“携帯を制したものがインターネットを制する”時代が、5年〜10年後にやってくる。中国を押さえ、携帯インターネットを押さえた会社が世界のナンバーワンになるのではないか」(孫氏)

 アジアは、ソフトバンクがGoogleと戦っていく上で重要な意味を持つ市場でもある。中国や韓国、日本では、Googleが検索シェアのトップを獲得できておらず、まだ手を打つ余地が残っているからだ。

 「箸の国とフォークやナイフの国では文化が違い、Googleは“箸文化”の国では一番ではない。アジアでは巻き返しのチャンスがあり、我々のグループのほうが先行している。アジアのそれぞれの文化やコンテンツ、テクノロジーを理解し、パートナーとの関係を考慮しながら先手を打っていきたい。すでにいくつか手を打っているが、そこをさらに強化する」(孫氏)

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