2年以内の完全なるオープンソース化を――SymbianのCEOが来日会見:実証されたプラットフォーム

» 2008年07月16日 19時03分 公開
[國谷武史,ITmedia]
クリフォードCEO

 「2億台以上の携帯電話で稼働する、世界で最も実証されたオープンシステムになるだろう」――英Symbianは7月16日に都内で記者懇親会を開き、6月に発表した「Symbian OS」のオープンソース化について、ナイジェル・クリフォードCEOが説明した。

 Symbian OSのオープンソース化は、NokiaのSymbian全株式取得に基づいて行われるもので、Symbianのほかに携帯電話メーカーや携帯電話事業者らが提供するソフトウェア関連資産もオープンソース化される予定。Googleらが進める「Android」やAppleのスマートフォン「iPhone」といったオープン性をうたうモバイルプラットフォームとの開発競争の点でSymbian OSのオープンソース化は注目されている。

Symbian Foundationの主要な参加企業

 具体的には、Nokiaによる買収完了後に資産管理や開発者支援を目的とした「Symbian Foundation」を2009年に設立。同組織にはNokiaやSony Ericsson、Vodafone、AT&T、NTTドコモなども参画する。同年内に「Symbian OS V9.4(見込み)」をベースとしたオープンソース化後の初リリースを予定し、今後2年以内に全ソースの公開を見込む。「S60」や「UIQ」「MOAP」といったユーザーインタフェースフレームワーク、ミドルウェア、OS、ランタイム、アプリケーションスイート、SDKなど各種ツールがEclipse Public License 1.0に基づいて公開する。

 クリフォードCEOは、「携帯電話プラットフォームのオープン化は世界的な流れだが、実際に成功した事例がなく、われわれが最初の存在になるだろう」と話した。米リサーチ会社Canalysの調査したスマートフォンOSのシェアは、トップがSymbian(60%)で、以下Linux(12%)、Microsoft(11%)、BlackBerry(11%)が続く。「メーカーや開発者らにとってのメリットは、開発環境が促進されるだけでなく、2億台以上のユーザーにアプローチできる点だ」(同氏)

 だが、Symbian OS以外にSymbian Foundation参加企業がどのようなソースコードを公開するのか、これらのものをどのようなプロセスで新たなリリースにつなげていくのかについては不明な点が多い。クリフォード氏は、「今まさに検討中だ」とした上で、S60を中心に各種ソースをまとめていくと語った。また、「PCのオープンソースの世界と異なり、モバイルではバッテリや画面サイズといったハードウェア要件も考慮しなければならない。われわれには“PIPS”といったUNIXベースのフレームワークがあり、これらを活用してモバイルに対応した環境を整えていく」という。

日本でのSymbian端末採用実績

 国内メーカーでは、富士通やシャープ、ソニーエリクソンがNTTドコモ向け端末にSymbian OSを採用し、すでに撤退した三菱電機も採用していた。累計では88機種、約3800万台が出荷されている。2008年にリリースされたSymbian搭載端末28機種のうち、実に19機種が日本市場向けだ。

久社長

 日本法人シンビアンの久晴彦社長は、オープン化に伴う国内への影響について、Symbian Foundationが国内メーカーの海外進出を促す存在になるとコメントした。「国内市場は新規契約が頭打ちとなり、新たな組織がメーカー各社のビジネス拡大を支援することにつながるだろう」(同氏)。今後は無償でSymbianプラットフォームを利用できるようになるため、「差別化を図る開発に投資できるようになり、各社が世界市場を勝ち抜く競争力を身につけていくことを期待したい」と話した。

 クリフォードCEOは、「われわれのビジョンは、世界で最も利用されるソフトウェアになることであり、オープン化はそのための大きな一歩になる」と語った。

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