かたくなに完全定額のパケット料金制を守ってきたNTTドコモが、ついに2段階制パケット定額の「パケ・ホーダイ ダブル」と「Biz・ホーダイ ダブル」を開始する。このサービスは、ユーザーにはどんなメリットとデメリットをもたらすのか、利用者の多いであろう音声端末向けのパケホーダイ・ダブルを中心にまとめた。
ドコモが10月1日から開始するパケ・ホーダイ ダブルは、最低月額料金と上限月額料金のあいだで利用できるパケット定額サービスだ。ドコモの一般音声端末向けパケット定額サービスとしては初の2段階制定額料金であり、ようやくauやソフトバンクと横並びになった。
これを機に番号ポータビリティ(MNP)を検討するユーザーもいると思われるので、3社の2段階制パケット定額料金を比較してみよう。
サービス名 | キャリア | 最低月額料金(含まれる無料パケット通信量) | 最低月額〜上限月額までのパケット単価 | 上限月額(達するパケット通信量) | フルブラウザ利用時の上限月額(達するパケット通信量) | モデム利用時のパケット単価 |
---|---|---|---|---|---|---|
パケ・ホーダイ ダブル | ドコモ | \1029円(12250パケット) | 0.0840円 | 4410円(52500パケット) | 5985円(71250パケット) | 0.0840円/0.021円(※) |
ダブル定額ライト | KDDI(au) | 1050円(12500パケット) | 0.105円 | |||
パケットし放題 | ソフトバンクモバイル | 1029円(12250パケット) | 0.2円 | |||
※参考 au | ダブル定額 | 2100円(40000パケット) | 0.0525円 | 4410円(84000パケット) | 5985円(114000パケット) | 0.105円 |
(※):5985円分(71250パケット)までは0.0840円/パケット、超過後は0.021円/パケット |
パケ・ホーダイ ダブル、auの「ダブル定額ライト」、ソフトバンクの「パケットし放題」の3サービスは、最低月額料金がわずかに異なるが最低月額料金と上限月額料金がほぼ同じ。最低月額料金内で利用できるのパケット量も1万2500パケット(au)、1万2250パケット(ドコモ、ソフトバンク)とその差はわずかであり、上限月額料金に達するまでに従量課金されるパケット単価は0.084円/パケットとまったく同じだ。
ドコモでは、iモードやiモードメール、iアプリのパケット通信料が定額になる「パケ・ホーダイ」と、内蔵フルブラウザ利用時のパケット料金も定額になる「パケ・ホーダイフル」が別に用意されていた。今回のパケ・ホーダイ ダブルではフルブラウザの利用と同時に上限額が増えることになり、auのダブル定額ライト、ソフトバンクのパケットし放題と同様になった。なお、内蔵フルブラウザ利用時の上限月額料金も5985円で3社同じ金額になっている。
このように、パケット定額の料金プランは3社とも似た内容になったが、依然大きく異なるのが、携帯電話をPCに接続し、モデムとしてインターネット接続する場合の料金だ。音声端末をモデムにすることはレアケースでかもしれないが、キャリアによって料金が大きく違うので補足しておきたい。
一番高額なのが、ホワイトプラン/ゴールドプラン/ブループランで契約した場合のソフトバンクモバイルで0.2円/パケット。次がauとソフトバンクでオレンジプランを契約した場合の0.105円/パケットだ。
auとソフトバンクのホワイトプラン/ゴールドプランの場合、パケット定額プランの有無にかかわらず専用のデータ通信料金が適用されるため、常に上記のパケット単価が適用される。ただし、ソフトバンクのブループランとオレンジプランは、パケット割引を付けることで上記よりも安く使える。
定額/割引サービス+料金プラン | パケット単価 |
---|---|
パケット定額(オレンジプラン) | 0.0525円/パケット |
パケット定額ライト(オレンジプラン) | 0.084円/パケット |
パケット定額(ブループラン) | 0.021円/パケット |
パケット10(ブループラン) | 0.105円/パケット |
パケット30(ブループラン) | 0.0525円/パケット |
パケット60(ブループラン) | 0.021円/パケット |
パケット90(ブループラン) | 0.01575円/パケット |
いずれも、端末をPCにつないでモデムとして利用した場合 |
ドコモの場合、パケ・ホーダイ ダブルを契約していると0.084円/パケットでPC利用が可能で、さらに7万1250パケット(iモードとフルブラウザの利用分含む)以降は0.021円/パケットとさらにリーズナブルな価格になる。当然ながら、3社とも定額にはならず上限額なしの従量課金になるので注意が必要だ。
また、契約切り替えの適用タイミングも3社で異なる。パケ・ホーダイ ダブルは公開されている情報から確認する限り、(サービス開始後は)即日適用が可能だが、日割となるのは最低月額料金のみで上限月額料金は変わらない。この点はパケ・ホーダイをほぼ継承した形だが、2段階定額のメリットがほとんどないとも言える。
auは原則として翌月適用だが、パケット割引サービスを一切利用していない場合のみ当月1日にさかのぼって適用でき、新規回線契約と、CDMA1XからWINへの方式変更の場合のみ即時適用で日割計算となる。制限はあるが、大量にパケット通信を行った後からでも(月内であれば)パケット定額が適用できるのはメリットが大きい。ソフトバンクも原則翌月適用という点はauと変わらないが、即時適用となるのは回線の新規契約時のみだ。
ちなみに、契約上の“翌月”とは、ユーザーごとの料金締め日によって異なるため、必ずしも月初めに切り替わるとは限らないことを付け加えておく。
常時パケット定額に加入しておく前提であれば、パケ・ホーダイ ダブルはauやソフトバンクモバイルの2段階制パケット定額料金と比較してもデメリットはほとんどない。auのようにさかのぼって適用することはできないが、これはあくまでレアケースだろう。少なくともパケ・ホーダイの定額料金(月額4095円)がネックでドコモへの番号ポータビリティをためらっていたユーザーにとって、パケ・ホーダイ ダブルの登場は朗報と言える。
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