1分4.4円からのモバイル通信サービス――「b-mobile3G hours150」を試す(2/3 ページ)

» 2008年09月17日 20時55分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

b-mobile3Gの料金体系を検証

 FOMAネットワークを利用することで全国の広いエリアで高速なインターネット接続が可能なb-mobile3Gの、もう1つの大きな特徴が1分単位という時間従量課金を採用した料金体系だ。

 データ量課金は接続時間を気にする必要がないという反面、通信速度が高速化した現在では感覚的に使用料金を把握することが厄介になっており、ユーザーが多額の通信料金を請求されてしまう要因になっている。

 例えば、b-mobile3Gと同じ3G方式のプリペイド接続サービス「EMチャージ」(イー・モバイル)は、時間従量制のデータ量課金では業界最安となる63円/1Mバイト(0.0077円/パケット)を実現している。ドコモのパケットパック90やauのパケット割WINスーパーなど各キャリアでもっとも割引率の大きなサービスでも0.01575円/パケットだから、その半額という価格だ。

 時間従量制でも十分に安いと思えるEMチャージだが、実効通信速度を1Mbpsと想定してファイルをダウンロードした場合、1秒間で約128Kバイト(1024パケット=税込8.28円)、1分間で約7.5Mバイト(6万1440パケット=税込496.7円)のデータを受信することになり、1分間で500円近いデータ料金が発生する。これはもちろん極端な例ではあるが。

 パケット通信料を節約する方法として、Webブラウザの画像表示を無効にしておくといったものがあるが、今やPC向けポータルサイトやニュースサイトのトップページは、動画やFlashなどのリッチコンテンツを使うのが当たり前になっている。これらはブラウザが“画像扱い”しないので、画像表示を無効にしていても表示されてしまう。例えば、朝日新聞のニュースサイト「asahi.com」のトップページを表示してみると、送受信で約150Kバイトのデータ量となった。先に挙げたEMチャージ(0.0077円/パケット)を使うと、1ページ開くのに約9円かかる計算だ。PCでWebブラウジングする限り、定額プランなしのデータ量課金だけというのは、もはや非現実的といえる。

 対してb-mobile3G hours150は、“時間”という誰でもすぐに確認できる基準で課金するため、ライトユースに向いた従量制のデータ通信料金としては分かりやすく現実的だ。通信モジュールも含まれた初期導入パッケージの価格では、純粋な通信料金がいくらなのか不明だが、3万9900円で150時間であれば、3分間で13.3円、最低課金の1分間なら4.4円だ。また、日本通信は更新パッケージの価格を3万円程度としており、その場合は150時間で約3万円、3分間で10円、1分間で3.4円程度の通信料金になる。

※本稿掲載後、「b-mobile3G 更新ライセンス130H」が発表されました。更新ライセンスは「130時間」で3万1800円なので、1分あたりの通信料金は約4.08円になります。

 もちろん、b-mobile3G hours150がリーズナブルかどうかは利用スタイルに大きく左右される。毎日モバイル環境でインターネット接続を利用するなら、ドコモの上限額付き定額プランか、イー・モバイルの定額プランを利用したほうがリーズナブルになるだろう。b-mobile3G hours150で1日1時間利用すれば、1カ月で約30時間分の料金(約6000円)が減算される。1日2時間利用すれば60時間分となり、月の減算額は1万円を超える。

 ただし、常に定額を支払うほどでもでないというユーザーであれば、b-mobile3G hours150を使って通信料金を抑えることができる。例えば、イー・モバイルのスーパーライトデータプランは月額1000円から利用できるが、最低料金内で利用できるデータ通信量は決して多くない。PCでの利用であればあっという間に上限月額に達する料金体系だ。上限ありの定額制サービス料金とデータ通信量の関係を表にまとめたが、“メール送受信しかしない”というユーザーでもない限り、段階制の料金プランは決してお得とはいえないだろう。

 その例外といえるのが、同じくイー・モバイルのギガデータプランだ。月額3980円の最低料金に含まれるデータ通信量は約1Gバイトと非常に大きく、PCでのモバイル利用でもかなりの使いでがある。ただし、超過後のパケット単価が0.0105円/パケットと高いため、約1Gバイト超過後に約70Mバイト使っただけで上限料金の9980円に達する。動画などのリッチコンテンツを頻繁に見ているとあっと言う間に上限額に達するが、月間のデータ通信量が1Gバイトに満たないユーザーであればお得な料金プランだ。

キャリア プラン名 最低月額 最低月額内のデータ通信量 上限月額 上限月額までのデータ通信量
ドコモ 定額データプランHIGH-SPEEDバリュー+定額データ割 3465円 610Mバイト 6720円 85.4Mバイト
au WINシングル定額(シンプルプラン) 2205円 0Mバイト 5985円 8.8Mバイト
イー・モバイル スーパーライトデータプラン(新にねん) 1000円 2.9MB 4980円 14.5Mバイト
イー・モバイル ライトデータプラン(新にねん) 2980円 11.4Mバイト 5480円 52.1Mバイト
イー・モバイル ギガデータプラン(新にねん) 3980円 1024Mバイト 9980円 1093.8Mバイト
各キャリアで複数契約割引などを利用しない場合にもっとも安くなる段階性定額サービスの料金。別途、端末代などが必要

 これらの料金プランと比較すれば、1分約3.4円、1時間で約200円というb-mobile3G hours150は決して悪くない。約4万円という初期投資額は大きいが、仮に10時間/月の利用なら送受信データ量に関係なく通信料金は約2000円だ。最大15カ月間かけて使い切れば、端末代を含めても月額利用料金は2660円になる。

 モバイルインターネット接続を利用するが接続時間は月ごとに大きく差がある、モバイル環境でノートPCは使うがネット接続する時間は短い、といったユーザーであれば、定額制のサービスよりもずっと通信料金を抑えられる可能性が高いはずだ。

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