秋冬モデルにエージェント機能を搭載する――ドコモの山田社長ACCESS DAY 2008

» 2008年10月20日 19時50分 公開
[後藤祥子,ITmedia]
Photo NTTドコモの山田隆持社長。CEATECで披露したセパレートケータイを取り出す一幕も

 ハードウェア面での進化が従来ほどには期待できなくなった今、携帯キャリアはソフトウェア系サービスの拡充に注力している。中でも、ケータイが各種のレコメンド情報をプッシュ配信する“エージェント機能”は、ドコモKDDIが導入に意欲を示すなど、注目の分野だ。

 ACCESSの年次イベント「ACCESS DAY 2008」の基調講演に登場したNTTドコモの山田隆持社長が、このケータイ向けエージェント機能を「秋冬モデルから載せる」と明言した。

 具体的なサービスの例として挙げたのは、通勤経路の事故情報の配信だ。あらかじめ自分の通勤経路を登録しておくと、経路の交通手段に事故や遅延があった場合、その情報をケータイにプッシュ配信する。「こうした情報は、朝のニュースを見たり、インターネットで検索すれば分かることだが、なかなか時間がない。(エージェントサービスを使えば)ケータイの持ち主に『電車がとまっているので、迂回した方がいい』という情報が送られるので、家を出る前に状況を把握できる」(山田氏)

Photo ドコモが提供する「ケータイ向けエージェントサービス」のイメージ

 このサービスは、コンテンツプロバイダの持つ情報と、利用者が事前登録した内容が合致した場合に情報をプッシュ配信するシステムを導入することで実現しており、まずはベーシックな機能を提供。以降順次、サービスを強化するとしている。

携帯電話のリアルタイム性と個人認証、GPS機能が、インターネットを進化させる

 山田氏は携帯電話ならではの特徴として、(1)24時間30センチの距離で持ち歩くデバイス(2)利用者個人との結びつきが強い(3)GPSで利用者がどこにいるか分かる という3点を挙げ、「この3つをうまく融合することで、新たなサービスができる」と説明。ケータイのエージェント機能は、まさにこれを生かしたサービスだと胸を張る。

 これまで携帯電話は、コミュニケーションのための道具から情報取得ツール、生活支援ツールという流れで進化しており、「行動支援」は、その次のケータイの役割として重要なものになると山田氏。そして、この「生活サポートケータイ」が、インターネットをさらに進化させると自信を見せた。

 山田氏はこれまでのインターネットを「図書館的な情報」だと指摘する。「(これまでのインターネット利用の主流は)いわゆる継続網羅的な情報と、ストック型の情報を検索して引き出すという形」(山田氏)。これが携帯電話を使ったインターネット利用では、リアルタイム性や個人認証、位置情報といった“携帯電話ならではの特徴”を生かすことで、フロー型の単発・地域的な情報を得られることから、ここに新たなチャンスがあると見る。

Photo 行動支援サービスの位置付け(左)と、携帯電話が開拓できる新たなインターネットのサービス領域(右)

 「例えば、書道に興味がある人が銀座の歩行者天国を歩いていると、その人が銀座にいることを把握した携帯電話から、銀座で開催されている書道展の情報が携帯電話に飛んでくる。リアルタイム性と個人認証とGPSを組み合わせると、こうしたサービスが可能になる。情報を出した側にとっては、それが1種の広告となり、成約した場合は広告代としていくらか戴くようなビジネスモデルもできるかもしれない」(山田氏)

 このサービスの課題については「たくさんの情報が飛んでくると、“やかましいサービス”になってしまうので、そのかねあいをどうするか」(山田氏)だといい、利便性の高いエージェントサービスの開発にチャレンジしたいと意気込んだ。

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