1月23日、東京ディズニーリゾートでドコモショップ店員による故障応対コンテスト「ドコモショップスタッフ応対コンテスト(テクノ部門)」が開催された。
同コンテストは関東甲信越13都県のドコモショップが参加する大規模なもので、各都県の予選を勝ち抜いた13人の精鋭スタッフが集結。約600人を数える各支店のスタッフやドコモ社員らが見守る中、接客スキルを競い合った。
接客対応を競うコンテストは、携帯キャリア各社が開催しているが、故障対応に特化した接客コンテストを開催しているのはドコモのみ。大会委員長を務めるNTTドコモ取締役常務執行役員の二木治成氏は「最近はますますアフターサービスの重要性が高まっている」と話し、割賦販売制度の導入などでユーザーの機種変更サイクルが延びる中、「故障受付(テクノ部門)が担う役割は大きい」と強調する。
二木氏はまた、自社で行った調査や外部メディアのアンケート調査で、ドコモがアフターサービスにおいて2008年に1位を獲得したことにも触れ、「モバイル番号ポータビリティ(MNP)導入後はドコモの1人負けで悔しい思いをしてきたが、その後の努力によってようやく(アフターサービスでも)1位になれた。昨年12月にMNPで転入が転出を上回ったことも(アフターサービス部門が)大きな原動力になった」と自信を見せた。
アフターサービスの中でも、故障への対応は高いスキルが求められる。ユーザーにとって携帯電話の故障は生活インフラに支障をきたす重大な問題であり、その受付にやってくるユーザーの大半が、何かしらの不満を抱えていることになる。
テクノ部門における接客の心構えについて、二木氏は「お客様は故障受付に来られる際、マイナスのイメージやネガティブなイメージを持っている。不安や『なんとかして欲しい』という気持ちで来店されるのであって、もちろんその時に問題を解決できることが最善ではあるが、その時の対応によって、マイナスのイメージをプラスのイメージに変えられたらと思っている」と説明。CS(顧客満足度)向上を目指す上で、故障への対応がいかに重要かを改めて強調した。
テクノ部門のコンテストも、2008年11月に行われた接客応対コンテストと同じく「お客様との心のつながり」を重点に置いた接客応対が審査のポイントとなる。13都県から選ばれた13人は、与えられた12分間という短い持ち時間の中で客に扮した役者を相手に接客。お詫びの姿勢を具体的な言葉と態度で表現できているか、故障の状況に応じて伝えるべきことをきちんと伝えられているかなど、全14項目に及ぶ接客応対のポイントについて、各支店の支店長らが審査した。
地区 | ショップ・名前 |
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埼玉支店代表 | ドコモショップ寄居店 須藤泰規さん |
群馬支店代表 | ドコモショップベイシア前橋モール店 大嶋祐之さん |
千葉支店代表 | ドコモショップ松戸店 乙部ゆり子さん |
栃木支店代表 | ドコモショップ小山東店 大関雅人さん |
山梨支店代表 | ドコモショップ甲府石和店 井上佳代子さん |
新潟支店代表 | ドコモショップ新潟駅前店 大西宣生さん |
茨城支店代表 | ドコモショップ竜ヶ崎店 上武里美さん |
新宿支店代表 | ドコモショップ高田馬場店 岡崎信江さん |
丸の内支店代表 | ドコモショップ西日暮里店 野口正子さん |
長野支店代表 | ドコモショップ諏訪店 浅川朱音さん |
渋谷支店代表 | ドコモショップ下北沢南口店 田辺涼子さん |
神奈川支店代表 | ドコモショップ二俣川店 向井花菜子さん |
多摩支店代表 | ドコモサービスコーナー吉祥寺店 金林水城さん |
模擬応対では、4つの設定事例からランダムに1つが選択される。新しい携帯電話に変更してから通話が頻繁に切れたり声が途切れるため、通話相手の気分を害しているのではないかと心配するユーザーの例や、以前使っていた携帯電話よりも電池の持ちが悪く、不良品ではないかと不安を持っているユーザーの例など、ロールプレイの内容は実にリアルだ。時には役者が大声で不満をあらわにするユーザーを演じる場合もあり、ロールプレイと分かっていても緊張する場面がいくつもあった。
事例 | 概要 |
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事例1 | 携帯電話の電源が再起動したことがあり来店。作成中のメールが消えてしまうことに不満を感じる |
事例2 | 最近電池の持ちが悪くなったことが気になり来店。以前の携帯電話ではこのようなことがなかったため、不良品ではないかと不安を感じている |
事例3 | 昨夜液晶画面が突然黒くなり、驚いて来店。メールや電話番号が見えずに使いづらいため、すぐ直してもらおうと思っている |
事例4 | 新しい携帯電話を購入したところ通話が切れることがあり、不良品ではないかと思い来店。通話相手の気分を害して迷惑をかけていると思い、不満を持っている |
ロールプレイでは、役者の迫真の演技にアフターサービスのプロである各スタッフも苦戦。12分間という制限時間を大幅に超えるスタッフも続出するなど、故障応対の難しさが浮き彫りになった。
厳正な審査の結果グランプリに輝いたのは、長野支店代表・ドコモショップ諏訪店の浅川朱音さん。名前が読み上げられると、感極まって涙を浮かべながら「店長をはじめ応援に来てくれたスタッフの方々や、今日店舗で応援してくれている人たちが支えてくれたので、この素晴らしい賞を獲得できました。これからもより一層、良い応対ができるよう頑張っていきます」と、受賞の喜びを語った。
ロールプレイ後の審査員の寸評では「説明が分かりやすい。数字を入れて比較したり、(充電した)期間ではなくて何回充電したのかなど、考えられる症状の要因と今後のご利用を関連付けて説明できるあたりが素晴らしい」と、丁寧で的確な応対力が評価されていた。
準グランプリはドコモショップ甲府石和店の井上佳代子さんとドコモショップ下北沢南口店の田辺涼子さんが受賞。その他メーカー特別賞にはドコモショップ西日暮里店の野口正子さんが、ドコモショップスタッフ特別賞にはドコモショップ松戸店の乙部ゆり子さんが選出された。各受賞者には表彰状と記念のトロフィー、さらに副賞が贈られた。
ドコモが故障応対のみのコンテストを行う理由は、顧客満足度の向上に密接に関わる「おもてなし」の精神を培うことにある。
MNPの導入から2年、割賦販売制度の導入から1年が経過する中で市場環境は大きく変わり、ユーザーの端末買い替えサイクルは長期化する傾向にある。ユーザーが端末を使う期間が長くなると、故障などが起こる確率も高まり、それに伴ってアフターサービスが重要性を増すことは明らかだ。
アフターサービスはいわゆる“裏方”のサービスで、顧客満足度の向上に直結する重要な存在でありながら、脚光を浴びることは少ない。そこに光を当てるドコモの取り組みが、どんな効果をもたらすのかに注目したい。
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